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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第5章 雷の国エレアースモの異常事態編
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第117話 雷の国へ行こう!

「ところで女王が二人して来て、護衛はどうしてるの?」

「今回はちゃんとした公務だからね、この家の周囲にいるよ」


 窓から外を覗くも――


「誰もいないじゃない……」

「窓から見えないところに待機してもらってるの。護衛抜きの三人で話したかったからね。こういう場で国同士の情報交換もするのよ」


 なるほど、国同士が仲が良いとこういう時便利ね。


「さて、じゃあ早速雷の国へ行こうか」


 その前に先にリーヴァントに公務だってことを言っておかないとね。


「ちょっと待ってて、外出の断りを入れてくるから」


 日帰りで帰ってくるつもりだけど、一応念のためコンクリ組のところに数日分の資材を卸しておかないと。


   ◇


 リーヴァントへ出張する旨を伝えるため役所に来た。


「今度は雷の国に行かれるのですか?」

「女王様直々にお願いされちゃってね」

「いつお願いされたのですか?」

「今しがただけど、それがどうかした?」

「いえ、村には入口が二つしかないのに、村の者に気付かれずにいつアルトラ邸へ行ったのかなと思いまして」

「空間魔法で直接来たみたいだから、村の中は通過してないんじゃない? 今私の家にいるから会ってみる?」


   ◇


 そしていざアスモに会わせてみると――


「おぉ! あなたが雷の国の女王様ですか! わたくしこの村でリーダーの任を仰せつかっておりますリーヴァントと申します。以後お見知りおきを。それにしてもお美しい」


 美しい? どちらかと言ったら可愛いが合う気がするけど……リーヴァントにはそう見えてるのか?

 めっちゃ握手してる……

 完全に魅了されちゃってるね……


「……悪いけど、ベルゼ借りてくね……」

「ベルゼとは……どなたですか……?」


 アスモが私を指さす。


「ええ、どうぞどうぞ! こき使ってやってください!」


 おいぃぃ! 領主に対する口の利き方じゃないぞ!

 ちょっと正気に戻ってもらおうか。


 バシィッ!!

「痛っ!」


 リーヴァントの腰を平手打ちした。


「目、覚めた?」

「え、あ? はい……私は一体?」

「この子の自動発動能力でちょっとおかしくなってたみたいだから、引っぱたいた」

「そ、そんな能力があるんですね……私今失礼なこと言いましたよね?」

「…………言ってたね……」

「失礼しました! 気を付けて行って来てください!」

「帰って来た時にはもっと村が発展するかもしれないから期待してて! じゃあ今まで通り村の運営をお願いね」

「分かりました、お気を付けて」


 今思ったことだけど、いつもリーヴァントに行き先告げても、全く心配されないな……

 領主が自らどこかへ赴くのだから少しくらい心配されてもおかしくないと思うんだけど……

 最近対応がかなり淡泊な気がする……もう私の振舞いに慣れてしまったからかな。リーヴァント曰く「突然どこかへ行く」らしいし。

 以前はもうちょっと大げさに喜んでくれたりビックリしてくれたりしたんだけどな……


   ◇


 次にコンクリ組のところに数日分の資材を卸す。


「何か量多くないか?」

「ちょっと雷の国へ出かける用事ができてしまったので、念のため三日分くらいの量を……」

「そうか、気を付けて行って来いよ!」

「お土産よろしくッス!」


 さて、資材も搬入したし、断りも入れたし、雷の国へ行くか。


「アルトラ、どこか行くのカ?」

「雷の国へ出張してくる」

「外国行くの楽しそうだナ! リディアもついて行って良いカ?」


 チラっとアスモを見ると、頷いた。


「アスモも頷いてるし、危険は無いだろうから良いよ。多分すぐ帰ってくると思うけど……今日はお友達は良いの?」

「今から雷の国へ行くって言ってくるかラ、ちょっと待ってテ!」


 友達の家へ走って行った。


「じゃあ、リディアも行くみたいだし、カイベルも付いて来てくれる?」

「分かりました」


 今回は全員でお出かけか。

 誰も勝手に我が家に入ることはないと思うけど、一応鍵かけて行くか。


「ケルベロス~」

「ワゥッ!」

「みんなでお出かけするから、家の番をお願いね」

「アォウッ!」

 「ワォウッ!」

  「ウォウッ!」


 文字通りの番犬だ。地獄ではなく我が家のだが。


   ◇


「お待たセ!」

「じゃあ行こうか、それでどうやって行くの?」

「それはわたくしがお送りいたします」


 突然登場した男性。

 と、護衛複数人。アスモの国の騎士団のヒトたちかしら?

 あと、レヴィ側の騎士団も登場。今までどこにいたんだ?


「わたくし雷の国の空間魔術師アルフと申します。以後お見知りおきを」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあ、私はベルゼへの橋渡しが終わったから帰るね」

「……うん、ありがと……」


 公務って、私とアスモを会わせることか。確かに別の国の女王同士の橋渡しだから外交に当たるのか。


雷の国(エレアースモ)へはわたくしがお送りいたします」


 そう言うとアルフさんは空間魔法を使う。


「さあ、どうぞ」


 空間転移魔法をくぐってみると――


 そこは岩山の上。

 事前に聞いてた通り雷が凄い……

 雨がパラついてる。雷の国だから必然的に雨とも関りがあるのかな。

 と思ったらすぐに止んだ。地面を見てもあまり雨が降ってるようには見えない。雨多いんじゃないの? どういうこと?


 そして、ここは疑似太陽が無いから空は真っ暗。

 が、常に雷鳴が鳴ってるから、雷の光で地面がずっと照らされ続けている。暗い光ではあるが、光魔法を使わなくても十分周囲が見えそうだ。


 ゴオォォン!!


「雷怖イィ!!」


 そういえばリディアを捕まえた時使った魔法は雷だったっけ。


「リディアうち帰る?」

「イイ! 我慢すル! でもリディアに雷落ちないようにしておいテ!」


 雷無効のバリアでもかけておくか。


「【全体的雷無効インバリド・サンダー・オール】」


 これで私たちに万が一雷が落ちても大丈夫だろう。


「ここが雷の国・エレアースモ?」

「……そうだけど……ここは首都から大分離れてると思う……」


 アスモが指さす方向を見ると、遠くにちいさ~~く光が輝いて見える。


「あの光が首都なの?」

「……そのはず……アルフ、何でこんなところに来たの……?」

「い、いえ、わかりません。何でこんなところに来たのでしょう……?」


 アスモお抱えの空間魔術師なのに、自分が指定したポイントに行けないのか?


「申し訳ありません、今一度……」


 再度【ゲート】を開く。


「今度こそ首都へ繋がっているはずです」


 しかし、くぐってみると――


 別の岩山?

 遠くに、【ゲート】をくぐる前に今私たちが居たらしき岩山が見える。


「……どうなってるの……?」

「わかりません……こんなことは初めてで……」


 その後更に空間魔法で移動しようとするも、平原に出たり、森に出たりと、一向に首都に近付かない。


「はぁはぁ……申し訳ありません……はぁ……もう魔力切れです……」


 まだ十回くらいしか移動してないけど……普通のヒトが使うと十回程度が限界なのか。


「ちょっと待って、もしかしてこれって……アスモ、この周辺の地図ってある?」

「……誰か地図持ってる……?」

「ここに」


 護衛の一人が地図を出してくれる。


「今までの出現ポイントが大体どの辺りか分かる?」

「……首都の見える感じから考えると……ここと、ここと、ここと…………!?……」


 やっぱり……


「……ほぼ首都を中心に、その外側に円状に出現してる……? ……空間魔法が弾かれてる……?」


 空間魔法を弾かれてると言うよりは、出現ポイントを歪められてるって言い方が正しいかも。


「何らかの力で空間魔法が歪んでるんじゃないかな。私の予想だと、雷……とか」


 強力な電磁波で、空間が歪むって話は色んな漫画や映画で見たことがある。

 そういった漫画や映画で、超化学技術を使って異世界への空間転移門を作る時にも、高電圧の電気を使うことが多い。

 つまり、空間歪曲と電気は、“創作の上では”割と密接な関係にある。


「……それはおかしい……今までも空間魔法で移動してきたけど、こんなことは経験が無い……」

「今の今までこんなことは無かったの?」

「……無い……ベルゼに会いに行く前だって、公務で移動に使ったけど、こんなことは一度も無かった……」

「それって国外に出た時の話?」

「……違う……全部首都内だった……」

「首都外に出たことは?」

「……最近だと今日以外は出てない……最後に出たのは……もう何ヶ月も前になると思う……今回のお願いのことでベルゼに取り次いでもらう目的でレヴィのところに行った時もこんな不具合は起きなかった……」


 ってことは、首都内⇒首都内、首都内⇒首都外は大丈夫で、首都外⇒首都内の場合のみこんな現象が起こってるってことかな?


「……そもそもここは雷の国……昔からずっと頻繁に雷が落ちるから、昔も空間魔法使用に異常が無いとおかしい……」


 それもそうか。

 と言うことは……ここ数ヵ月の間に異常が起きてるってことなのね。

 とは言え、現状では原因の特定は出来ないから、とりあえず街に着いて、落ち着いて原因が何かを考えたいところね。

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