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第162話 気温が下がって来てるっぽい?

 今日も今日とてコンクリ作業の川工事現場。


「最近何か急に気温が下がらないッスか?」


 確かに少し前に比べたら大分涼しい気がする。

 やっぱり私の考え通り、気候の変動が起こってしまっているようだ。都合良く日本に似た時期に……


「そうですね。暑いとは言えない気温になってきましたね」

「かき氷も最近それほど出てないみたいですしね」

「このまま下がり続けたらと思うと恐いです。そんなに低い気温なんて未知の領域なんで……」


 私の肌感覚からすると、秋の半ばぐらいの気温ってところかな。残暑を越えて、少~しだけ気温が下がるようになってきた時期。

 この身体でも二十度までは感じられるから、最近気温が下がってきてるのはわかる。


 気温の話をしていると、フレアハルトとアリサとレイアが参戦。

「我らはずっと寒いが、もう大分前から大分寒い……寝る時の布団が六枚になった」

 『大分前から大分寒い』ってのが、フレアハルトたちにとって大分寒いことを十分に物語っている。


「掛け過ぎじゃないッスか!? そんなに掛けたら重さで身動き取れないッスよ!」

「しかし、他に方法が無い……布団を背負って歩くか……?」

 彼らの着ている服が服じゃないしね……自身の鱗を変形させて服を形成してるだけだから、実質裸で歩いてるようなもんだし。


「もしこれ以上寒くなったら、布団二十枚とかになるんじゃないッスか?」

「重さで寝床から出られなくなるな……寒いからそもそも出たくないが……」


 幸いなのは綿花の栽培が寒さが来る前に合ったところか。

 少し前から布団を作る人が出て来て、「私にも作ってほしい」という依頼があり、そこから布団屋に発展した。みんな布団なんか持ってなかったからその店は現在かなり繁盛している。

 布団屋にしてみたら、フレアハルトと側近は大お得意様ね。

 電気毛布とかあれば良いんだけど、それはまだ電気が普及してないから使えないしな……電気毛布の現物もまだ無いし。


「一度故郷へ帰ったらどう? その方が生活しやすいんじゃない?」

「もう少しで川が完成するのにか!? 歴史的瞬間を見逃してしまうではないか!!」


 フレアハルトはフレアハルトで、川開通を楽しみにしてるのね。


「山ではこんな気温経験したことないですからね~」

「『火精霊の賞賛サラマンダー・アプラース※』でも補いきれなくなってきましたね……上位魔法を修得する必要があるかもしれません……」

      (※身体を外気温から守る魔法)

 アリサとレイアも寒そうにしている。


「俺っちたちもこの気温は初めてッスよ! いや、一時期もっと寒い時があったッスね……あれ以来ッス。まさかコレも……?」


 みんなの視線が私に集まる。


「な、何で私なの?」

「こんなこと出来そうなの、アルトラ様くらいッスから……」

「流石にみんなに不快感与えるような現象は起こさないよ」


 疑似太陽の温度を少し上げるか。でも日本出身としては、この肌寒さを少々楽しみたいと思うところもある。


「エルフィーレに服を作ってもらうか、暖かそうな服を」

「そういえば、前に縫製所へ遊びに行った時に、モコモコの服がかけてあったよ! あれを何とか貰うことできないかな?」


 あ、それってもしかして、デンキヒツジの羊毛で作ったものかしら?

 この三人は特別寒がりだから、何とか融通してもらえれば良いんだけど……私が交渉してみるか。


「じゃあ私が一肌脱ぐよ。譲ってもらえないかどうか交渉してみる」







 そういうわけで、そのレイアが縫製所で見たというモコモコの服を譲ってもらえないか交渉をしに来た。

「エルフィーレいる~?」

「アルトラ様、こんにちは。所長なら奥に居ますよ」


 いつの間にか規模が大きくなって、受付が出来ている。従業員も増えたらしい。そして、いつの間にか『所長』なんて呼ばれるようになっている。


「じゃあ、ちょっとお邪魔するね」


 従業員の中を通り抜け、奥の部屋へ。

 その通り道の途中で見つけた、モコモコの服。レイアは多分このセーターのこと言ってたんだと思う。

 私のイメージはダウンジャケット的なやつを想像してたんだけど、素材はウールだからそんなわけなかった。レイアが見たのは多分このウールのセーターね。


「エルフィーレ」

「あ、アルトラ様、こんにちは。今日はどうしましたか?」

「ちょっと突然の質問なんだけど、この村で一番寒がりって誰を思い浮かべる?」

「ホントに突然の質問ですね。う~ん……アリサさんとレイアさんはよくここへ遊びにきますけど、寒い寒い言ってますよね。フレハルさんもそういうイメージです」

「そう、そこで相談なんだけど、あっちに飾ってあった羊毛の服って譲ってもらうことできる?」

「ええ、まあ試作品なのであれ一つしかないですけど、それでも良ければ……元々アルトラ様が持って来た羊毛で作ったものですし」


 あれ一つだけなのか……ここであれだけ持って行ったら三人で取り合いになりそうだ……


「じゃあ、素材があればもう二着作ってもらうことできる?」

「はい、素材さえ調達してもらえるのであれば」

「ありがとう! じゃあ調達してくるからお願いね!」







 カイベルを連れて、ゲートで雷の国の城の中へ直接移動。


「アスモ!」

「……ベルゼ、二週間振り……突然どうしたの……?」

「この国に棲息する、デンキヒツジの毛って刈り取って良いかしら?」

 一応、この国の生物だから女王様にお伺いを立てに来た。


「……うん……誰も刈れないし、別に良いと思う……でも、危ないと思うけど……それに、少ないながら流通することはあるから、あまり殺されると困る……」

「大丈夫、一匹だけ狩らせてもらうけど、残りは殺すことはしないから」

「……殺さずに毛だけ刈るの……? そんなことできる……? 危ないんじゃない……?」

「実績があるから」


 ポンッとカイベルの腕を叩く。


「……実績……?」


 護衛の一人であるアレックスさんがそれについて説明してくれる。

この方(カイベルさん)はわずかな時間でデンキヒツジを狩って来た実績がありますので、彼女らに危険はほぼ無いと言っても差し支えないかと」

      (第121話参照)

「……じゃあ常識的にやってくれるなら好きにして良いよ……」

 常識的にってのは、多分『乱獲するな』ってことよね。


「ありがとう! ところで街の復旧はどうなってる?」

「……やっと混乱が落ち着いてきたってところかな……建物の修復・修繕は始まって大分経ってるよ。元通りになるにはもうしばらくはかかりそうだけど……」

「そっか、じゃあ落ち着いたらまた来てね! 許可してくれてありがとう!」


 早々に別れ、デンキヒツジのいる平原へ移動。

 現在秋の半ばの気温。

 冬到来したら、フレアハルトたちが凍え死にますね(笑)


 次回は1月26日の17時から18時頃の投稿を予定しています。

  第163話【カイベルに羊毛刈りを任せて……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 春夏秋冬、秋到来!!な、回ですね。 地獄に「季節」とは面白いですが、 火焔地獄だったときと比べれば、 フレアハルトたち以外にはまだ過ごしやすいですね。 地獄の業火で焼き尽くせ!! とは、厨…
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