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迫り来る恐怖
はぁっ、はぁっ! くそっ、逃げられない……!
世の中には複数の魔物が存在する。
俺は今、その内の1体に追いかけられていた。
やつは疲れを知らない。どれだけ走り続けていようと、一定のペースを崩さずに迫ってくる。
ぐぁっ!
転んでしまい、その場から動けなくなろうとも関係無い。
顔色1つ変えずに、ジリジリ、またジリジリと確実に距離を詰めてくる。
誰か……、誰か助けてくれ……。
俺は逃れられない絶望を前に、ただ泣き喚くしかなかった。
うぅ……、うぅぅ……!
それでも、足が駄目ならと腕を動かし、這いずりながらも少しずつ前に進んだ。
俺は絶対に生き延びてやる……! あぁ、絶対にだ!
男は、迫りくる締め切りに焦燥感が増すばかりだった。