勇者に転生したけど...
転生して女神にまで会ったけどなんか違う!ってお話です。
異世界転生ってやっぱり書きたくなりますよね。
「今日も疲れたなぁ」
俺は上条渉。普通の会社に就職して普通の日々を送り5年間、家と会社を往復する日々。特に趣味もなく、彼女もいないし親からはほとんど縁を切られた状態だしおまけに童貞だし。今日も帰って風呂入って飯食べて寝るか。そういえばこの前家の近くにお地蔵さん屋ができてたな。面白そうだから行ってみようかな。場所は...携帯をいじり自分を卑下しながら歩いていると、右の方から車のブレーキ音とクラクションが同時に聞こえてきた。その瞬間目の前が真っ暗になった。
(体が動かない。そうか、車に轢かれて死んだのか。まあ別に普通に生きていただけだし。趣味もなく彼女もいない、27歳で童貞。こんなやつ1人居なくなったっていいだろう。
頭が真っ白になっていく。これが死ぬって事なのか。地面の感触がだんだんなくなって...いかない!?俺自身にまだ意識がある!暖かい!でも周りからの声は聞こえない。なんだ、目が開きそうだ。)
俺は恐る恐る目をゆっくりと開いた。映った景色は一言でいうと真っ白の世界、遥か彼方まで白かった。ここはどこだ?俺はさっき車に轢かれて...先ほど起こったことを思い出していると目の前にものすごいオーラを放った女性が現れた。
「目覚めたのかい?」
耳を傾けたくなるきれいな声で女性が話しかけてきた。
「あなたは?」
「私は女神だよ」
「女神!?」
彼女は自分のことを女神といった。いろんな事が起こりすぎていて頭の処理が追い付いていないが、俺は思ったことを口にした。
「なんでサングラスしてるんですか?」
どう見てもサングラスをしている。真夏の海沿いドライブくらいのどでかいやつ。俺が1番思ったことはそれだ。
「めちゃめちゃ眩しいんだよここ!なに、なんでこんな真っ白にしたの?女神だからって別に何でも大丈夫じゃないからね?眩しいもんは眩しいんだよ!」
めちゃめちゃ喋る女神だった。なんかもっと優しいやつを想像していた。
「まあいい、さて渉よ」
「なんで俺の名前を!」
「まあ女神だからな。上条渉、身長170センチ・体重76キロ、ノベル株式会社営業部所属、年収350万、趣味は特になく家に帰ったら風呂に入ってご飯食べて布団で眠くなるまで携帯をいじる生活を5年、彼女いない歴27歳で童貞...」
女神は俺のことを前から知っていたかのようにプロフィールをすらすら話した。
「やめて!胸が痛いほんと、というか女神さん色々と詳しいですね、とりあえず色々教えてもらっていいですか?」
「ならば教えてあげよう、私は女神、この世界の管理者で名をジョシンという。上から93・62...」
「いやあなたの事を詳しくじゃなくて!3サイズ聞いたところでですよ、この世界について教えてください!」
「そっちか、この世界は1度死んだ者が転生する世界」
「転生?」
「そう、簡単に言えば違う体に生まれ変わるということ、試しに自分の体を見てみるといい」
ジョシンはそういうと、スタンドミラーを目の前に出した。その姿を見た俺は思わず声を出してしまった。
「誰!?」
「どうした渉」
「知っている俺じゃないんですけど!?体もめっちゃスリムになってるし顔もイケメンになってるし容姿変わりすぎじゃない!?上条渉の原型留めてないよ!」
もはや別人を見て俺は突っ込むしかなかった。するとジョシンがボソッと言った。
「でも一重は残してあるよ」
「そこは二重にしてよ!せっかくここまでイケメンにするなら瞼も変えてくださいよ!」
すかさず突っ込んだ。なんでそこだけ変えてくれない。
「まあいい、それで渉よ。お前の転生についてだが、」
「そうだった、俺は何に転生したんですか?」
忘れていた、転生したからこの世界にいるんだ。何に転生したんだ?奴隷とかだったら嫌だな。痛いの嫌いだし。ただの平民も何していいかわからないからなんかな。ハリー・〇ッターもクラスが決まる時こんな気持ちだったんだろうな。
「お前が転生したのは、勇者だ!」
「勇者!?マジの奴ですか?」
「そう、マジの勇者、本気と書いてマジ。良かったな」
「ユウシャ、ゆうしゃ、勇者...本当によかったんですか?俺には荷が重すぎません?」
勇者に転した事実を聞き少し不安になっていると、ジョシンが転生の説明をしてくれた。
「転生にもいろいろあってな、結構ランダムな感じなんだ。例えばネジの人もいる」
「かわいそすぎません?量産型の無機物ですよ?」
「それもその人の運命」
「結構理不尽ですね」
それを聞いたら勇者でよかったと思えてくる。先ほどまでの不安はもう忘れていた。
「とりあえずこれから渉には勇者となりドラゴンを倒しに行ってもらう」
「結構ハードル高いですね」
「でも倒せば願い事を一つ叶えてやろう、何でもだ。生き返るでもいいんだぞ。まあ旅をしていく中で考えていくがいい」
「そうですね」
生き返るか。またあの生活に戻るのもちょっとな。でも今はイケメン勇者になって旅をするのも面白そうだと少し思っていた。これからどんなことが起こるのか、いろんなことを考えているとジョシンが最後に、と話しかけてきた。
「渉はなぜか特別でな、すべての転生者は私がスキルを一つ設定するのに、渉はなぜか転生する瞬間にスキルを一つ習得していた」
「スキル!?それは役に立つスキルなんですか!?」
「お前のスキルは、どんなエコバックにも対応できる袋詰めのスキルだ!
「ええ!!戦闘に全く関係ないじゃないですか!」
「じゃあ私は眩しいので帰るね、また現れるかも知れないがその時はよろしく、アデュー」
「待ってくださいよ!ねえ!!」
不安な勇者生活が始まろうとしていた。
短編集なのでこのお話は続く予定はありません。どうやって戦うんでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。 きんたつ。