チート部屋
最初だけ少し今までの説明入ってます。1話から見てる人は飛ばしてもおけです
時は平成30年、時代はスマホゲーの時代に突入し、今が真っ盛りの時期である。
そんな中、コンシューマーゲームは食傷気味であり、完全にオワコンと化しつつあるオープンワールドゲームはほとんどの運営が働かなくなり閉鎖をしてしまう。
その中でも一時代を一世風靡した『ジオトラートオンライン』は管理人が死に、極限られたプレイヤーでゲームは今も尚行われている。今では管理人が死に際に残したAI(人工知能)である『テトラ』が代行管理人としてゲームバランスを支えているが、まだまだ彼女は勉強不足であり、数多いチーターによってこの世界は無法地帯と化していた。更にプレイヤーが全く使わなくなったアカウントキャラクターある『ストレンジャー二号』は、かつて貫木が作ったゲーム内のキャラクターである。
彼女もまたAI(人工知能)であり、貫木はいわゆる処のネカマプレイヤーとして活動していたため、口調も何もかもがかつてのゲームにはまっていた頃の貫木とそっくりだ。
そんなストレンジャー二号はゲームをやらなくなった貫木に対しての怒りから、自ら現実世界に干渉し、監視カメラで場所を特定し、予測した場所に人工電荷を混ぜた人工雲から雷で貫木を殺した。
そんな貫木が目を覚ました場所は天国ではなくジオトラートオンラインの世界で、
チートコードの変換を彼女がしたため恐らくこの世界の電荷と、
現実世界の雷の電気が混ざったバグによってこの世界へ来たのだった。
テトラに連れられたのは二人しかいない過疎ルームだ、
さっきまでいたテトラを除いての二人である。
代行管理人であるテトラはLv1のこの俺は用済み同然ではあるが、
要約すると奴隷が欲しいらしく、要約するとてめえ一人で勝手にLvをあげてこい、という事でこの部屋に置いてけぼりにしたと思える。
しかし、何年ぶりだろうか、オダリムの街にいる女性キャラクター<たぶんネカマ>は、
こんちゃー!の吹き出しで優しく迎えてくれる。
「あ、どうも」
「あれれ~ルーム名見たんですかね?」
すると次はむかーっ!の吹き出しで激怒しているアピールをしてくる、
彼女が怒るのも無理はない、チート部屋の十中八九はPT部屋で、
PT部屋は経験値が人数によって分配される分、レベルに釣り合った者以外の入室ははっきり言って論外なのだ。
「ここLv30~募集なんすけど……」
「え、あ、ごめんなさい」
ごめんなっ!のアイコンを自演しようかと思ったが、
あの吹き出しは煽りにも使われているためここは流石に自重すべきと思った。
チート部屋は部屋主が絶対であり、そのルールを守れない奴に部屋主がチートをの恵みを与える事はない。
「誰もこないからまあいいけどね。付いて来て!」
「分かりました!」
「言っとくけどLv上がったらちゃんとモンスター倒すの手伝ってね?」
「勿論であります!」
謙虚になるのも無理はない、この人が今からどこに行くかは分からないが、
Lv30であれば恐らく考えらえるのはヴォルケーノ岩という処が相場だろう。
案の定彼が行ったのはヴォルケーノ岩である、
ここにはLv30以上のプレイヤー6人揃っても一筋縄じゃいかない大型ドラゴンが眠っており、
周りの小型ドラゴンを倒すだけでも相当な経験値をもらえる程に効率が良い場所だ。
彼、いや彼女は寡黙にはなりながらも順調にその大型ドラゴンの元にへと向かっていた、
このゲームのプレイヤーは主に二種類いて、
真剣にモンスターを狩る効率的タイプと雑談を楽しみながら狩るバラエティタイプだ、
主にチーターに多いのはこの前者の効率タイプである。
目的地に辿り着くと放置する人は多いが、
今回は俺がLv1というためにそうもいかない状況なのである。
もしくは彼、いや彼女が大型モンスターの処で待機し、他のプレイヤーを待つというパターンもある。
何故始まりの街オリダムで彼女が待っていたかというと、道に行く矢先で他のプレイヤーが雑魚モンスターに殺される可能性が高いからである。
特にチート部屋はモンスターが攻撃せず無敵であるため、レベルの低い魔法使いは耐久力が低いし即死になのだ。
そしてこのルーム主の後ろについて行ってる俺の元までモンスターが近づき、
攻撃してくるもダメージは通らず、無敵のままである。
調子に乗って一発雑魚モンスターに攻撃してみると、
1DAMAGEという文字がモンスターの頭に現れ、もう一発攻撃するとまたそれが現れる。
「いっぱい倒してLvあげましょうね!」
「………」
発言は無視、正確に言えば彼女は…すらもチャット欄に打っていなかった、
何だか物凄く不吉な予感が体に纏わりつく、本当ならここで気づけば良かったのだ、まさかこんな事になるとは。
大型モンスターの部屋まで後少しという処まで来ていた、
ルーム主はルートを変え、別の部屋にまで向かい始める。
「あれ……?大型モンスター倒すんじゃないんですか?」
「いや~俺スピード剣士だからモンスター大量に沸いてた方がやりやすいわ~大型モンスターはその後やろうず♪」
「なるへそ!!!」
確かにと思った、今このゲームがどんな状況になっているかは分からないが、
彼の装備は少しばかり記憶にあった。
これは確かLv20くらいの剣士が使う剣と盾だ、
恐らくはルームに入ってきたLvの高い人、
もしくは魔法使いが入ると思って大型モンスターに備えていたのだろう。
彼がもしまだLv20程度なのだとしたら、
剣士の攻撃では大型モンスターにダメージを与えようとしても本の少ししか食らわないのである。
「じゃあ行きますか!」
「はい!」
一方の俺たちが今から行く場所はモンスターハウス、
いわゆる雑魚モンスターを大量狩りしてLvを二人で上げようという魂胆なのだろう。
俺はなんてついているのだろう、一発目でこんな優しいチーターと出会えるなんて、
普通なら場違いすぎてこんなLv1の雑魚が入ってきた時点でPTは解散、
もしくは掲示板で晒し者にされるのが落ちなのである。
さっさとLv上げを済ませのんびりこの世界で暮らそう、
最悪40Lvになりさえすれば、絶対にモンスターに殺される事はなく生き延びれる筈だ。
ノリノリになりながらモンスターハウスに入ると、
さっきまで隣にいたチーター主の姿が消えていた、一体どこに行ったのだろうか?
すると、チャット欄に彼女が一言喋っていたのが分かる、それを見るとそこにはこう書かれていたのだった。
「すまん飯落ちするわ」
え……。
bk9023さんが部屋を退出しました、チャット欄には部屋主の名前と退出という文字が並んで書かれていた。