冤罪
診断で、書き始めと書き終わりを決めて書くみたいなのがあったのでやってみました。
海に向かって叫ぶ夢を見た。
俺はもう海を見ることなんてできないのに…
視界に入るのはガラの悪い隣人の顔、錆びた鉄格子、あとは愛想のない看守の顔ぐらいのもんだ。
俺は何もしていない。無実だ。そんなことを叫び続けた。
けれど、根拠の無い俺の主張を頭でっかちなエリート共が聞くわけなんてなかったんだ。
俺は、無期懲役を言い渡された。愛する妻を殺した罪で…
何度も死んでやろうと思った。
でも俺はまだ死ねない。
無期懲役が決まった翌日そいつは俺の目の前に現れた。
誰も入ってこれないはずのココに現れた。
そして、俺の死と引き換えにアイツを殺すと言った。
だからその時まで生きろと言われた。
俺だってそんなもの信じるほど馬鹿じゃない。
けれど、他に選択肢は無かった。
自分に都合の良い幻想を信じるほかなかった。
だから、あいつの死ぬその瞬間までは俺は死ねない。