海賊①
新訳・エジルと愉快な仲間
第二部
俺達が亜熱帯の町を出てから、早いものでもう一月が経とうとしていた。
この頃になると既に大陸の極東地域に到達しており、あとは北端を目指すだけ。
この辺の土地はもはや俺達の文化圏とは全く違った進化を遂げていて、見るもの全てが珍しい新発見の連続だった。
人々の容姿も俺とは全然違う。
皆が皆、黒髪を持ち、なんて言うか平べったい顔つきをしている。
不思議なもので、大人のはずなのに子供のように幼く見えた。
強いて言うならルイーダに近い系統の顔立ちなのかな。
家々は木と漆喰で構成され、屋根には色とりどりの陶磁器みたいな板を乗せている。
その鮮やかな色使いは俺達の故郷や今まで通ってきた土地には見られない、独特の様相だった。
この辺は、かの有名な草原の王国の領地内だ。
世界の三大超大国のひとつだけあって、行けども行けども延々とこの文化の土地が続いている。
俺達は海岸線を辿るように北上していった。
それはある小さな漁村に立ち寄った時のことだった。
まぁ特に何か観光するような場所があるわけでもなく、特産や名産なんかも無いような、本当になんの変哲もない、普通の人々が暮らす村だ。
港みたいな施設があるわけでもないし、砂浜から小さな漁船を出したり地引き網をしたりするだけ。
そんな普通の村の様子がおかしいのは、到着してすぐに気が付いた。
街道から村に入ると、俺達の姿を見た途端に村の子供が逃げ出した。
そりゃあまぁ、こんだけ容姿の違う人間が突然現れたら驚くよな。
俺はそのくらいのことだって気にも留めずに村に入っていった。
するとどうだ。
子供だけじゃない。
家の外で魚を干したり網を補修したりと仕事をしていた大人達ですら、逃げ込むように家に隠れ始めた。
ものの数秒で、見える範囲からは人の姿が消えてなくなった。
「俺達、そんなに珍しいか?」
俺は馬車の座席に座るルイーダに振り返った。
「エジルの顔が恐いんじゃないかなぁ。」
「なるほどな。って納得いくか!」
「まぁしゃーないよ。ここ、きっとあんまり異国人が来ないんだよ。」
「最初からそれを言えよ。」
ルイーダはいつも通りにケラケラと笑っていた。
「この村じゃ宿は無理かもな。せめて食料だけでも調達したいがな。」
「パッと見てお店っぽいのも無さそうだねぇ。」
「さて、どうしたもんかな。」
とりあえず馬車を停めた時だった。
どこからともなく、何かが焼けるような臭いが漂ってきた。
食べ物が焼けるとかそんなんじゃないぜ。
明らかに油が焼けるきな臭い感じのな。
「どっかで焚き火でもしてるのか?
って、おい!!」
周囲を見回していた俺はその光景に驚いた。
「おい!ルイーダ!降りろ!!」
「なぁに?急に。」
「馬車が燃えてるぞ!!」
「え!?」
ルイーダが座席から飛び降りている間に、俺は急いで馬と車を繋いでいた留め具を外した。
馬車の後方、幌から火が上がっている。
炎の中に矢のような物が燃えているのが見えた。
どうやら火矢を放たれたらしいな。
「にゅやぁー!私の荷物ぅー!」
荷台に飛び乗ろうとするルイーダの首根っこを掴まえた。
「手遅れだ!諦めろ!」
どうやら油袋が仕込まれた火矢だったらしい。
火の手が速い。
既に荷車まで炎に包まれ始めている。
俺は周囲を見回した。
火矢を放った奴が近くにいるはずだ。
弓矢の射程なんてせいぜい50m。
いた。
射程ギリギリの民家の屋根の上に、弓を携えた男の姿を捉えた。
「ルイーダ!馬を頼む!」
俺は全速で駆け出した。
俺の動きを察知した男が屋根の向こう側に飛び降りたのが見えた。
なめんな。
俺はこれでもスラムのゴロツキの中じゃ一番足が速いんだ。
路地に入り込み、男がいた民家の裏手に回ると、少し離れた場所をそいつが走っている。
この距離なら追い付くのは難しくねぇ。
男が速度を上げて住宅街を走り抜けようとした時だった。
「どぉりゃあー!!!」
一歩先の路地から現れたルイーダが男の足元に滑り込むと、男の胴体に掴みかかりそのまま上空へと投げ飛ばした。
自分の走ってきた勢いにルイーダの力を足された男は盛大に宙に舞い上がった。
立て続けにルイーダは男の後に続いて空中に飛び上がる。
空中で器用に首を絡めとると、首投げの要領で相手と自分の体重そして落下の勢い全てを乗せ、男を背中から地面に叩きつけたのだ。
「がっは!?」
男は叩きつけられた瞬間、肺から全ての息が漏れたかのような悲鳴を上げた。
それだけじゃなく、どうやら衝撃で呼吸もできなくなったらしい。
地べたを転げ回って悶絶していた。
その辺で俺もようやくその場に追い付いた。
「遅い!」
第一声でルイーダに叱られた。
いや、嘘だろ。
俺の方が先に走り出したじゃねぇか。
俺より、と言うかその更に先を走っていたこの男の前に先回りして、今の技を仕掛けたって言うのかよ。
「いや、すまん。ってお前速すぎるだろ。」
「くぉるぁー!私の荷物どーしてくれんのよ!!」
俺の言葉は完全無視で、ルイーダは悶絶する男に馬乗りになり、襟首を掴んでガクガクと揺すっていた。
「まぁ待てよ、ルイーダ。ちょっと話させてくれ。」
「話すって何を!?私の荷物ぅー!!」
「俺に怒るなよ。落ち着けって。」
俺はルイーダの鳩尾の辺りに腕を回し、引き上げるようにしてようやく男から引き離した。
引きずられている最中もルイーダは足をバタつかせて、しぶとく男に蹴りを食らわせていた。
「うるせぇな。」
離すとまた暴れるから、俺はルイーダにヘッドロックを掛けたまま男に尋問を始めた。
「おい、お前。喋れるか?」
男の様子は特に変わったところはなかった。
草原の王国特有の、ボタンではなく帯で前を留めるスタイルの白いワンピースを着ている。
ルイーダに地面に押し倒されて泥だらけで、裾も何もはだけきってはいるが。
口髭と顎髭を蓄えた、中年の男だ。
俺は男の襟首を掴んで座り直させると、民家の壁に押し付けた。
「なぜ俺達を狙った?」
「くるぁー!荷物どーしてくれんだぁー!」
「しつこいな!ちょっと黙ってろよ!」
左腕でルイーダを抱え、右腕で男を押さえ付けるのは大変なんだ。
「殺すなら殺せ。」
男がようやく口を開いた。
「おいおい、いきなり物騒なことを言うもんだな。」
「これ以上貴様らに好き勝手はさせんぞ!例え殺されても、俺達は貴様らに抗う!」
「一体何を言ってるんだ?俺達はこの村に来たのは初めてだぞ。」
「騙されんぞ!この海賊めが!」
「おい、おっさん。俺達が海賊に見えるか?どこに街道から幌馬車に乗ってやってくる二人組の海賊がいるってんだ。海賊を警戒するなら海を見とけよ。」
「な、なに?海賊じゃないのか?
いや、いや騙されんぞ!またそうやって俺達の裏をかくつもりだろう!」
「もし俺達が海賊だってのを隠して村を襲うつもりなら、もっと別の手を使うわ。堂々と入ってきて馬車を焼かれたりしねぇわ。」
「じゃ、じゃあお前ら、海賊じゃないのか?」
「だから違うって言ってんだろ。」
「なに?いや、しかし!」
煮え切らない男に痺れを切らしたのか、しばらく大人しかったルイーダが再び暴れ始めた。
「ごちゃごちゃ言うなぁー!私の荷物燃やしてただで済むかぁー!弁償!弁償しろぉー!」
「もういい加減にしろって!勘違いだってんだから仕方ねぇだろ!残念だけど諦めろよ!」
俺は左腕の力を強めた。
「ふざっけんなぁー!!あの馬車にいくら積んであったと思ってんのぉー!!
売れば260万G相当の素材なんだからぁー!!」
「に!?」
「260まん!?」
思わずルイーダを押さえていた力を緩めてしまった。
途端に男に詰め寄った。
「てゆーか!海賊が馬車でゴロゴロ来るわけないでしょおがぁ!」
「いやそれはさっき俺が言ったから。」
「攻撃するにもちゃんと確認してからしなさいよぉー!!弁償できんの!?」
「す、すみません。」
「謝って済むかぁー!!」
俺が頭を掻きながら、どうしたものかと思案していると、近くの民家の戸が開いた。
中から駆け出して来たのは、中年の女と年端もいかない少年だった。
「あなた!」
「父ちゃんをいじめるな!」
口々にそんなことを言いながら、男の回りに纏わりついた。
なるほど。
こういう展開か。
「旅の方。主人が大変な粗相を致しまして、本当に申し訳ございません。」
女は男の脇で地面にひれ伏して頭を下げた。
くそ。
こういうのはまずいんだ。
こんなことされたらもう何も言えやしない。
「ほら!あなたももう一度謝って!」
「も、申し訳ない。」
今度は夫婦揃って地面に頭を擦り付けている。
息子もそれに倣って跪いた。
もうダメだ。
許す以外に道はない。
「いや、頭を・・・」
俺が言いかけた時だった。
「おうおう、ご内義さんよぉー。頭下げて済むなら勇者様はいらねぇーんだよぉー。
260万だよ?260万。私がどんだけ苦労して貯めたと思ってんのよぉー。」
大股を広げてしゃがみながら、二人の顔を覗き込むようにルイーダが言った。
俺はゆっくりとその首ねっこを掴み上げた。
「チンピラか、おめーは。
もういいよ、二人とも顔を上げてくれ。」
「エッジィール!!」
「また旅してたら集められるだろ。失くしたもんは仕方ねぇ。俺が魔物やっつけてやるから、もう切り替えろよ。」
「ブー!ブー!」
目一杯に頬を膨らませて両の親指を下に向けて抗議してるルイーダを無視して、俺は一家の前に立て膝をついた。
「それよりもだ、あんたさっき海賊って言ったな?」
「うっわ、出たぁー。やっぱそこに食いついたぁー。」
「うるせぇな!」
背後から予想通りの声が聞こえてきたから一喝した。
「良かったら話してくれねぇか?いきなり火矢を放つなんてかなり切迫してるんだろ。」
俺達は男の家で話すことになった。
だがしかし、その前にルイーダが放ってきた馬を迎えに行こう。
大体の話を要約すると、
海賊はもう数ヶ月間に渡って、この辺りの海岸沿いの町や村を荒らして回ってるらしい。
人の命こそ奪わないが、金品や食料を奪っていく。
まぁ、海賊だよな。
魔物だけでも手を焼いてるのに、それに加えて同じ人間にまで脅威に晒されるのはたまったもんじゃない。
「そうか、話は分かった。」
「んじゃあその海賊をやっつけたら、海賊が持ってる財宝で私のお金を補填しますからね!」
「いや話は早いんだよ。お前を説得する手間が省けてるんだし。だが違うよな?海賊に奪われた物は返すんだよな?そうだよな?
な?ルイーダ、分かるよな?」
「子供扱いすんな!
てか、エジルが海賊の話を聞き始めた時点で退治しにいくって分かってんだよ、こっちはぁ。
もうグダグダ言ってもしょーがないんだから、海賊の私物くらいは貰っても文句言わないでよね!」
「分かった。海賊の私物なら許可する。」
「うし!じゃあ行きますか!」
というわけで、俺達は海賊退治をすることにした。
話を聞く限り、海賊は割りと頻繁に襲来するらしい。
と言うよりも、定期的に各集落を回ってるんじゃないかと思われる。
月に一度くらい、北の方から現れるんだとさ。
どうも船の特徴を聞くに草原の王国のものじゃないみたいだ。
となると、どこかは知らねぇがいちいち国に帰ってたら頻繁にゃ来られないだろうから、この辺に拠点を構えて重点的に搾取しようって算段なんだろうな。
俺達はまずこの辺りの詳細地図に目を通した。
近隣の町の位置関係、月に一度のペースという情報を元にある程度の活動範囲を絞り込んだ。
その上で大体の場所に目星をつけた。
「ねぇ、ここか、ここか、それかこの辺のどこかに海岸から入れる洞窟とか、崖に囲まれた入り江とかあるぅ?」
「そうだな。確かこの辺りに割りとでかい洞窟があったと思うぞ。」
あ、ちなみに今はまだ男の家にいる。
情報が揃うまでは地元の人に聞くのが一番だからな。
「よし、ならまずはそこに行くか。
悪いけど、なんか食料を分けてくれないか?何日間か掛かりそうだ。」
「食料なら村の商店で仕入れられるぞ。」
ルイーダの体からドス黒いオーラが立ち上るのを感じた。
「あー、すまんが早めに撤回してくれ。またルイーダがキレるから。」
この人、やはりかなり不用意な人なんだろうな。
奥さんも大変だわ。
村を出て、北上すること3日目の朝。
海岸線を歩いていると、沖の方に船を見付けた。
非常に分かりやすく、真っ黒い帆にドクロのマークが描かれたキャラベル船だった。
「運が良いな。」
俺達が地図を見て目指した辺りは崖になっており、洞窟はその崖の下にあるようだった。
流石に崖を伝いながら洞窟を探すなんてのは現実的ではないと思っていた矢先の出来事。
とりあえず船を見張っていれば、勝手に洞窟に入って行くだろうから、その後を追えばいいだけの話だ。
俺達はできる限り身を隠しながら、船に平行して進んでいった。
半日くらい監視した頃、海賊船が沖から海岸へと進路を変えた。
どうやらこの近くに洞窟があるらしい。
遂に船が陸と垂直の進路を取り始めた。
「この真下か。」
場所さえ分かれば後は船が消えるのを待つだけ。
俺達は崖の上で昼飯にすることにした。
草原の王国の主食は、俺達の国と違ってパンじゃない。
米っていう穀物を炊いた、もちもちした粒々だ。
これがまた旨い。
昨夜、夜営で炊いた米を丸めて葉っぱでくるんで鞄に入れておいたから、それを食った。
ルイーダが仕込んでおいた塩漬けの魚が中に入っていて、米の甘さとその塩気が絶妙に絡み合う。
「旨いな、この魚。」
「そぉ?私のには入ってないから分かんないけど。」
「そうか、お前、肉も魚も食わないもんな。」
「代わりにスパイスで漬けた野菜入れたけど、これも美味しいよぉ。」
「マジか。一口くれよ。」
そうこうしているうちに、船が崖に消えていった。
「よし、行くか。」
俺は指についた米粒を残さず口に入れると立ち上がった。
ルイーダが俺のと自分の鞄を両肩にクロスしてかけた後、俺の背中に飛び乗った。
「フルーゲン。」
両手を胸の前に合わせてから力をある言葉を呟くと、周囲の風が俺達の体を包み込んだ。
十分に風を纏ったのを感じると、俺は崖から飛び降りた。
ちなみにこのフルーゲンって術は、一般的には飛行術だと思われているがそうではない。
正確には滑空するものだ。
だから地上では使い物にならない。
例えば走る代わりとして使おうとしても、人がジャンプしてから落ちるまでの時間を長くするだけというイメージで、ほんの数メートルしか維持できない。
基本的には高い場所で使うのが正しい使い方だ。
崖から吹き上がる風を受け、バランスを取りながらゆっくりと下降していく。
海面から20メートルほどはあろう大きな洞窟が顔を覗かせた。
「なるほどな。これだけでかけりゃ船ごと入るか。」
立ったままの姿勢から、うつ伏せみたいに腹を下にした姿勢に体を傾けると、前に進むよう意識を変更した。
「奥までの距離が分からねぇ。ちょっと速度上げるから振り落とされんなよ。」
俺の言葉にルイーダがタップで答えたのを確認すると、俺は一気にスピードを速めた。
洞窟内部には定間隔に、壁に松明が灯されている。
拠点としてしっかり整備されてるってことか。
洞窟の奥行きはそれほどの距離ではなかった。
ほんの数十秒飛んだところで、先程の海賊船が停泊しているのが見えた。
俺はスピードを緩め、一旦宙に留まって様子を伺った。
洞窟の行き止まりに平坦岩場がせり出しており、接岸するには都合の良い造りをしている。
その先には、更に奥に向かって人がひとり通れる程の小さな穴が開いているた。
穴の入り口には松明がかざされており、あそこが海賊の居住区に繋がると見て間違いないだろう。
まるで人工物みたいな都合の良い構造だ。
甲板に人はいないらしい。
荷物を下ろしたりの作業もしていない。
どうやら全員、船からは引き上げたあとらしいな。
俺はゆっくりと岩場に着陸した。
ルイーダを背中から下ろすと、穴の入り口に向かって歩き始めた。
「どっから現れやがった?」
洞窟内に男の声が響き渡った。
振り返ると、甲板から垂れ下がる縄梯子の中程に男がしがみついてるのが見えた。
なるほどね。
甲板から降りる途中の奴がいたってわけか。
ちょうど俺のいた場所からは死角になってたぜ。
男は梯子から飛び降りると、ほとんど音を立てずに着地して見せた。
この身のこなし、けっこうやばい奴かもな。
立ち上がり、ツカツカと俺達に歩み寄ってくる。
背はそれほど高くはない。
ルイーダより少し大きいくらいだ。
細身だが、引き締まった感じがダボダボの服の上からでも伝わってくる。
松明の明かりが男を照らし始めた。
くすんだ金髪に鋭い眼光。
俺の剣の間合いは半径3メートル。
そこから中に入ってきたら戦闘開始だ。
俺は柄に手をかけた。
「剣に手をかけたってことは敵か。」
男が言った、次の瞬間には、
俺の目の前1メートルの場所で、抜き身のサーベルを持って腰を屈めていた。
速い!?
俺は剣を抜くのを諦め、攻撃を避けることに集中した。
横一閃、首元を狙ってサーベルが薙ぎ払われた。
俺は背後に身を反らし、サーベルが通り過ぎた瞬間を狙って足を振り上げた。
男の肘を上手いこと捉えた。
サーベルが手から抜け出し、洞窟の暗闇の中をクルクルと回りながら飛んでいく。
その剣を追ってルイーダが飛び上がり、空中で器用にキャッチした。
「なんだよ、やるな。」
得物を取られた割りに、男の声は余裕に溢れていた。
「お前こそ、下っぱの海賊のくせにいい動きしてるじゃねぇか。」
言いながら俺は抜刀した。
「丸腰相手に抜刀かよ。まぁいいや。
オレっちが下っぱかどうか、その目で確かめろい。」
男が両手を水平に広げる。
その掌を包み込む空気が歪んで見えた。
まるで口を広げたワニみたいに両手を上下に移動させると、勢いよく腕を閉じた。
気が付いた時、俺の目と鼻の先には男の顔があった。
「ようこそ。」
俺は男に思い切りぶん殴られた。
続く。




