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きんたつ。短編集  作者: きんたつ。
11/11

今月のおすすめ

近所の服屋で今月のおすすめ商品を紹介されました。

 今日は近くの洋服屋に来た。毎回見るだけでほとんど買わずに帰るのだが、それだけではない。もちろん、見るだけで非常に楽しんではいるが、ここの洋服屋では毎月1日におすすめ商品を店員が紹介してくれるのだ。今流行りの服や、トレンドのアイテム、その店員が好きなアイテムなど毎月違う商品を紹介しているため、楽しみにしている。今月は何だろうか。商品紹介コーナーに足を運んでみる。着いたところで、店員に話しかけられた。


「いらっしゃいませー!お客さん、今月のおすすめ商品探してます?」


「あっはい」


「そうですよねー、結構皆さん楽しみにしてくださってて~」


「そうなんですね、それで今月のおすすめは何なんですか?」


「今月は、半ズボンです!」


「半ズボンですか」


 半ズボンって一番違いが分からない服なんだよなと思いながら詳しい話を聞いてみた。


「どんな半ズボンなんですか」


「よくぞ聞いてくださいましたお客様!今回ご紹介する商品、すごい半ズボンではないんですよ」


「すごい半ズボン?どんな感じなんですか?」


 店員はドヤ顔で説明を始めた。


「冷感性に優れています」


「半ズボンですよね?涼しい以前の問題だと思うんですけど」


「それだけではありません、履くと暖かいんです」


「どうゆう原理ですか?涼しくて暖かくて…半ズボンですよね?」


「あるじゃないですか、1枚着て涼しいとか暖かいとか、それをこの半ズボンは掛け持ちしてるんです!」


「すごいですけど、半ズボンなんですよね…他に何かおすすめポイントあるんですか?」


「お客様、コーヒーとかよくズボンにこぼしてシミになっちゃったって経験ありませんか?」


「あー、ありますね!缶コーヒーとかたまに溢すんですよ」


「今回紹介する半ズボンなんですけど、コーヒーがシミになりません!」


「凄いじゃないですか!そうゆうの待ってたんですよ!」


 最強の機能がついているなと思った。シミにならないなんて奇跡にも等しいじゃないか。でも次の店員の言葉に裏切られた。


「でも、コーヒーだけなんです」


「ん?どうゆう事ですか?」


「コーヒー以外はシミになっちゃうんです」


「醤油とかラーメンの汁とかは?」


「シミになっちゃいます」


「逆にすごいですね!なんでコーヒーだけシミにならないんですか!驚きしかありません」


「でもまだ紹介したい部分あって」


「どんなのですか」


「ズボンの表面に金属のトゲトゲ付いてます」


「金属のトゲトゲですか?もうルブタンの財布みたいになってるじゃないですか」


「ポケット15個付いてます」


「15個!?めちゃくちゃ多いな!てかそれはもうポケットが多いルブタンの財布履いてるじゃないですか!」


 さすがに、ルブタン財布の半ズボンは履きたくないなと思った。もう、少し呆れながら店員の話を聞いていた。


「あと、防弾機能付いてます」


「銃弾防げるの!?凄いですね!」


「はい!そうですよね!」


「半ズボンだから膝から下は生ですけどね!」


「除霊効果も付いてます」


「それは1番意味わかんない!なんですか、お守り的な感じなんですか?嫌ですよ、機能性お守りルブタン財布履くの!」


「でもこの半ズボン、重さが5gなんです」


「5グラム!?1円玉5枚分!?履いてるか履いてないかわかんないですね!てかそれで銃弾は防げないでしょさすがに」


「洗濯可能です!」


「金属のトゲトゲ取れて洗濯機ぶっ壊れないですか?大丈夫ですか?」


「そこは大丈夫です、スペアも付いてくるので」


「要らないですよ!多分トゲトゲ取れたら付けないですよ!」


「でもひとつ難点があって」


「ほとんど難点みたいな感じでしたけどね、なんなんですか?」


「カラーバリエーションが勿忘草色しか無いんですよ」


「緑のどれなんですか!濃いのか薄いのかも分かんないです!てか何なんですか、そんなの買いませんよ!」


「今月おすすめなんですけどねー、じゃあこれはどうですか?」


 そう言うと、店員はハンガーにかかっていた服を見せて来た。


「半ズボンと同じ機能がついたタンクトップなんですけど」


「買いません!」


 これだからここに来るのが辞められないのだ。こんな商品どこに売っていると言うのだろう。来月もまた来ようと改めて思った。多分買わないけど。


ここまで読んでくれてありがとうございます。他のカラーバリエーションあれば買うんですけどね。

きんたつ。

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