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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第5章 雷の国エレアースモの異常事態編
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第125話 お風呂タイム・ヘルヘヴン族

「おおぉぉぉ!! リナの家くらいでかいナ!!」


 リディアはもう湯舟に浸かる前の身体洗いなどはお手のもの。私の介助も必要無くなってきている。

 なので、それぞれで身体を洗って湯舟へ。

 ここでエミリーさんに服装について話を聞いてみた。


「ねぇ、エミリーさん、この国の女性兵の服ってセクシーですよね。アラビアンナイトみたいな」

「アラビアンナイト? が何だかわからないですが、別の国の方から見るとそうかもしれませんね。わたくしたちはずっと昔からこうなので、あまり意識したことはないですが、この国に代々伝わる女性騎士の正装ですよ」


 これも多分代々のアスモデウスの影響があるのだろう。現・女王(アスモ)が露出魔だし……


「あの腰から伸びたヒラヒラにも意味があるんですか?」

「雷がよく落ちる国ですので、落ちた時に地面へ流れるような仕組みになってるんですよ。金属が少量織り込んであって、電気が伝わり易くなっています。あ、裏側は絶縁体ですので背中が火傷するということはほぼありません。まあ我々ヘルヘヴンはある程度の雷耐性があるので、これが無くても平気なんですけどね。騎士の中には雷への耐性が弱い者もいるので、その配慮という感じでしょうか。今はその上位に位置するマントが開発されてきているので、これも段々と廃れていくかもしれません」


 つまり服全体がアースの役割をするってことか。だからヒラヒラが地面を擦るような構造なのね。


「ところでヘルヘヴンって何ですか?」

「私たちの種族名ですよ。神話に登場する天使のような羽を持った種族です」


 そう言うと、何も無かった背中に羽が出現。広げて見せてくれた。私の持ってる天使の羽より遥かに大きい……

 確かに天使のような出で立ち。

 ただ……天使の輪っかは持ってはいないみたいだ。


「一説によると、数千年か数万年か前に天球から追放されてきた天使の末裔とも、神話にもなっているラグナロクで、冥球に取り残された天使の末裔とも言われています。だから神の裁きとも言われる雷にもある程度耐性があるのではないかと信じている者もいます」

「いずれにしても天使の末裔であることは確定的なんですか?」

「いえ、一説ですよ。本当に末裔かもしれませんが、それを知る術は我々にはありませんから」


 直訳すると『地獄(ヘル)天国(ヘヴン)』だけど……地獄の天使なら『ヘルエンジェル』じゃないのかしら?

 ちょっともじって名付けられたのかな?


「あと、雷魔法を得意とする者が多いのが特徴です。また、通常のヘルヘヴンは、黒い羽なのですが、稀に白い羽を持って生まれるものがおり、それを『白天使』という尊称で呼ばれることがあります。白天使は雷魔法に加え、光魔法が使える珍しい特徴を持ちます」


 魔界で光魔法が得意というのは珍しいらしいから、ホントに天使の末裔なのかも。


「それで、エミリーさんは珍しい白天使なのね」

「私だけではなく、アスモデウス様の側近は全員が白天使で構成されています。魔力は黒天使とそれほどの大差は無いものの光魔法と闇魔法が両方使えるのは何かと便利ですので」


 私の案内に白天使を付けてくれたってことは、それ相応と見てくれてるってわけか。

 今思えば、アクアリヴィアでも特別待遇だった。

 あまり気にしたことはなかったが、元とは言え七大魔王の一人(ベルゼビュート)だったというのは、各国に対して大きなネームバリューを持つのかもしれない。


「アスモも白天使?」

「いえ……歴代女王に光魔法を行使した方はいません。白天使は魔王の継承候補から除外されるので」

「除外される?」

「除外……というか、『色欲』の大罪から拒絶されるらしいのです。大罪所持者が亡くなられた時、近くにいる者が継承するのはご存じですか?」

「それは聞いたことがあります」

「白天使はどれほど能力が優れていたとしても、これまで継承された記録がありません」


 そういえば一緒に飛んだ時に出してた羽は黒かったな。

 大罪が光属性を嫌うのかな?


 ん? 側近全員が飛べるってことは昨日今日で歩いて来た五十キロは、別に歩いて来なくても、飛んでくれば良かったのか?

 私が飛べることを知らないから、私に合わせてくれたってことかしら? いや、でも途中で飛んだところ見せたしな。

 カイベルが飛べないからそれに合わせてくれたってことかしら? リディアも長時間飛べるかどうかはわからないし。

 みんな飛べるってもっと早く知ってればカイベルとリディア抱えて飛んできたのに。


 随分話し込んでしまった。

 リディア、随分静かだな。

 と思ってそちらを見ると――


 大人しくしている。

 プールで何十往復もして満足したからなのかと思ったら、コックリコックリ舟を漕いでいる。あのままにしておくと沈没しそうね。

 そろそろお風呂を出よう。


「さて、リディアも眠りそうですし、上がりましょうか」


 以前、濡れた身体のままお風呂から出てきて床を水浸しにした時に怒ったことがあるが、あの後からはきちんと全身拭いて出てくるようになった。

 今回のお風呂は問題無く終了。

 折角だから、部屋に備え付けられていた浴衣に袖を通した。

 リディアにも着用。ちょっと『リディア専用浴衣』に作り替えておくか。もちろん後で【魔法効果解除デスペルマジック】で元に戻しておくことを忘れない。


 カイベルは別の時間にお風呂に行く(てい)を装って、三十分くらいした後に浴衣姿で戻って来てもらった。

 何度も言うが、まだ他人と風呂に入れられないからね!

 とは言え、確認するのが億劫でずっと先延ばし先延ばし、ホントこの問題どうしようかな……


 お風呂の後は食事に舌鼓を打つ。

 部屋へ持って来てくれる旅館のようなスタイル。

 部屋が和室だったから、海鮮を期待したが、近くに海があるわけではないから肉料理が主だった。肉は昨日食べたばかりだから少し残念。


「なぁ~、カイベル~、ご飯美味しくないのカ? いつも美味しそうな顔じゃないけド……」

「いえ、美味しいですよ」


 と言っているけど、味覚が無いカイベルに食べ物の美味しさなんかわからないよね、多分……

 噛まないから口の中ほぼ素通りだし……

 こちらとしても、人型になったからにはできれば食事は楽しんでほしいとは思うんだけど……


「そうなのカ? それなら良かっタ! いつも無表情で食べてるかラ、ご飯が美味しくないのかと思っタ!」


 リディアから見ても心配な表情なんだな……

 まあ、もし私がカイベルが人形だと知らなかったら、目の前で無表情で食べられたら心配な精神状態にも見える。

 口の中に入ったものの味を感じられるにように作り変えられるかしら?

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