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なんの変哲もなく異・世界転生(旧題:異・世界転生)  作者: @FRON
第一章:オレ、幼女2名と異世界の地に立つ
6/16

そして伝説は始まる── だってよ


今流行りという異世界転生ものを始めました!

更に今話題というVRゲーム・・・は止めて、ARゲームを題材にしました!

初作品です!よろしくおねがいします!!

 


 そう、今の状況が何なのか知らないが、所詮はゲーム。

 ──その、筈だ。


 仮想(ヴァーチャル)現実(リアリティ)ゲームのようにログアウト一発で現実へ、という訳には行かないが、それならばゲームの【外】に出てしまえばいいのだ。

 拡張(オーグメント)現実(リアリティ)ゲームであるUG(アンダーグラウンド)は、ゲームフィールドが立体映像が投影されている所までしか存在しない。

 歩いて外まで出てしまえば、そこには普段と変わらない街並が広がっているだろう。



 ただ──



(これがゲームだとしても、慎重に行動すべきだと思うんだよな)



 このイベントがいつまで続くのかはわからないが、少なくとも攻略スレッドには情報のカケラも載っていなかった。

 突発的なゲリライベントか、参加者が口止めされているか。

 はたまた──



「本気で異世界へ来ちまった、とかな」

「・・・お兄さん?」



 ぱちくり、と大きな眼がこちらを見つめている。

 頭の上にハテナマークを浮かべた直里(すぐり )に何でもない、と笑いかけた。

 無いわー、自分で言ってなんだが流石にそれは無いわー。



UG(アンダーグラウンド)のイベント何か知らんが、こんなのはオレも聞いたことが無い。何があるかわからんし、しばらく様子見で頼む」

「う、うん・・・そうだよね。めぐちゃん(愛実)も、それでいい?」

「──クソ兄の言いなりはムカつくけど、了解」



 誰がクソだ誰が。

 相変わらず我が妹は口を開けばバカだのクソだの酷いものだ。


 ただまあ、一時期に比べ大分マシになってはいる。

 オレが中学へ上がる前はそれはもう、視界に入れば噛みつかれるわ蹴られるわの毎日だったのだ。


 それもこれも直里(すぐり )が間に入ってくれているからだろう。

 全く、我が従妹様には頭が上がらない。

 尤も、先程のシーンで直里(すぐり )と会話するオレを我が妹は()()()と唸りながら睨んでいたのだが。


 歳も住処も近い我が妹と従妹はすこぶる仲が良く、あくまでオレは邪魔者に過ぎないのであった。

 頑張れ直里(すぐり )

 オレが言うのも何だが、この妹との和解はちょっとハードル高い気がするぞ。



「オホン!・・・それでは勇者様方、よろしいかな?」



 咳払い一つ、慌てて視線を上げたそこには、王冠を被ったイケ中年こと王様(推定)が佇んでいた。

 彼の存在をスッパリ忘却していた事実に気づき、若干ばつの悪い気分で愛想笑いを浮かべるオレ達。

 三者三様の視線が集まった先で、娘を連れ去られた悲劇の王は情感たっぷりにこう続けた。



「皆様にお越し頂いた理由はもはや説明するまでも無いでしょう。今や我が【ファルシティ王国】は未曽有の危機に直面しております。我が娘──愛くるしいルナティアを浚い、哄笑と共に飛び去ったあの怪人が、その総ての元凶なのです!」

「奴の名は【魔王ダーク・ロード】!何処からか現れ、大胆不敵にも我等に挑戦状を叩きつけおったのです!!」

「・・・あれを、ご覧ください」



 錫杖を持っていない方の手をかざした先に目を向ける。

 無残に砕け散ったステンドグラスの向こう、青々と広がる空の彼方に、天を突くようにそびえ立つ黒々としたシルエットがあった。

 塔だ。それもかなりでかい。先程のシーンで気づかなかったのがおかしい位のサイズだ。



「あれなるは【混沌の塔】──ファルシティ建国より遥か昔より、この地に存在する謎めいた遺跡です。彼奴はある日、かの塔を占拠しこう言い放ったのです」



 我こそは闇の公主(ダーク・ロード)、貴様等人類を滅ぼす者である。

 従う者は黙して運命を受け入れよ、抗わんとする者は我が【塔】を登れ──



「それ以来、幾多の英雄・豪傑が塔に挑みました。しかし誰一人として帰る者は無く、全ての望みは潰えたかに思えた──ですが!!」



 急にトーンを上げた王様に直里(すぐり )がビクッと硬直し、小動物めいた動きでオレの背後に隠れる。

 その様子を見ていたのか、我が妹の唸りと視線が背中に突き刺さるのを、オレは苦笑しながら受け止めた。

 何だか緊迫したシーンだが、オレ達3人はこんな時でも平常運転である。



「希望は残されていたのです!我が城秘伝の古文書に記されし【()()()()()()()】・・・」

「その秘術を以って、勇者は降り立ったのです──今!()()に!!」



 王様は「今」で猛ダッシュし、「ここに!!」でがっしと両手をホールドしてきた。

 近い。

 目の前にはハリウッドスター顔負けのイケ中年が、興奮に頬を紅潮させつつ、息を荒げ眼をカッと見開いてはらはらと涙を流している。



「勇者様!悪しき魔王を打ち倒し、どうか我が王国を救ってくだされ!!」



 容赦なくかかる唾に顔をしかめていると、ピコーン、と間の抜けた音が聞こえた。

 同時に、右手方向に半透明の窓が開く。



 《グランドクエスト:伝説のはじまり を受諾しますか?



   はい /   いいえ》



【アンダーグラウンド】でも使われていた立体投影ダイアログだ。

 やはりここはゲームの中?そんな疑問が首をもたげるが、とりあえず返答を返さなければならない。

 ──さあ、選択の時だ。



 《グランドクエスト:伝説のはじまり を受諾しますか?


      ピッ

   はい / ニア いいえ》





どうでしたか?

そこは「はい」だろ!断るのかよ!!

次回も読んでください!!

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