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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

〜剣と魔法の世界のにもサイコパスはいる(はず)〜

〜剣と魔法の世界にもサイコパスはいる(はず)〜

ナイフを美しいと感じた。

ナイフを見つけた時それを独り占めしたいと思い懐にしまった。

畑仕事をやらされたり、家事を手伝わされる時以外はナイフをずっと愛でる。

「ねぇ、ライル、うさぎのさばき方教えるからこっちおいで」

また母に手伝わされる。面倒に思いながらも向かう。

台所は高いので椅子の上に立つ。

「ライル、こうやってさばくの。」

母は俺の手に手を添えながらうさぎをさばく。

皮からぷっつっと血の線が入って血がとめど間も無く溢れる。そして俺は全身の汗腺が開くのを感じた。

これ気持ちいい。



「ライル、さばき方覚えた?」

俺は頷く。

「いい子ね。ナイフの手入れの仕方も教えないと。」

夕食も味がしない。母の声も兄弟たちの声もこだまするだけだ。あの、ぷっつとした感触が頭の中で回り続けるだけだ。

その晩俺はみんな寝しづまってから刃を研いでいた。


翌日畑仕事の手伝いを終えてから母の服の裾を掴み行った。

「ねぇ、お母さんうさぎさばきたい。」

「えらいわね、じゃあ今日もお料理手伝ってね。」

それから数時間ナイフを研いでいたが待ちきれない。ナイフがなにかを切りたいと言っているような気がしたから。



なにを切ろう、近くに落ちていた木の枝をとり、スパッと切る。ちょっと楽しい。それから拾って切り拾って切り拾って切っていた。

「おい、ライル母さんが探してんぞ。てか枝こんなちっこくしたら薪にも使えねぇーぞ。」

俺は頷き、家に向かう。


「ライル、帰ったの。さあ料理しましょ。」

母との料理が一番楽しい。

その晩も刃を研いだ。夜月に輝くナイフを美しいと思った。


あくる日も畑仕事をし終わって、今すぐ皮に刃を入れるあのスゥッとする感触を味わいたくなった。

村の外に出てみる。


大丈夫誰にも見られていない。

目に見える範囲にはなにもいない。森に入る。腰の高さほどある草をかき分け進む。

感覚を研ぎ澄ましていく。

カサッ。なにか音がした。顔を向けるとうさぎがいた。俺はうれしさに震え上がり、走る。うさぎの耳がピクっと動くとこっちを見て、逃げていった。

なんで逃げる。俺は追いかける。

そしてうさぎを見失った。

なにかの音を聞いた。その方へ進むと川があった。

川で顔を洗う。はぁ早く早くなにかを…。

「おーい坊主こんなとこでなにしてんだ?」

漁師ぽい人が来た。俺は俯く。彼は俺に歩み寄り膝をおり俺の頭を撫でる。

「迷子か?」血しぶきが舞う。彼は微笑みを浮かべたままドサッっと倒れた。

気持ちいい、ああこれだこれだ。頭に刺してみる。硬い感触のあとはサクッと刺さり汁が出る。俺は夢中になって刺して切って切って刺して切った。

"短剣術level1を習得しました"

我に返って周りを見る。声がしたのに誰もいない。

ぐぅー。お腹減った。今度は食べ物を探すために周りを見る。鞄が落ちている。中に入ってた果物と干し肉を食べる。おいしい。

刃を研いだあと鞄を背負いながら森を歩く。

夜も更けたので木にもたれ寝た。


空腹で目が覚めた。お腹減った。

鞄を漁ると硬い感触がした。ナイフだ。二本目のナイフを手に入れた。刃を見ると研ぎたくなった。

研いでいるとふと視界に影が見えた。うさぎだ。なぜか周りが遅くなったような気がした。体が自然と動いた。持っていたナイフを投げる。ナイフがうさぎに迫る。俺もスゥッと立ち上がり低い体勢のままうさぎに接近する。ナイフがうさぎに刺さる。俺はうさぎの首を跳ねる。

うさぎおいしそうだな。皮を剥ぎかぶりつく。うまい。食べたうさぎをほおり、ナイフの手入れをして木陰で休憩する。かすかに射す光とそよかぜが気持ちいい。うとうとしていると凄まじい寒気がした。見ると緑の小人がいた。手に小刀を持ち気持ち悪い笑みを浮かべている。

ちょっと硬そうだな。あの肌に刃を入れたらどんな感じなんだろう。早く早く刃を滑らせたい。俺はそいつの剣を避けて腹の肉を切る。ああ良い、もっともっと、切って切って、ふとそいつの顔を見た。

体が震え上がる。そいつのなんとも言えない表情がたまらなく好きだ。

"回避level1を習得しました"

"短剣術level2を習得しました"

ナイフを手入れして落ちてた小刀を拾って観察する。

うす汚れていて美しくない。美しくしよう。夜になり完成した。美しい。小刀は美しく木の葉の間から漏れる月の光の下で輝いた。


喉の渇きで目が覚めた。鞄を漁ると水筒が入っていた。喉を潤し立ち上がる。小刀を持ち川を求めて歩く。川の冷たさを感じたくなったのだ。

カサッ、カサッ、カサッ、カサッ周りで音がする。

囲まれている。

俺は走った。でも音もついてくる。走ってもついてくる。息が荒れてきた。

横から何か飛び出してきた。小刀を振る。何かにあたる。俺は止まり振り返る。

三匹の狼がいた。ナイフを投げて接近し小刀を振る。

ナイフは避けられたが小刀が脳髄を割る。

脇腹に痛みが走る。懐から愛用のナイフを出し突き刺す。狼には引かれるが力を振り絞り、跳び頭をかち割る。何か突き飛ばされ転がる。瞬間顔をかばう。覆い被さられ噛まれる。痛みに耐え愛用のナイフで刺し続ける。次第に狼の力が抜けていく。

狼をどかすが全身が痛く立てない。

"夜目を習得しました"

"疾走を習得しました"

ああだめだ。体が動かない。視界がぼやけてきた。

俺は意識を失った。








あったかい、ああここはどこだ?知らない天井だ。

横を見る。ここはログハウスらしい。おっさんが何かを作っている。起き上がろうとするが痛みが走り、ぼすっと倒れてしまう。

おっさんも気づいたようでこちらを見る。

「良かった。気づいたか。」

こちらへ歩み寄る。

「大変だったな。よく頑張ったな。なにも言わなくても良い。」

そう言って俺を抱きしめた。

「さぁ食え。そして寝てろ。」

料理を出してきた。俺は頷き食べる。うまい。

そして寝た。

三週間後、俺はようやく完治した。

おっさんはシェイクという名前で昔は名を馳せた騎士らしい。だが色々あって今は森の中のログハウスで一人暮らしているそうだ。自分で語ってくれた。

「おじさん、俺もう帰るとこないしここで住んでもいい?」

「ああ…。いいよ。いつまでいてもいいよ。」

シェイクさんは目を拭いながら言った。

そして優しく微笑んだ。


平和な日常を数日過ごして思った、何かを切りたい。

「おじさん、料理手伝うよ。」

「偉いな、じゃあ一緒にやるか。」

料理をし終わったが足りない。


翌日、森へ入ろうとするシェイクさんに頼んでみた。

「俺もついてってもいい?」

「だめだ。危ない。」

わかってはいたがだめらしい。長期的な作戦で行くことにする。

「じゃあ、帰ったら俺に武術教えてよ。」

シェイクさんは驚いた顔をした少し嬉しそう顔だった。

畳み掛ければいけることを確信し、

「俺強くなりたいんだ。少なくとも狼ぐらい無傷で倒せるくらいに。」

シェイクさんは微笑み

「俺の訓練は厳しいぞ。」と言い森に消えていった。


その後、料理を作ることで我慢し刃を研いだ。


次の日俺は素振りをしていた。

「脇を締めろ!動きがぎこちない!ちゃんと踏み込め!違うそうじゃない!よくみてろ!こうだ!!」

予想以上に厳しかった。

「よし次は走りこめ!」

昼まで走らされた。予想以上に厳しかった。

「よし!次は俺に打ち込んでこい!」

木刀を打ち込むがいなされ木刀で打たれる。

「まだだ!!!もっとこい!」

「まだだ!!

「まだ!!だ!


夜にはぼろぼろの俺が転がっていた!

「よく頑張ったな!お前才能あるぞ!明日のためによく食って寝ろよ!」

予想以上に厳しかった。


それからニ年後一人で森に入るのが許され、それから一年後シェイクさんから認められた。

「ライル今までよく頑張ったな。お前は強い。このままこの森にいるのはもったいない。南にずっと行ったところに町がある。そこに行け。」

俺もかなり強くなった実感があった。だがまだシェイクさんが本気を出したことがないこともわかっている。俺はまだシェイクさんより弱い。

「おじさん今までありがとう。強くなったらまた帰ってくるよ。」

「早く行け。これは餞別だ。持ってけ。」

そう言って強そうな剣とナイフを押しつけてきた。

俺は受け取り、森へと歩いて行く。一度振り返るとシェイクさんは泣いていた。俺はそれを見たあとそのまま歩いた。


ふう、三年間全然出来なかった。前までは欲求が溢れていたけど今は忍耐力がついた。欲求が濃縮され腹の奥底でそっと沈殿している。そういう感じだ。

ああ…うずく。とりあえず町へ行こう。



ん?剣戟の音がする。道の方からだ。やっとやれる。急ごう。

道を見下ろしている。馬車を十五人の兵士が守り戦っていて四十人くらいの見るからに盗賊っぽいやつらが襲っている。

人が戦っているのを見るのも楽しいな。

ああ、盗賊が斬りかかるけどふさがれて蹴られて頭かち割られてる。ふふふ、滑稽だな。ピクピクしてる。

もうちょい観戦するか。


兵士が九人まで減って盗賊が二十くらいまで減った。

兵士優秀だな。もうちょい観戦するか。


兵士が四人まで減って盗賊が十まで減った。

よし行くか。



「助太刀する。」


皆、一瞬こちらを見るがすぐに視線を戻す。

「感謝する。」偉そうな兵士が呟く。

俺は駆け出し盗賊に接近するとそいつはナイフを投げてくるが右手の剣で弾きすれ違いざまに左のナイフで斬る。

そのままの勢いで近くにいた兵士を斬りつける。

「なっ!?」兵士は驚いた顔をするが剣で防ぐ。

俺は左手のナイフで首を切り裂く。

やっぱり良い。ああ…だめだ、もう我慢できない。

「奴は敵だ!気をつけろ!奴は敵だ!」

迫り来る剣をいなし切り裂き、槍もかわしナイフを投擲し、避けて切りいなし切り裂き投擲し切り切り裂き切る。

"剣術level7を習得しました"

"槍術level1を習得しました"

"回避level5を習得しました"

気づいたら立っているのは二人だった。

俺と盗賊っぽい奴だけだ。

「くそ、いったい何者だ。仲間も殺すし敵も殺すし何が目的だ。」盗賊っぽい奴が問いかけてきた。

「いっぱい切りたい。」

「なるほどな、お前みたいな奴知ってるぜ。じゃあ仲間になんねーか。仲間になればいっぱい殺せるぜ。俺の目的はあの馬車の中にいる令嬢様だ。な、ウィンウィンだろ。」

いっぱい切れる。良いかも、

「良いよ。」

「良いわけないよな、でもょ…って良いのかよ。意外すぎだろ。じゃあ令嬢様連れてアジトに帰るぞ。」


馬車の中を見るとメイド服を着た奴がレイピアを持っていた。メイドの刺突をナイフでいなし剣を突き刺すがかわされる。

「令嬢は?」

「さぁ存じ上げませぬ。それにあなたはもうここで死ぬので知る必要もありませぬ。」

レイピアを胸の前にピッと立て刺突を放ってくる。

ナイフでいなそうとするがその前にレイピアを引かれ顔めがけ刺突を放ってくる。

俺はなんとか剣で防ぎ左手のナイフを投擲する。かわされるが剣で叩き斬る。血飛沫の中「お嬢様…。」という言葉を聞いた。美しい。至宝だ。

"礼儀作法level1を習得しました"

あいつの元に戻るか、


「令嬢いなかったぞ。」

「そうか、大丈夫だ。この先に伏兵がいる。アジトに向かうぞ。」



二時間ほど歩いたところに洞窟があった。

「ここがアジトだ。ボスに会ってもらうぞ。」

洞窟の中はランプが所々にあり明るかった。

一番奥の部屋の中に入るとでかい、顔傷だらけのがいた。

「おい、ノアールそいつは?」

「こいつ仲間になりたいみたいなんすよ。おい挨拶しろ。」

「ライルと申します。よろしくお願い致します。」

自分でも驚くほど美しく礼ができた。

「ふん、まぁいい、例のはよくやったか?」

「はい、馬車を襲いましたよ。」

「よおし、今頃ミシェール伯爵が令嬢を捕らえていることだろう依頼完了だ!がははははは!」

はぁ、切りたい。


その晩アジトの一室で寝た。

翌日、ノアールが待っていた。

「よお、よく寝れたか。いきなりだが仕事だ。ついてこい。」

五人で道を見張り少し離れた草むらで残りの五人が待機する。

二時間後五人のパーティが道を通った。ノアールを見るが首を振る。

「あいつらはだめだ。」

一時間後四人パーティが通る。ノアールが笛を吹いた。草むらから俺らが飛び出す。

「死にたくないなら降参しな!悪いようにはしねーよ!」ノアールがいい顔をしながら言った。

四人パーティは驚いた様子だがすぐに戦闘態勢に移行する。

「なめんじゃね!!」と戦士が叫び、

後ろで魔法使いが暗唱している、剣士も剣をしっかりと構え、僧侶もメイスを構える。

こいつらやる気だ。俺は思わず口角が上がるのを感じた。

俺はナイフを投げ戦士に接近し、剣を振り下ろす。

「なっ!?こいつ早い

ナイフの刺さった戦士の首を切り落とす。

「いやーーー、」僧侶が泣き叫び崩れ落ちる。

「ファイヤーボール!」

迫り来る火の玉を避けたところに剣士が剣を振り下ろしてくるがナイフでいなし首を斬り下ろそうとするが態勢を立て直した剣士に防がれる。俺は剣士の腹に蹴りを入れ態勢が崩れたところに剣を振り下ろす。

ああ…良い。ナイフもいいけど剣で叩き斬るのも気持ちいい。

もっと切りたい。女二人は捕まっていた。

「よくやったな。こいつらで遊んだら一旦アジトに帰るぞ。」


アジトに女たちをおいてから二組ほど襲った。

そしてその晩もアジトで寝た。


次の日も三組ほど襲った。

その次の日もアジトで起き近くの川で顔を洗う。

「やあ、ライル。隣いいかい?」

俺が頷くとマイクは隣に座る。こいつは最近よく話しかけてくるやつだ。

「ライルって本当に強いね。羨ましいよ。女も抱かないし、冷静で落ち着いてるし、何かの信念のもとで生きているんだろ。かっこいいよ。」

マイクは清々しい笑顔を向けてきた。

俺は頷くと立ち去る。

剣戟が聞こえた。

ああ…。切れるあの感触をまた味わえる。

音の元へ向かうとアジトの前で盗賊たちと兵士が戦っていた。

「盗賊どもがシャルナーク家の馬車を襲った!皆殺しにしてやれ!一人の逃すな!」偉そうな兵士が叫んでいる。

「あいつらミシェール家だ。裏切りやがった。ライルこれはだめだ、逃げよう。」マイクが何か言っているがだめだ、もう無理だ、我慢できない。


俺はナイフを投擲し叩き斬り避けて切り落とし投げて切りいなし切り裂き避けて切り投擲して叩き斬り避けて切る。

"剣術level8を習得しました"

"短剣術level6を習得しました"

"盾術level1を習得しました"

切って投擲していなし切り裂き切り避けて蹴りいなし切り裂き投擲して切り裂く。

"体術level5を習得しました"

ああ…楽しく美しい舞う血飛沫が溢れ出す血が肌に引かれる赤い線が

シュッシュッシュッああ…もう止まらない。止まらない。

「もう無理だ。ライルこれ以上は死ぬぞ。周りを見ろ。明らかに劣勢だ。」

ん?マイクくんだ。いたんだ。俺の近くで剣を振っている。

「考えろ!今死んだら、犬死だ。引こう。」

確かに死んだらもう切れない。もうちょっとやりたいけど引くか。

俺が頷くとマイクは顔を明るくし走り出す。

森の中にも兵士がいっぱいいたが全て斬り伏せた。


夜になり木陰で休憩してるとマイクが話しかけてきた。

「ライルこれからどうする。俺はもうこんな危ないことはやめて街で暮らすよ。」

街…そういえばシェイクさんが街とか言ってたな。

「俺も街に行くよ。」

マイクは嬉しそうに歯を見せて笑った。

刃を手入れしていると気持ちいい夜風が吹いた。


三日間マイクについて歩くと街に着いた。高い城壁の下で人々が列をなしている。

列の後ろに並び二時間ほど経つと門についた。

「街に入る目的は何だ。」門番が話しかけてきた。

「俺は商人になりたくて、商人ギルドに登録しにきたんだ。」

「そうか。お前は?」門番が俺を見てくる。

俺はどうしてだろう。特に目的ないな。

「ライルも一緒です。」

マイクがフォローしてくれた。

「まぁいい。三百コル払え。そうすれば入国券をやる。3日以内に何かしらギルドに入れ。」

金を払うと入れてもらえた。

街に入るとでかい大通りがあり活気が凄まじい。

そして遠くにでかい白亜の城が見える。

通りを歩いているとマイクが話しかけてきた。

「ライルは何のギルド入るの?」

「ギルドって何?」

「えっ?ギルド知らなかったんだ。ギルドは仕事をくれる所だよ。冒険者ギルド、商人ギルド、職人ギルドとかあるよ。」

「冒険者にするよ。」

「じゃあお別れだね。また会えるといいね。冒険者ギルドはそこの通りを右に行ったらあるよ。じゃね。」

マイクは手を振りでかい建物に入って行った。

俺は言われた通り歩いて冒険者ギルドに着いた。

これも大きな建物で剣と盾の看板がついている。

建物の前には人が溢れかえっている。

建物に入ると広々としていて酒場やカウンターやら看板やらがある。カウンターに向かうがここにも大勢並んでいてうんざりする。

しょうがなく並ぶと待つこと三十分俺の前の子供が冒険者登録していると

「おいおいこんなガキが冒険者だって笑わせんな。もしかして迷子か。一緒にまま探してやろうか!ガハハハハ!」

と大柄の大剣持った男が近づいてきた。

その男に続いて三人の男が笑いながら歩いてくる。

受付嬢はキッと睨むが、男は意に返さない。

目の前の男の子は腰の剣に手をかけ

「子供が冒険者になったらだめだっていうルールあるんかよ!」

と叫ぶ。

どうでもいいけど早くして欲しい。

受付嬢にどうにかしてくれとアイコンタクトをするが、受付嬢は大男を睨み続けていて見ない。

「おっと剣に手を掛けたら、命の取り合いをするってことだぜ。俺こえーよ。この坊主に殺されそうだよ。

俺は俺の身は自分で守らせていただくぜ。」

そう言って大男は坊主を蹴飛ばす。男の子は壁側まで飛んで行く。

「アクトくん!!!」受付嬢が叫ぶ。

やっと前が空いた。こっちは欲求不満でイライラしているんだ。

「すいません。冒険者登録させていただけますか。」

「え?」受付嬢が惚ける。

「ん?」俺も惚ける。

沈黙が流れる。

ドスドスドス

大男が歩いてきた。

「お前舐めてんのか。あ!?舐めてんだろ、あ!?一回死んでみねぇとわかんねぇだろ、あ!?」

ああ…もうだめ、もう無理だよ。体中が渦渦するんだ、

俺は自分を抱き締め、体を震わせる。

「がははは!!こいつ震えてやがるぜ!悪りぃな!怖かったなぁ!悪りぃ悪りぃ!」

そう言って肩に担いでいた大剣を担ぎ直す。

そしてそのまま血の海の中に倒れる。

"身体強化level1を習得しました"

ああ…気持ちいい。やっぱりナイフが一番いい。一番味わえる。あっそうだ。登録しないと

「すいません。冒険者登録していただけますか。」

「きぁゃゃゃぁぁぁぁ!!!!」受付嬢が叫んでうづくまる。

なんなんだこの人は。いつになったら登録してくれるんだ。

「ラオス!!!くそっ、テメェテメェ。ぶっ殺す。」

男三人が剣を向けてきている。

思わず口角が上がってしまう。

ナイフを投げてかわし切り裂きいなし突き刺し蹴飛ばし馬乗りになり首を掻っ切る。

"弓術level2を習得しました"

"体術level6を習得しました"

首にできた口が血を吐いている。滑稽だ。思わず笑みを浮かべてしまう。立ち上がると、冒険者に囲まれていた。

「何事だ。」髭面の筋肉質なおっさんが出てきた。

「これはラオスか、あとスミスとビルとロフか。

お前はがやったのか。」

俺は頷く。

「ちっ、とりあえずこれは冒険者ギルドで扱いきれん。兵士を呼べ。」

そうして冒険者登録出来ず、俺は兵士に連行された。

夜まで兵舎で尋問され牢屋で寝た。


翌朝、兵士に起こされた。

「証言からお前の正当防衛が認められた。

でももう問題を起こすなよ。さぁ出てけ。」

兵舎から出た。清々しい朝だ。

さぁ冒険者登録をしに行こう。


「すいません。冒険者登録していただけますか。」

「きゃぁゃゃぁゃぁ!!!」

一体こいつはなんなんだ。

隣から別の受付嬢が出てきた。

「すいません。私が代わりに対応します。この紙に名前と特技を書いていただけますか。」

ライル、剣、と書いて渡す。

「ありがとうございます。このプレートに血を垂らしていただければ完了です。新人の講習があるので是非参加してください。今日は四時からです。」


すぐ終わったな。やっぱり普通の受付嬢ならすぐ終わる。


今日はナイフで何かシュッと斬りたいな。依頼でもやるか。



張り紙だらけのボードを見る。

薬草集め、ゴブリン狩り、コボルド狩り、…

色々あるな。

討伐部位か、なるほど。

薬草、ゴブリン、コボルドとかはいつでも買い取ってもらえるようだ。

ああ、何か切りたい。とりあえず森に入って狩るか。


三十分くらい歩いて森に着く。

森に着くと、膝ぐらいまである草をかき分けてながら進む。森は落ち着くな。大きな音を立てていれば、ゴブリンも来るだろう。


気配が集まって来る。ああ、楽しみだ。大きな音を立てていたせいか、森の深部まで歩いたせいか。三十匹くらいのゴブリンに囲まれていた。

よし、斬りたい放題だ。

あははは、ゴブリンは迷うことなく斬りかかってきてくれるから、楽しい。斬られた瞬間の顔も滑稽で面白い。あはは、もっとこい!



楽しい時はすぐ終わる。切って投げて蹴っていなし切り裂き断ち切っていたらすぐ終わってしまった。

楽しかったな。討伐部位は耳と魔石だったはず。魔石は小指の先くらいの小さなものだった。でも綺麗だった。太陽に照らすとキラッと光る。全て回収してふと思った。

魔石はこいつらの原動力らしい。なら三十匹分のを一匹に入れたらどうなるのか。ゴブリンの死体に入れてみる。剣を研ぎながら、ご飯を食べてながら待つ。

三時間くらい待っても何も起こらない。俺は諦めて暗くなってきたこともあり木の上で寝た。

翌日ゴブリンの死体から魔石を回収、川を求めて彷徨う。すると剣戟の音を聞いた。俺は急いで向かう。

新人っぽい冒険者三人とゴブリン五匹が戦っていた。

ちょっと観戦するか。

ゴブリンの武器は剣か棍棒。冒険者は皮の鎧に剣。

ゴブリンを倒して油断したところに、棍棒を頭に受けて冒険者が倒れる。

冒険者が二人に減ってからは早かった。一人殺され、一人は気絶させられてどこかに連れて行かれる。

着いてってみるか。



二時間ほど歩いて着いたところは柵に囲まれたゴブリンの集落だった。ゴブリンが四十匹くらい歩いていて、小屋が十戸あり大きな家が一つある。


行ってみるか、いやでももうゴブリンは斬り飽きたな。違うの斬りたい。狩場を変えるか。街に帰ってゴブリン以外のがいるとこ聴こう。

……

………

ここはどこ、街はどっち。帰り方がわからない。

とりあえず道を探そう。




その後道を見つけて、道なりのまま歩く。途中見つけた冒険者のパーティについていくと見慣れない街に着いた。

また城壁があり長蛇の列ができている。うんざりしながら並ぶ。二時間並んだ後冒険者カードを見せるとすんなり入れた。門を通ると、広い大通りがありその脇には出店がズラッと並んでいる、そして人も溢れかえっていて活気が凄まじい。

冒険者ギルドはどこだ。とりあえず歩くか。

出店のおっちゃんと目があった。

「おい、そこのにいちゃん、鶏肉くわねぇーか。安くしとくぜ!」

おっさんがにかっと笑いながら鶏肉の刺さった棒を差し出す。

俺は頷き金を払いおっさんに尋ねる。

「ゴブリン以外の魔物狩れるとこありますか。」

おっさんは笑いながら言った。

「あんたおもしれーこと言うな!ここはダンジョンの街だぜ!ダンジョンに入れば何でもいるぜ!」

「そうなんですか。ダンジョンってなんですか。」

「おめえ本当におもしれ奴だな!この街に初めて来たんだろ!鶏肉もう一個買ってくれたらよ、優しい俺がこの街について教えてやるよ!」

俺は頷き鶏肉を買う。

「毎度!この街はレベッカっていう街だ!街の真ん中に冒険者ギルドとレベッカ迷宮がある。迷宮ってのはモンスターが湧くとこだ!街の北には偉い人たちが住んでる、東は一般人が住んでて、南が今いるここで店がいっぱいあるそして西は墓場とかスラムとかあるヤベェとこだ近づくなよ!」

おっさんがドヤ顔でキメてくる。こいつ斬りたいな。ドヤ顔が歪むとこみたい。いや、ここで切ったら殺される。落ち着こう。

一礼して立ち去る。鶏肉をしゃぶりながら歩くと街の中心が見えて来た。でかい広場で冒険者で溢れかえっている。広場の真ん中には大きな口を開けた洞窟がありその隣にはでかい冒険者ギルドがある。

ああ、うずうずしてたんだ。早く迷宮に入ろう。

入ろうとしたところ兵士に止められる。

「ソロか。やめとけ、せめて三人で行け。」

俺は首を振る。

「たっく、しらねぇーぞ。まぁいい、冒険者カードだせ。」

カードを差し出す。

「はあ?Gランク!?だめだ、だめだ。自殺行為だぞ!そこらへんでパーティ組んでこい!」

有無を言わせない様子だったので諦める。広場を歩きまわっていると新人っぽい四人パーティに呼び止められる。

「ねぇ!君パーティ待ちだろ!俺らのパーティに入らない?」

俺は頷く。

「やった!ありがとう!前衛がもう一人欲しかったんだ!俺カイって言うんだよろしく!」赤髪の剣士が手を差し出してきたので握手する。

剣士、魔術師、僧侶、盗賊かバランスがいいな。

「ねぇ、ちょっと待ってよ!カイ!こんなヒョロイ奴連れてくの?私やだよ!」

女盗賊が叫ぶ。

「ルナ!失礼だぞ!人は見た目じゃない!」

カイくんそれはもっと失礼だ。

「カイ、それは彼に失礼。」

ちっこい女魔術師が突っ込んでくれた。

「ああ、そうだな。ごめんなさい!ええっと…」

カイくんがこちらを見てくる。もうなんなんだ。もう溢れそうなんだよ。早く迷宮に入りたい。早く斬りたい。早く早く、

「私はセイナと申します。あなたのお名前を教えていただきたいです。」

女僧侶が言ってきた。

「ライルと申します。よろしくお願いします。」

そう言って一礼する。


「ライル!改めてよろしく!俺はカイだ!」

カイが眩しい笑顔で手を差し出してくる。

カイくんもういいだろ。もうさっきそれやった。

俺は早く斬りたいんだ。

震える手で握手をし返す。

「じゃあ行くか!」カイくんが迷宮へと歩く。

「ふん、足手まといにならないでよね。」女盗賊が毒づく。

ああ、長かった。やっと切れる。

次は無事通してもらえた。

迷宮に入ると、そこはだだっ広い洞窟の中だった。土の壁では苔が光っている。

洞窟の中はちょっと涼しい。

「なぁ!ライルこの迷宮何回目?」

洞窟の中を歩きながらカイくんが話しかけてくる。

「初めて。」

「本当?じゃあ!この迷宮について教えるよ!レベッカ迷宮は百層以上の大迷宮なんだ!十層までがFランクの魔物、二十層までがEランク、三十までがD、四十までがC、五十まではB、六十まではAランクの魔物が出てくる!すごいだろ!」

俺は頷く。

魔物出てこないかな、

「十層までゴブリン、コボルド、スライムしか出てこないから余裕だよ!早く十層まで行こう!」

カイくんが駆け出す。

十層まで着いたが今までゴブリンが十五匹しか出て来なかった。

ゴブリンはもういい、もう飽和状態だ。

「ライルさん、すごいですね。」女僧侶が褒めてくる。

「だろ。だから言っただろ!」カイが自慢げだ。

女盗賊はそっぽ向いていて女魔術師は暗唱している。

「さあ!次が十層のボスだ!行くぞ!」

カイくんここまで何もしてないから頑張ってほしい。

ボス部屋に入るとゴブリン十匹とホブゴブリンがいた。

「アイスアロー」

女魔術師の杖から氷の矢が放たれゴブリンに刺さる。俺はナイフを投げながら接近してすれ違いざまに右の剣でゴブリン首を切り落とし左のナイフを投げてもう一匹倒しそのまま疾走しゴブリンを串刺しにする。ホブゴブリンが剣を振り下ろしてくるが紙一重でかわし懐から愛用のナイフを出して頭に突き刺す。

その後かわし切り落とし投擲してかわし切り落とし切り落としたら終わった。

もう嫌だ。ゴブリンはもういらない。ああ、もう早くお口直ししたい。

「ライルおつかれ!ライルがいたら余裕だな!魔物なんか怖くない!」

カイくんがまたまた清々しい笑顔を向けてくる。

「ふん、何言ってんの!一番怖いのは人よ!なんせここは迷宮なんだから、証拠も残んないからね!」

女盗賊盗賊が叫ぶ。

「まぁまぁ、ルナさんそんなにカイさんがライルさんを褒めるのが気に入らないのですか。」

女僧侶が口元を隠しながらふふっと笑う。

「そんなんじゃあ…」

聞き逃せないな

「カイ。迷宮では殺しても捕まらないのか。」

「その通りだよ。残念ながら、だ


カイくんの首が血の尾を作りながら飛んで行く。

ああ、やっぱりゴブリンなんかより人がいい。

"アイテムポーチlevel1を習得しました"

カイくんの首を呆然と目で追っている女盗賊の額を左のナイフで切り裂き、そのまま女僧侶にナイフを投げる。女僧侶はなんとかナイフを弾くが、女盗賊は脳みそをポロリしながら崩れ落ちる。

"気配察知level2を習得しました"

「アイスアロー」

氷の矢が飛んでくるがかわし、お返しにナイフを三本連続で投擲すると女魔術師は絶命した。

"青魔法level1を習得しました"

「一体なんなんですか!あなたは!なん、なんでこんなことを!」女僧侶が叫ぶ。

俺はゆっくり近づきながら答える。

「快感だから。」

女僧侶は怯えた顔をしながら後ずさる。

「そんな


俺はナイフを三本投げながら走る。

女僧侶は弾ききれず、両腕に刺さりメイスをとり落す。

女僧侶を蹴飛ばすと彼女はうつ伏せに転がる。

俺は女僧侶の背中に座り彼女の顎を掴み上に上げ、ナイフを首に突きつける。

女僧侶は海老反りになりながら、俺を見つめて

「お願い、殺さないで…」ともらす。

俺も彼女の目を見つめながら、彼女の首にナイフを滑らせる。

ああ、素晴らしい。どうしてこんなに美しいのか。

感情を失っていく彼女を見て、そう思った。

"白魔法level1を習得しました"






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