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新訳・エジルと愉快な仲間  作者: ロッシ
第二章【海賊大運動会】
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海賊の楽園

「おう!★野郎共!♪

遊んでねぇでさっさと練習だぞ♥️」


全く話し合いが纏まらなかった海賊達。

激論のように見えなくもない世間話を続けていたところに、ロシツキーが戻ってきた。


「あっれぇー?

せんちょー、いきなり前向き発言だねぇ。

どしたー?」


「まぁ、あれよ♣️俺も大人だからな♦️

いつまでも拗ねててもしゃーねーから、気を取り直していくことにしたわ♠️」


「へぇー。

あれだ、野郎共がやられちゃわないように、せんちょーが守ってくれるんだぁー。」


「バカ野郎!てめぇの身はてめぇで守るんだよぉ★」


「まったまたぁ。照れちゃってぇー。」


「うるせぇ♪とにかく、期日は迫ってんだ♥️

野郎共!♣️出航するぞ!♦️」





【海賊の楽園】


地図にも載っていない、世界の果て。


無人島が連なる列島の中のひとつ。


誰も寄り付くことの無い最果ての入江に、その町はある。


世界中の海賊達の聖地であり、裏社会の情報や物流の集まる中心地。

それがこの町だ。


4年に1度の海賊オリンピック。

一大イベントに沸き立ち、只でさえ騒々しいこの町は、至るところで喧騒、歓声、怒号、様々な感情が入り乱れていた。


港に船を停泊させたロシツキーはメルテザッカー、ポドルスキ、ルイーダを伴い、まずオリンピックのエントリーを行う為、海賊協会の本部へと足を向けた。


協会本部は海賊の物とは思えぬほど巨大で、まるで王族の宮殿と言われれば納得してしまう様な佇まいで、町の中央に鎮座していた。


人間の数倍の高さはある大きな入り口を潜ると、そこには大理石造りの広大なロビーが広がっていた。


「何度来ても無駄に広いんだどぉ。

海賊オリンピックの受付はどこなんだど?」


「おっ。

あそこに誰かいるぜ。あいつに聞いて見るか。

おーい!そこのお前ー!」






「あん?!

なんだ?気安く呼んでんじゃねーぞ!?

って、

ロシツキーのお頭じゃねぇですかい!!」


「あ、あ、あ、アルシャビン!♠️

元気そうじゃねぇか★」


「おお!アルシャビンなんだど!!」


「ご無沙汰しておりやす!皆も元気そうじゃねぇか!」


「おう♥️

独立してからの調子はどうなんだ?♣️」


「へい。ボチボチやってますぜ。」


「ほぅ、そりゃあ何よりだな♦️

ところで、ここにいるってことは、お前達も海賊オリンピックに出るのか?♠️」


「え?いや。

俺達は出場はしねぇんですが・・・。」


「あん?どーした?★

歯切れがわりぃな。お前らしくねぇ♥️」


「あー、俺、海賊協会の理事なんでさぁ。

オリンピックの運営の為にいるんで、出場は出来ねぇんでさぁ。」



「り、理事ぃ♣️」



ちなみに、海賊協会の理事会に入るためには、海賊としての格が高くないとならない。

7つの海の中、拠点とする地域で最も大規模な組織を形成する7つの大海賊団しか理事会入りは認められていない。




「いやいや。

俺の拠点としてる北方の海は環境が厳しいんで、海賊自体があんまりいないんすよ!

だから、俺みたいなペーペーでも簡単に成り上がれたんでさぁ!」


「私知ってるよぉー。

北方の海にはバイキングってゆー、ちょー強力で凶暴な豪傑海賊団がうようよしてるんだよね♪」


「いやいやいやいやいや!!

何を言い出すんでぇ、ルイーダ!!

そんなこと、ぜんっぜんないんだって!!

ぜんっぜん大したことないんだって!!!」


「アルシャビン船長。

そろそろ会議のお時間ですぜ。」



狼狽するアルシャビンを呼びに現れたのは、

動物の角や骨、毛皮で作られた武具を纏った髭もじゃだった。

身長2メートル。体重はゆうに150キロは超えそうな。


「あっ! バイキングだぁ。

すごーい、私初めて見たよぉ。握手してー。」


「え?俺っちですかい?」


「そうそう。大っきいねぇー、すっごいねぇ。」


「俺っちなんか全然小せぇ方で。

うちの海賊団の幹部の方々は、俺っちの倍はでっけぇんですよ。」


「おい!フッキ!

おめぇの倍でかいって、そりゃもう人間じゃねぇだろうが!

余計なことくっちゃべってねぇで、とっとと持ち場に戻りやがれ!」


「す、すまねー。船長。」


「あ、その姐さんと握手だけはしてやれよ。

無視するとこえぇんだからな。」


「マジすか。わかりました。」


「ロシツキーのお頭、面目ねぇ。

つぅわけで、俺はちっとばかし野暮用がありますんで、ここらへんで。

あ、オリンピックの受付を探してたんすかね?

それだったら、通路の突き当たりを右に曲がった部屋でさぁ。」


「お、おう♦️すまねぇ♠️」


「あ!そーいやぁ!」


「なんだ?★」


「お頭、また白き海賊団に絡まれてるらしいじゃねぇですかい?」


「よく知ってたな♥️

そうか、そういう情報もここには集まるか♣️」


「まぁ。

今、あの海賊団にはゲルダっつー女が絡んでるそうじゃねーですか。

あの女には気を付けた方がいいですぜ。」


「お前、知ってるのか?あの女を♦️」


「俺達の根城は帝国の領地の目と鼻の先にあるんで、奴の黒い噂は飽きるくれぇ聞いてるんでさぁ。

あっちの裏社会じゃ、奴は国外追放されたものの、未だにあの国の軍部と繋がってるってのが専らの通説でしてね。

何を企んでるのか分かったもんじゃねぇ。

お頭。くれぐれも気を付けて下せぇ。」


「分かった♠️頭に入れとくぜ★」


「んじゃ、失礼しやす。」



アルシャビンは颯爽と去っていった。



「すごいねぇ、アルシャビン。

バイキング達の海の頂点だってよぉ。

せんちょー、そっこーで抜かされちゃったね♪」


「お、お、お、お、俺、地位とかそーいうの、興味ないから♥️」


「せぇんちょぉー。泣きそうだよぉ?

どーしたの?」


「やめるんだど、ルイーダ。傷口に塩を塗っちゃいけねぇんだど。」


「ん?私、なんかした?」


「ダメだ。

エジルがいねーとこいつにツッコめる人間がいねぇ。」



アルシャビンと別れ、海賊オリンピックの受付を済ますと、ロシツキー達は酒場へと向かった。


その道中だった。








「お?ありゃーリオじゃねーか?」


「本当だど。」


大通りから、路地裏を歩くリオの姿が目に止まった。

周囲を気にするような素振りで足早に歩いていく。


「あいつ、こんなところで何やってるんだ?」


「今は自由行動にしてあるんだ♣️別にどこに行こうとあいつの勝手だろ♦️」


「にしても、なんか怪しい動きしてますね。

どこに行くつもりなんだろうか。」


「おい、ポドルスキ♠️

余計な詮索してんじゃねぇ★

人には人のプライバシーってもんがあるんだ♪」


「お頭。なんでいきなりそんな公明正大な感じなんですか?あ、あれでしょ。アルシャビンに影響されて威厳出そうとしてるんでしょ?」


「うるせぇよ、泣くぞ?♥️」


「きっとあれだよぉ。

あいつ、パフパフするつもりだよぉ♪」


「おいルイーダ♣️

若い娘が昼間からそんなことをデカい声で言ってんじゃねぇ♦️」


「あいつあんな可愛い顔して!

面白そうですね。ちこっと尾けてみますか?」


「パフパフするなら余計に放っとくべきだろ♠️」


「なぁんだ。せんちょーもパフパフに賛成なんじゃん。

じゃー、行ってみますかぁ。」


「そうしましょう!」


「しゃーねーなぁ★」


「みんな、性質悪いんだど。」




というわけで、趣味悪くリオを尾行することにした一行。


リオは時折周囲を気にしながら、路地を進んでいく。


始めは歓楽街を右往左往していたものの、徐々にそういった町並みから外れ始め、景色は次第にスラムへと変わっていった。


「ん?パフパフ屋を探してるんじゃないのか?」


「いや♪ひょっとしたらこういう町外れの辺りにこそ、穴場の店があるのかもしれないぞ♥️」


「なぁにぃ?あいつぅ、意外に詳しいなぁ。ウケるぅー。」


「あっ、立ち止まったど。」



リオが立ち止まったのは、とある集合住宅の前だった。

建物を見上げ、何かを確認すると、向かいの民家と民家の隙間に入っていく。

どうやらそこで集合住宅の様子を伺っているようだった。



「なんだなんだ?」


「まるで張り込みみてぇだな♣️」


「お頭。俺達もここであいつを張り込みましょう。」


「張り込みの張り込みか♦️

よし、メルテ。俺達も誰かに張り込まれてないか注意しろよ♠️」


「あんた、ものすごい楽しんでるんだど。」



リオが民家の陰に潜んでから小一時間ほど経った頃だった。

突如として立ち上がると、集合住宅へと向かって歩き始めた。


「あっ。順番が来たのかなぁ?」


「なんだと?★本当だ♪

あそこはひょっとして、パフパフの待合室だったのか?♥️」



その時だった。

集合住宅の一室の扉が開き、現れたのは・・・




つづく。

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