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きんたつ。短編集  作者: きんたつ。
10/11

かそうパーティー

ここでは奇妙な風習が行われている。10月31日に。

 今年もこの時期がやってきた。10月31日。この町ではみんなこの日を楽しみにしている。遠くに行ってしまった奴らも今年は休日というのもあり、帰ってくる人が多かった。みんなこの町の血がちゃんと流れているのだろう。

 夜19時。町の商店街が歩行者天国となりパーティーが始まる。みんな思い思いの格好をし、その瞬間を楽しむ。この町では屋台なども出ており、焼きそばやりんご飴など、夏の風物詩がこの時期にも出回る。珍しい屋台といえば、「感謝書き」だろう。お世話になった方や親、友人などに感謝の気持ちを書いて送るというものだ。夫が妻へ普段口にしていえないからと書いたり、若い子達が親に向けて書いたりしており、毎年結構人気がある。今日も車椅子に乗っている老人と若い男の子が書いているのを見た。

 夜22時。屋台がだんだん閉まり始め、メインイベントの準備が行われている。夏のお祭りの最後は花火が多いが、この10月31日のパーティーの最後は大きな火を熾す。その周りに人が集まり、まるでキャンプファイヤーのように踊ったり見つめたりしている。

 夜22時半。大きな日が最高潮に燃えてきた頃。この町の偉い人だろうか。関係者に誘導され用意された台の上に立った。周りの人はザワザワと騒ぎ始め、台上の方のお話を聞こうと我も我もと先頭に行きたがる。あちこちから時より、「村長ー!」と言う声が聞こえる。どうやら村長らしい。


「これよりメインイベントを始まる!」


 村長がそう告げた瞬間、何名かが並んで入場して来た。会場は大いに盛り上がる。並んできた者達は、清々しい顔をしている者も居れば、泣いている者、怒っている者もいる。全員それぞれの顔をしているが、向かっている場所は同じだ。階段を上ると板に続いており、その下はメラメラと火が燈っている。1人が板の先端に着いた。火の影でうまく見えないが先程、感謝書きを書いていた男の子のように見える。男は叫んでいた。今までの不満や怒りをぶちまけていた。その後無言になると、少しの間が空いた。火が燃えている。その瞬間、男が火の海に落ちていき、ボウッという音が聞こえた。

周りからは拍手喝采が聞こえる。

 次におじいさんが板に立つ。付き添いは娘さんだろうか。車椅子を押している。板の端に着いた時、おじいさんが自ら立ち上がった。娘さんは涙を流しているように見える。そしてそのまま火の海に飛び込んでいった。板の上は娘さんと誰も乗っていない車椅子が残った。

 その後も何名かが何かを言いながら飛び込んでいった。


 今日は火葬パーティーだ。




全員サイコパスすぎる所ですね。

ここまでお読み下さりありがとうございます!

きんたつ。

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