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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第5章 雷の国エレアースモの異常事態編
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第124話 リディアの馬車酔いとストレス発散

 会議室を出た後、リディアたちがいる部屋へ案内してもらった。


「あれ? リディアもう治ったの?」


 まだ私が会議室に入って一時間弱くらいだと思うけど……もう何か食べてる。


「カイベルが治してくれタ!」


 車酔いや船酔いって、結構後を引くはずだけど……

 私が人間の時なんて一度酔ったら、半日寝ててもまだ違和感あったくらいだし、酷い時は一日跨いでも次の日まで尾を引いたり。

 そう考えると、この身体に転生したら酔いもないし、ホントありがたいわ。

 クラーケンは酔いが回復しやすいのかな?


「どういう方法で治したんですか?」


 エミリーさんに訊ねると、その方法を教えてくれた。


「それが……アルトラ様が王城に入って行った直後、カイベルさんに『タライを貸していただけますか?』とお願いされて用意したところ、突然リディアさんを抱き上げて外に連れていきまして……路上に寝かせたと思ったら、タライの中に魔法で氷水を溜め始めました」


 路上に寝かせて、氷水? 何だそれ意味わからん……


「その後、寝ているリディアさんの股間付近に向かってその氷水を思いっきりかけたら――」


『ヒァッ!! 冷っタッ!! カイベルなにするんダ!! あれ? 気持ち悪くなくなっタ! 治っタ!!』


「――ということがありまして……そんなことで治ったのを見て、私も正直驚いています……」


 あ、それ見たことある!

 とあるバラエティ番組でやってた、船酔いした時の対処法だ!

 今まさに船酔いになっている最中に股間にキンキンに冷やした水をかけると酔いが無くなるらしい。

 でも、これって服着てる人にはできないことなのよね。ビショビショになるから。

 リディアは服を自分の身体で作ってるからできたことで。


「あの……リディアさん、服濡れたままだと思うのですが、大丈夫なんですか?」

「あ、大丈夫です。彼女の服、布製じゃないのですぐに乾きますから」

「そ、そうなんですか」


 エミリーさんはかなり困惑した顔してるな

 まあ、いきなり病人の股間に冷水ぶっかければビックリするよね……


 酔いが治ったとは言え、ちょっと疲れた顔してるな。

 今日は二十キロ歩いた後に馬車酔いだものね……

 やっぱりそのままホテルへ直行するか。


「エミリーさん、リディアがお疲れみたいなのでホテルに直行したいと思います。案内をお願いできますか?」

「了解しました、ちょっと遠いんですが、あの……一応お聞きしますが馬車に乗りますか?」

「いい! 乗らなイ! 歩いて行ク!」


 と言うので、歩いてホテルへ向かった。


   ◇


 五十分ほど歩いて、今日宿泊するホテルに着いた。

 エミリーさんがチェックインを済ませてくれる。


「みなさん、これでホテルへ宿泊できます」

「ありがとうエミリーさん」

「ごゆるりとおくつろぎください」


 アクアリヴィアでは、事前の突発イベントで結局ホテルなんか泊まれなかったからな…… (第72話から第75話参照)

 魔界に来て初のホテル泊だ。

 ここはあまりドレスコードも厳しくないようだから良かった。

 緊急事態中ではあるようだけど、今のところまだ動きは無いから、今晩のところはゆっくりさせてもらおう。


 案内してもらった部屋は和室。

 アクアリヴィアの最高級ホテルほど豪華ではないが、元・日本人の私としては落ち着けるスペースだ。


「畳は良いナ。うちと同じダ。凄い落ち着ク……」


 入った途端に寝転がるリディア。モフモフの絨毯も良いが、やっぱり畳は良い。


「風呂行こウ、風呂!」


 うちでは最近コワイから風呂入りたくないって言ってるクセに……まさか、微生物とかバクテリアとか、うちの風呂にしかいないと思ってるのかしら?


「良いけど、今日は泳げないからね」

「エーー!! ここなら広い風呂があると思ったのニーー!」


 かなり不満顔。


「私たち以外のお客さんもいるからマナー違反よ」


 うーん、ここ最近我慢させてるから、ここらで少しストレスを発散させておきたい。

 そうだ、だったら近くにプールがあるかどうか聞いてみるか。


   ◇


「すみません、この近くにプールがあるところってありますか?」


 フロントへ聞きに来た。


「このホテルの屋上に備え付けられているプールがありますよ」

「リディア、この屋上にあるんだって! 行ってみようか。ありがとうございました!」


 屋上に行くと、小さいもののプールが備え付けられている。大体十五メートルくらいかな?


「水ダ!! アルトラ! 入って良いカ!?」

「うん、良いよ。存分に泳いできて」


 一瞬でクラーケン形態に戻り、嬉々として泳ぎに行った。最近右腕に『リディア専用パジャマ』と同様の効果がある腕輪を付けているので、クラーケン形態になっても大きくなることもない。

 すっぽ抜けるのが心配だけど、触手の先端が太目になってるから、恐らく大丈夫だろう。


 私たち以外にヒトはいない。

 こういうホテルに備え付けられたプールって、子供時代にも両親と一緒に来たことあるけど、その時も私たち親子だけだったのよね。こういったホテルに備え付けられたプールって、あまり利用されないものなのかな?


「アルトラ様は泳がないのですか?」

「うん、アクアリヴィアに行った時はちょっとテンション上がってて入りたいとか思ってたけど、今日は良いかな」


 何十往復かした後に、「部屋へ帰ろう」と声をかけたが、まだ泳ぐと言うので、まだしばらく様子見。

 リディア……疲れてたんじゃなかったのかしら?


 その後、部屋に戻ってお風呂に行った。その際案内役として私に付けてもらったエミリーさんも誘う。


「カイベルさんは入らないのですか?」

「恥ずかしいから一人で入りたいそうです」


 と言ってお茶を濁す。

 まだ()()()()の確認が済んでないから、他人と入らせるわけにはいかない。

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