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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
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第302話 突然の樹の国魔王代理の訪問

「えっ!? レヴィアタンが来た!?」


 リーヴァントからの使いでマリリアが伝言してくれたところ、突然訪問したらしい。

 まだ他国との連絡手段の無い我が国では、連絡するのにわざわざここを訪問しないとならず、連絡と訪問が一緒になってしまうとても非効率な状態。

 女王様(レヴィ)や部下の手を煩わせてしまうことになるし、今後は電話とかの通信手段が必要よね……とは言え、これも電気が使えるようになってからってことになるか……


「じゃ、じゃあ今から役所へ出向くよ」

「いえ、アルトラ様の家でお話したいと……」


 と言うことは他人にはあまり聞かれたくないやつってことか。


「わかった、こっちへ来てもらえるよう伝えてくれる?」

「わかりました」


   ◇


 少し経って――


「やっほ~、こんにちは」

「女王様の仕事は大丈夫なの?」

「大丈夫よ、今日は公務での訪問だから。見てよこのしっかりした格好を」


 確かに……今日は女王然としている。


 後ろを見ると――


「トライアさん!? 何で樹の国の魔王代理のあなたがここに!? まさかもう前乗りを!?」


 七大国会談ではノリノリで、大使派遣の前乗りを希望していた。でも大使派遣までまだ四ヶ月くらいある。

 よく見るとトリニアさん、トルテアさんのドリアード姉妹を引き連れている。

 ちなみに、カイベルから彼女らは五姉妹だと聞いている。長女『トライア』、次女『トリニア』、三女『トルテア』、四女『トレシア』、五女『トロモア』。二文字目がちょうどラリルレロの順番になっていて、二文字目で何番目の姉妹なのか判断できる。


「ベルゼと樹の国の魔王(マモン)の両方を知ってる私が橋渡しを頼まれちゃってね」

「こんにちは、アルトラ様。レヴィアタン様からお聞きして、今回は別にお願いがあって参りました~」

「お願い?」


 私への直接のお願いって言うと……


「……もしかして……太陽……じゃないよね……?」


 小声でレヴィに問う。


「お、勘が良いね!」

「私が作ったってバラしたの!?」

「ああ、トライアから聞いたよ。何回聞いても『太陽作ったのは自分じゃない』って知らばっくれてたって」


 ああ……また太陽の秘密を知る人が増えてしまった……


「樹の国は昔から多少なりともお付き合いがあるし、現魔王マモンの性格も知ってるから信用して良いよ。あと彼女ら木の高位精霊は口も堅いから」

「そう……あなたが言うんなら信用するけど……」

「やはりあの太陽はアルトラ殿が関わっていたんですね~! あの光は私たちにとっても非常に心地よく、我が王にお話ししたところ、『是非とも我が国にも欲しい』と申されまして、我々の国にも作っていただくことは出来ないでしょうか~?」


 もう三ヶ所に作ってるし、これによって仲良くしてもらえるんなら断るべくもないかな。


「わかりました、作りに行きます」


 今回はパッと行って、パッと帰ってくれば良いか。

 何て考えて、雷の国に行った時にはトラブルがあったんだっけな……

   (『第5章 雷の国エレアースモの異常事態編』参照)

 まあ、流石にあれクラスのトラブルはそうそうあるもんじゃないか。


 でもちょっとレヴィには釘を刺しておいた方が良いかな……


「レヴィ、ちょっとこっちへ来て」

「なに?」


 レヴィを呼び寄せて小声で話す。


「……レヴィ、今後は私に黙って太陽のことを誰かに教えるのは控えてもらえるかな? 最近誘拐されかけて、身に危険があるかもしれないから……」

「誘拐されかけた!? 誰に!?」

「……火の国の使者って言ってた。撃退してお帰りいただいたけど……」

「……火の国か……どこから漏れたんだろう……あれを知ってるのはあなた以外では、水の国女王の私と雷の国のアスモとその側近数人だけなのに……――」


 あと私の世話役だったエミリーさんには知られてたけど、国家機密扱いで他言したら重罪だって言ってたっけな…… (第266話参照)


「――ああ、この国(アルトラルサンズ)のみんなは知ってるの?」

「……ううん、知らない。町のみんなにはあれは突然出現したことにしてあるから。実は火の国にバレた経緯は分かってる……」

「……そうなの? 何でバレたの……?」

「……どうやらルシファーの勘が良いらしくて、先回りしてエレアースモで私が太陽を作るところを目撃されちゃったみたいなのよ。火の国からの刺客もこの間の一回で諦めてくれるなら良いんだけど、そうはいかないでしょうしね。これ以上秘密が漏れることによって私以外に被害の可能性があるとも限らないから今後はなるべく秘密にしてもらいたい。火の国以外のまだ知られてない風、土、氷の国などからの刺客が差し向けられるのは避けたい……」

「……そうね……ちょっと出過ぎた真似をしてしまったわ。ごめん……」


 もっとも……トライアさんには既に“疑似太陽の作成者はアルトラである”と予想されて、そこからレヴィに相談が行ったわけだから、他の国にだってバレる可能性は低くないわけだけど……

 と言うか……トライアさんに予想されたことについては七大国会談の私の態度がマズかった可能性が濃厚…… (第233話参照)

 まあ、これ以上不安な未来を予測しても仕方ない。


「さて、じゃあこの話はここで終わり、これから黙っててもらえれば良いよ」


 無理にでもレヴィとの会話を締める。

 樹の国編、本格的に突入です。

 今回は前回の襲撃が尾を引いているような話になりましたね。


 次回は12月26日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第303話【パッと行って太陽作って、パッと帰って来ようと思ったら……】

 次話は来週の月曜日投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ある日突然何も無い所に疑似太陽ができた時点でどんなバカでもそこに原因の一端があるてわかるよね。 しかもそこに集落ができて代表者が生まれ 国際会議に出て来て土地の所有権を主張して そこに…
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