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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第11章 雷の国エレアースモ探訪編
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第276話 エレアースモ国立博物館探訪 その9(土産物コーナー)

 おみやげコーナーも大分変わり種だった。

 まず生物展に(ちな)んだ生物を模した置物、人形(フィギュア)はもちろん、骨の模型などもある。さっき生物展の上の方に展示されていたクラーケンのフィギュアもある。

 あ、キマイラのフィギュアもある! ちょっと欲しい!


 と思って手に取ったところ、リディアに購入を催促される。


「お~、このドラゴンの骨の模型カッコイイナ! アルトラ、これ買ってくレ!」


 リディアが持ってきたのはボーンドラゴンのミニチュア。と言っても、結構でかい。頭から尻尾まで……四……いや五十センチくらいあるかもしれない。値段は大きさにしては手ごろな三千エレノル。置いてあったところの名札を見ると魔界文字で『1/100スケール』と書いてある。これ精霊展にいた動く骨(アイツ)のミニチュアか。


「そんなのどこに置いとくの?」

「机の上に飾っとク」

「却下で」

「何デ~!?」

「そんなの置いといても、カッコイイのは最初だけで、あとは見向きもされない置物(オブジェ)に成り下がるよ」


 そう、私にはこの経験がある。

 子供の頃欲しいと思った模型は少しすると、見向きもしなくなって、仕舞いには埃を被って無残な姿に成り果てる。

 学生時代、キャラのポーズの参考にするために買ったデッサン人形は、元々髪の毛なんか無いはずなのに、あまりにも放置された所為(せい)でアフロヘアーになっていたことがあった。…………何言ってるか分からないと思うが、つまり埃が人形の頭に溜まって髪の毛が生えたような見た目になっていたということ。

 一度買ってしまうと、見ることすらしないくせに『捨てるのは勿体ない』という理由で捨てられない呪いのアイテムに変貌してしまうのだ!


 それでもきちんと掃除して埃取りをするならまだ良いのだが、リディアは誰に似たのか割とものぐさだ (※)。このボーンドラゴンが埃被って、今発掘されたかのような見た目になる未来が見える。

 特にこの模型、骨と骨の間がスカスカだから、埃を取るために掃除するだけでも大分面倒そうだ。きっとカイベルの仕事が増えてしまう。あと、骨と骨の間の埃は取り難そうだから、専用のハケも必要かもしれない。

   (※ものぐさ:大抵のことはカイベルがやってくれるのでアルトラもものぐさである。リディアもきっとアルトラに似た)


「そんなことなイ! 毎日見ル! 穴が開くほど見ル!」

「いーや、見ないね! 三日後には飽きて放置よ!」


 骨の模型だからもう既に穴開いてるし、スカスカだし。


「もうちょっと実用的なやつで気に入るようなの無いの?」

「ムー……」


 渋々返しに行った。

 リディアを追い返した後、リディアが来る前から手に持っていたキマイラに目が移る。


「………………」


 キマイラのフィギュアをそっと売り場に戻した。これも私が購入するときっと呪いのアイテムに変貌する道を辿る……大事にしてくれるヒトが買った方が良い。


「アルトラ、死体売ってるゾ!」

「はぁ!? ホントに!?」


 急いで見に行ってみると、ミイラを模したフィギュアのようなものだった。

 なんだ、本物じゃないのか……ビックリした……ご丁寧に棺桶を模した箱に入っている……

 これは死体展に(ちな)んだお土産かな?


 他にもゾンビのフィギュアやゴースト、スケルトンのようなポピュラーなものも置いてある。中には溶けかかった腐乱死体のような誰得なフィギュアも……そして壁にはそいつらを模したお面やマスク。まるでここのワンコーナーだけホラーハウスだ。

 こういうお面はリーヴァントが好きそう。 (第153話参照)


「買っていってあげようかしら?」


 と口に出してはみたが、奥さんと息子さんが怖がりそうなので考えを改めた。

 こういうのが好きなホラー愛好家みたいな人がいるのは知っているが、これが部屋に飾ってあると怖くない? ホラー愛好家はむしろ恍惚とするのだろうか?


 他には植物展に(ちな)んだお土産。生花はお土産として相応しくないのか、造花なんかも売っている。

 色とりどりで美しいが、中にはラフレシアやオオコンニャクに似た毒々しい造花、マンイーターを模した造花も……


「これが伝説に聞くマンイーターか」


 造花と言うよりフィギュア。見た目は牙 (?)があって触手 (ツタ?)があって、沢山の足……いや根っこかな? 多分この沢山の根っこを使って歩き回るんだろう。

 いかにも亜人(ヒト)を喰いそうな見た目だが、手に乗るほどの大きさしかないため、実物がどの程度大きいのかは判断が付かない。さっきのボーンドラゴンみたいに『何分の一スケール』とか書いておいてくれればある程度想像出来るのだけど……

 もしかしたら植物展に行けばこれの実物が見れたのかもしれない。


「ヨダレ (?)まで再現されてる……」


 多分、口に当たると思われる器官から流れ落ちる……ヨダレ? 一応植物だから樹液か? そんなとこまで再現せんでも良いのに……見た目が何か汚いわ……


「これも誰が買うんだろう……」


 嗜好の方向は人それぞれ、きっとこれが好きなヒトもいるんだろう。

 マンドラゴラの根なんかも売ってる。


「これって毒あるんじゃないのかしら? 魅了毒が」


 よく見たら『毒抜きしてあります』って書いてある。どうやら食べられるらしい。

 他にも色んな植物の花びらや葉っぱ、根っこ、茎、粉上にしてあって何かの実験に使えそう。薬にもなるのかもしれない。


 土産物の中には役に立ちそうなものもある。

 魔道具展に(ちな)んだお土産。簡単な魔道具が売っており、ライター染みたもの、懐中電灯染みたもの、水の出るジョウロ、風を噴き出すなにかなど。

 中には自分で魔道具を作れる作成キットなんかも売っている。


「魔道具ってこんな手軽に作れるんだ」


 その作成キットには『紋章術シール』というものが付属しており、この紋章に魔法をストックさせると即席の簡易魔道具が出来るらしい。紋章術シールは単体でも売られているそうだ。

 もっとも、お土産として売っているものだけに、それほど強い魔力は込められず、せいぜいライターやジョウロ程度の力の弱い魔道具が作れるくらい。一回魔力を込めると数回から数十回使うことができる。一応紋章術シールが破損するまでは何度も使えるみたいだ。シールがあればまた作れるから便利そうではある。でも――


「私には必要無さそうかな……」


 ――魔力量の多い私にとっては、ライター程度の火は魔力が減らないも同然だから必要としない。

 多分、私じゃなくても大人ならこれ以上の魔力を持つから特に必要としないだろう。まあ火魔法が使えないヒトがライター使えるのは役に立つかもしれないけど。

 役に立つと言うよりは、子供のお遊びに使う程度のもの。まさに子供だましのアイテム。


 なんてことを考えてたら、リディアが別の欲しいものを持って来た。

 呪いのアイテム呼ばわりはちょっと酷いですが、捨てられないものってありますよね……私は本を中々捨てられません。

 ものぐさでいけません。今年こそは年末までに掃除を!


 今回のエピソード中に『デッサン人形は、元々髪の毛なんか無いはずなのに、あまりにも放置された所為でアフロヘアーになっていたことがあった』ってのがありますが、ちょっと脚色してますが実体験です。最近掃除してデッサン人形を発掘したところ、髪の毛が出来てました(笑)

 見事に髪の毛になっていたので思わず写真を撮ってしまったので、興味があれば今日の活動報告をご覧ください(笑)

 https://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/3053205/


 少々長くなったので今回も二分割しました。次は明日投稿します。

 今回の章は想定より大分長くなりましたが、あと二話くらいで終了です。


 次回は10月1日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

  第277話【エレアースモ国立博物館探訪 その10】

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― 新着の感想 ―
[良い点] デッサン人形髪の毛事件は笑いました(笑 そういえば、うちにもかざったままの模型あるなぁと。 そしていつの間にかゴミ箱へ・・・。 なんてことに。 しかしドラゴンの骨格はかっこいいので欲しいで…
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