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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第2章 トロル集落の生活改善編
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第26話 ゼロ距離ドアのお披露目

 水没から二日近く経つ。

 集落ではすでに村の再建が開始されていた。

 水没で出た泥や木材を片付けている人がそこかしこにいる。


「あ、アルトラ様いらっしゃ~い!」


 子供たちが集まってくる。


「こんにちはアルトラ様」

「こんにちは、リーヴァントはどこですか?」

「避難所付近にいるんじゃないかな」


 昨日即席で作った避難所へ向かう。

 持って来たゼロ距離ドアが大きいため目立つのか、何が行われるのかと後ろから付いて来る村人がどんどん増える。

 あ、いたいた。


「リーヴァント!」

「おお、アルトラ様、ご機嫌いかがですか!」

「今日は昨日問題として挙がった我が家への距離の問題を解決しに来たよ」

「屈強な男が走って相当な時間かかる距離をもう解決されたのですか!?」

「うん、そのための道具を持ってきたよ」

「その手に持ってる大きい板がそうですか?」


 板?

 ああ、そういえばこの集落ドアがあったことないな。

 水没前に木の家作ってた時も()きっ(さら)しだった気がする……


「これはドアというもので、家の入口などに(しつら)えることで、家の中に砂ぼこりやゴミなんかが入ってこなくなるのよ。家に付けると汚れが少なくなって便利だよ」

「砂ぼこりが入らないのは良いですね、新しい家に設置しましょう」

「それはそうと、このドアを設置したいんだけど、どこが良いかな?」

「どのように使うのか詳細がわからないので、アルトラ様に全面的にお願いしたいと思います!」


 今ドアの存在を知ったんだから、それもそうか。

 じゃあ村の外れにでも作って……いや、あそこまで結構距離があるし、連絡してもらうならリーダーのリーヴァントの家付近が良いか。


「じゃあ、リーヴァントの家の付近に設置しようかな」

「私の家ですか!? そんなの良いのでしょうか!?」


 ワクワク感が顔に出てるな……

 私が言うこと行うことにいちいち期待されると困るわ……


「あなたがリーダーだから、あなたの家の付近が良いと思う、連絡も早い方が良いしね」

「では、こちらにどうぞ!」


 連絡なんて良い報せも悪い報せも早ければ早いほど良い。


 木の板(ドア)持って話していたため、目立っていたのか周囲の村人が興味を持ち始めた。


「おい、リーヴァントの家に何か建てるらしいぞ!」

「アルトラ様が持ってるあの木の板に何か仕掛けがあるのかもな!」

「俺たちも付いて行ってみよう!」


 更にガヤが増えた……

 リーヴァントの家に近付くにつれて物見遊山の観客がぞろぞろと増える。

 結局かなりの人数が集まってしまった……あんたたち、家の再建はどうした?


 案内されたのは、家の玄関真正面――


「こんな家の真正面に立てるの?」

「ええ! すぐにご連絡できるように!」


 日本人ならこんな玄関の真正面の場所は絶対に嫌う……まあ、本人が良いなら良いか。


「できれば私の家のドアの目の前に!」

「いや、そんな狭い間隔で立てたら、人が出入りするのに不便でしょ」

「そうですね……」


 そういうわけで、リーヴァントの正面玄関から十メートルくらい離れたところにドアを立てかけ、設置準備をしたところ質問が飛んできた。


「ドアにある凹凸のある絵は何ですか?」


 絵? 絵なんか描いた覚えないけど……

 まさか文字のことを言ってるのか?

 魔界(ここ)に来て、会話は通じるけど、文字までは通じなかったか。考えてみれば日本語なんだから通じるわけがない。そういえばオルシンジテンにも、この世界の言語は自動翻訳はされるけど、『地球の文字がこの世界の生物に伝わるわけではないので注意してください』って言ってたっけ…… (第7話参照)

 いや、そもそも彼らはこの世界の文字自体も知らない可能性がある。


「これは『アルトラ邸』って書いてあるのよ。私の家に通じてるから『アルトラ邸』」

「文字……文字ですか……」


 そういえば、ここって文字も無いのか。

 あんな極貧の生活してれば文字を知らないのは十分あり得る。そういえば集落内で文字を見た覚えは無い。

 この世界の共通の文字ってどんな文字なのかしら?

 知る必要があるな。でも良い機会だし、日本の文字も一緒に教えよう。

 とは言え、一から文字を教えるのは骨が折れそうだ。

 【知性(ハイ・)上昇 (大)(インテリジェンス)】の強化魔法でかなり頭が良くなってるはずだから、理解力も良くなっててくれれば良いけど……


 川を作って、生活基盤がしっかりしてきたら、次は学校でも作るか。

 集落内で、私が何も言わなくても家とか勝手に作ってるところを見ると、思考力はかなり上がってるみたいだけど、文字や計算などの基礎的な部分が全く無いと言っても過言ではない。


 今後の展望を思案しながら、持って来たゼロ距離ドアを立てる。このままでは安定しないため、後ろ側に石の壁を作ってはめ込む。

 これでよし!


「さあ、これで私の家と集落が繋がったはずよ」

「それは本当ですか!?」

「走っても物凄くかかる距離なのに……」


 いつの間にか合流していた、昨日私を呼びに来た塩作り三兄弟の内のニートスとサントスが疑問の声を上げる。今日はイチトスも居る。


「じゃあ、早速試してみようか」

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