オレ達の戦いはここからだ! だってよ
今流行りという異世界転生ものを始めました!
更に今話題というVRゲーム・・・は止めて、ARゲームを題材にしました!
初投稿です!よろしくおねがいします!!
「──あっ」
地面が柔らかい。
そう感じるのと、足先に返る土の感触が消え失せ、堆積土と落葉の層を踏み抜いたのはほぼ同時だった。
「え?えっ??」
「お兄さん──?」
当惑したような少女の声がふたつ、頭上から響いたが、オレがそれを聞くこと無かった。眼前の光景が、鬱蒼と生い茂る森から枝と根が複雑にからみ合った暗がりへと目まぐるしくスライドする。
──落とし穴だ!!
頭の中で警報が鳴るが、オレの肉体は成す術なく天然のスライダーによって、その先の空間へ土砂と共に放り出された。
視界を埋め尽くすのは、一面の緑。
【混沌の塔】第二層──混沌の森を構成する密林の基底部だ。ここからだと樹冠が豆粒のように見えるが、オレ達が居るのは15Fだから少なくともあそこまで200mはある計算になる。
そんな胡乱な事を頭の片隅で考える。どこか現実感のない光景に危機感がマヒしたのかも知れないが、次の瞬間には全身に感じる無重力感に金玉が縮み上がった。
「落ちる落ちる落ちる!!──潰れたトマトは・・・嫌、だぁ!!」
絶体絶命の事態に、意識の奥底でカチリとスイッチが入ったのを感じる。思考がクリアになり、周囲に存在するすべての物の位置情報が流れ込んでくる。
今なら月までだってカッ飛べそうだ。・・・いや、無理だけどさ。
オレにできるのはもっと些細な、ちょっとした『跳躍』だけだ。だが、今はそれだけで十分。
素早く首を振り、手ごろな距離にある小枝(と言っても直径2~3mはありそうだ)をロックオンすると、精神集中を開始する。
オレはできる。飛べる。必要なのはイメージだ。全身から重さが消える。空気の一部になり距離を消し飛ばす、イメージ。
次の瞬間、視界がぶれてコマ送りのように目当ての枝が近づいていた。まだだ、もう一度。二度。三度、と繰り返す。
人間一人分の加重に枝がしなり、ぎちぎちと音を上げるが千切れる気配も無く、着地の衝撃を受け止めてくれる。
流石は通称【世界樹】、小枝と言えど強度は折り紙つきらしい。オレは人知れず息を吐くと、額に浮き出た冷や汗をぬぐい立ち上がった。
「・・・やれやれ、間一髪だったぜ。オレじゃなかったら今のは間違いなく死んでたな!」
緊張に強ばった全身を伸びでほぐすと、元の階層へ戻るべくオレは歩みだし──何かに足を取られて盛大にすっ転んだ。
「な、何だぁ!?・・・これ、糸?」
極細の、それでいて鋼鉄のしなやかさと強度を持った糸だ。それが足に数本絡みついていた。
更によく見ると、木漏れ日を受けて白く光るものが数本、オレの居る枝を中心に張り巡らされている。
まさか、と考える間もなく、背後から粘ついたものを浴びせかけられたオレは再び盛大にすっ転んだ。
「うおおお!何だ畜生──おわあああああ!!?」
そのまま凄まじい力で転がされ、その間もねばついた何かを全身に浴びせかけられる。グルグルと回る視界の端に、暗がりからこちらを睨む6対の光る眼を捉え、オレの背筋は凍りついた。
【樹上の狩人】、第二層の死亡原因第2位。樹上に潜み、テリトリーに入り込んだあわれな犠牲者をむさぼる密林の狩人。
その姿は巨大な蜘蛛そのもので、主要な攻撃手段は粘着糸で絡め取ってからの毒牙攻撃──ってやばい!これアレだ、今オレがやられてるやつだ!!
「くっ──なんという絶体絶命!だが慌てることはない、オレにはとっておきの秘策がぁー・・・あれ?」
再び『跳躍』しようとしたが発動せず、動かない首を傾げるオレ。よくよく思い返してみると、オレの能力は一定以上の荷重が掛かっていると使えなかった気がする。
そう、丁度今みたいに【樹上の狩人】の巨体で抑え込まれて──
「これ駄目じゃん!ってやばいやばいやばい、何かほかに手は・・・手は・・・アッーーー!!」
ぶすり、と子供の腕程もある毒牙を撃ち込まれる感触。
そのままたっぷりと麻痺毒を注入され、頭から齧られてオレは死んだ。
どうでしたか?
いきなり死にましたね! おお ゆうしゃよ しんでしまうとはなさけない!!
次回も読んでください!!