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なんの変哲もなく異・世界転生(旧題:異・世界転生)  作者: @FRON
第一章:オレ、幼女2名と異世界の地に立つ
9/16

異世界転生トラック野郎伝説キリオ だってよ

今流行りという異世界転生ものを始めました!

更に今話題というVRゲーム・・・は止めて、ARゲームを題材にしました!

初作品です!よろしくおねがいします!!


 



 あ  れ  か  ら  4  0  年  !  !




 伝説は、あの日から始まった。

 勇者として異世界転生したオレは並み居るモンスターをちぎっては投げちぎっては投げ、イケメン魔王を抹殺。


 助け出した姫様はオレのそんな姿に惚れ、入籍。

 救世王として鳴り物入りで【ファルシティ王国】国王として即位したオレは、国中の美女を後宮へ集め、酒池肉林ハーレム三昧の日々。


 直里(すぐり )は新しい恋を見つけて結婚、今では幸福な家庭を築いている。

 愛実(めぐみ )はこう、なんか、幸せになった。


 オレは国の英雄、そして今では晴れて王国の主となった。

 世界は救われた。悪役は退場。文句の付けようのないハッピーエンドだ。

 かくして世界は平和になったが、オレ達の戦いは終わらない。



 本当の戦い(夜の)はここからだ──!!!






 ・  □  ◇  ・  ■  ◆  ・  □  ◇  ・  ■  ◆  ・






「──さん・・・お兄さん!着きましたよ・・・?」

「ふぁ・・・っ?」



 控えめに、しかし強く揺さぶられる感覚。

 浅い眠りから意識が浮上するのを自覚すると、ぼやけた視界は急速に色を取り戻していく。

 そこには、気遣わしげな色を載せた瞳がオレを覗き込んでいた。



直里(すぐり )・・・?」

「はい、直里(すぐり )です。・・・お兄さん、よく寝てましたね?」



 安心したようにくすり、と笑った彼女は小首をかしげ、オレを揺する手を止める。

 トレードマークの芋っぽいジャージ上下にセミロングのストレートヘアがよく似合っている。

 今日も我が従妹様は将来有望だ。



「ん・・・ふぁぁぁぁあ。お前、確か王様(オッサン)と再婚したんじゃ──」

「・・・何ですかそれ!?ぜ、絶対まだ寝ぼけてますよね?はやく起きてくださいってばぁ!!」



 唐突に発せられたショッキングな発言に、直里(すぐり )は涙目のままがくがくとオレを揺さぶる。

 いい具合にそれが目覚ましになったのか、ようやく思考がクリアになってきた。

 いくらイケメンでも中年(アラフィフ)の後妻は嫌か。うん、よく考えなくても当然だわな。


 軽く伸びをして辺りを見回すと、厚手の布地で覆われた壁面が目に入った。同じものは壁の3面に続いており、1方向にだけ開かれている。

 ほの暗い室内(?)にそこから陽光が差し込んでおり、細かいホコリを照らして光の筋を形作っている。

 その眩しさにオレは軽く目をしばたかせた。


 そんなオレの様子を若干ジト目のまま直里(すぐり )は一瞥すると、軽くため息をついて外へ出て行った。

 それに続き室外へと足を踏み出すと、オレの視界に巨大な黒いシルエットが飛び込んできた。



 ──【混沌の塔】だ。






 ・  □  ◇  ・  ■  ◆  ・  □  ◇  ・  ■  ◆  ・






 あ  れ  か  ら  4  0  年  !  !



 ──ではなく、およそ4か月。

 それだけの時間が、王宮での1件から経過していた。



 結論から言うと、オレ達は帰ることができなかった。



 王宮で魔王と対峙し、王様から詐欺くさい方法で世界を救う(グランド)クエストを受諾したあの日。

 王宮の外に出たオレ達が目にしたのは、いかにもファンタジーといった中世ヨーロッパ風の街並だった。

 街ゆく住民に尋ねて回ったが一様に首を傾げるのみで、ゲームフィールドから出る方法も何も、満足の行く情報は得られなかった。



 結局、わかったのは──



 ここが【ファルシティ王国】の都、【王都ファルシティ】であること。

 同じような境遇の者達(ユウシャ)は他にも、それこそ無数に存在すること。

 オレ達のような【勇者】は冒険者ギルドへ所属し、日夜【塔】へ挑んでいること。



 この三つだった。



 ──疑問はある。


 ここはゲーム世界なのか?それとも本当に剣と魔法の異世界なのか?

 なぜ他にも勇者が居るのか?王様を始めとした王国の連中は何を考えているのか?


 しかし、そんな疑問とは無関係に、オレ達は日々を生きてゆかなければならない。

 腹も減るし住むところだって必要。つまり衣食住、そして金だ。

 幸いにも、オレ達異世界勇者には、共通にして最終目的となる役割・・・要するに働き口(クエスト)が用意されていた。



 ──【混沌の塔】の探索だ。



「・・・遅い!いつまで寝てんのよクソ兄!!」



 腰に手をあて、怒ってますよ、のポーズで我が妹(メグミ)が睨みつけてくる。

 その隣では苦笑を浮かべた我が従妹がそれをなだめていた。

 近頃では見慣れた、異世界(推定)の日常風景だ。



「クソとはなんだクソとは。──まあ、居眠りについては謝るぜ、あんまりにも振動が心地よかったもんで」

「あ、あはは・・・」



 ぶちぶちと文句を垂れる妹様を華麗にスルーし、オレは先程まで寝床にしていた場所へ目を向ける。

 合金製のボディ、コンパクトながらパワフルなゴムタイヤ、陽光を反射しにぶく光るヘッドライト。

 どこに出しても恥ずかしくない、立派な自動車(クルマ)であった。


 この車、実はこの国──【ファルシティ王国】の主要な交通・流通手段となっている。

 ピックアップトラック、またはダットサン等と呼ばれる車種のこいつは、完全無人運転で人やモノを素早く、大量に運んでくれるのだ。

 ──おいおい中世ファンタジーだろ?大気汚染とかヤバいんじゃないの?と思わなくもないが、そこは安心、【魔導エンジン】搭載で全くクリーンなんだそうだ。やったぜ。



 そしてとうとう出ました、魔導。



 これぞファンタジーって感じ。

 若干ムリヤリな気もするが、そこは目を逸らすようにしている。

 いいじゃない、便利なんだもの。


 ちなみに、名称は【転生トラック】。

 色々と言いたいことはあるだろうが、名付けたのはオレじゃないので許してほしい。

 だってナンバープレートにそう書いてあるもん。 ※衝突しても転生できません


 そんなわけでこの車両──【転生トラック】はオレ達を運ぶという役目を果たしたからか、軽く車体を揺らすと街道へ向け走り出す。

 日頃の感謝を込め敬礼でそれを見送ると、オレはきびすを返し今日の目的地──

【混沌の塔】へ再び目を向けるのであった。




どうでしたか?

無人運転車両は既に、一部の地方で試験的に運用が開始されているようです。未来世界の道路には運転手は居ないのかも知れないですね!

次回も読んでください!!

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