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コミュ障召喚士の自分召喚物語  作者: なんてこった
コミュ障召喚士の始まり
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1話 コミュ障召喚士

不定期連載です、良ければ読んでやってください


 ここは剣と魔法のファンタジー世界、仮に名前を付けるなら隣の世界ネクストワールド略してネクルド。

 さて、ここからある青年の物語を始めよう。


 彼はとある貴族の4男坊、彼の家は数多くの魔術師などを輩出している名門で彼も例にもれず、いや・・・異例なほどに強い魔力を持って生まれてきた。

 しかしこの世界、魔力があっても使える魔術の種類は一つだけ、例えば火を扱う魔法の才があれば火の魔法のみ、水の魔法の才があれば水の魔法のみ。

 それが分かるのは数えでその子の年齢が10歳になる月の魔法の日と呼ばれる日で、それまでに魔力の制御などの鍛錬をして備えておくというのが通例である。

 彼もその通例にもれずその膨大な魔力を制御するために人一倍と言わず10倍20倍の努力をしてきた・・・たった一人で。

 それもしょうがない事である、彼の膨大な魔力によって周りにいた子供たちまで引っ張られて制御が困難になる事態が発生してしまい彼の周りからはどんどん人が離れていってしまったのだ、結果彼は人と話すのだドンドン苦手になっていった。


 そんな彼も遂に自分の適性の魔術が判明する10歳の魔法の日を迎えた!

 だが・・・彼に示された魔術の名前は召喚術、異世界の存在やこの世界にいる魔物などと交渉して契約し魔力によって呼び出し使役したり魔力によって呼び出した存在を強化したりすることで戦える魔術であった・・・勿論強力な魔術であるが彼は誰かと話すのが苦手、もはやお察しである。



 彼、ハルファス・メイガス・グランドールは貴族ながら容姿は黒い髪を伸ばし放題にしてあり服は上等な物だったのだろうが埃まみれ鋭い目つきの中の瞳は金色でその瞳でじっと見つめられると見つめられた相手は心を見透すかされると錯覚するほど。

 神秘的な雰囲気を纏っていると周りにキャーキャー言われていた時期もあったにはあったのだがそれも15になる頃には不気味だの愛想が悪いだのと言った中傷へと変わっていった。

 理由は簡単だ・・・彼は未だに魔術を行使したことがない、いや違う、行使したことはあるが成功したことがないのだ、それも何度も何度も失敗している。

 術式も魔力の制御も完璧でもはや超一流と言えるだろう、はっきり言うと彼とそれだけで競えば勝てる同年代どころか恐らく一流の冒険者でもほとんどいないと言い切れるだろう・・・それでも成功しないのだ。

 彼には欠陥があった・・・そう、召喚魔法を使う上での重大な欠陥。



 メイガス家ハルファスの自室にてハルファスが術式を展開している。

「我、ハルファス・メイガス・グランドールの名のもとに異界の者よ我が前に現れよ!」

 ハルファスの魔力を乗せた言葉「詠唱」によってハルファスの前方の床に六芒星の魔法陣が浮かび上がり光を放つ。

「ここからだ・・・」

 ハルファスは息を飲み込み覚悟を決めて更に魔力を込める、すると魔法陣がより強く光り出し六芒星の下から異形なる者が浮かび上がってくる、そいつはヤギの頭に人の上半身背には蝙蝠の翼が生えていて六芒星がまるで縄の様にそのヤギ頭を絡めている為に下半身までは出れないようだ。

「我を呼び出したのは貴様か!何用か要件を言うが良い」

 ヤギ頭がよく響く尊大な声尊大な物言いでハルファスに話しかける。

「・・・」

 しかしそのヤギ頭の言葉にハルファスは答えない。

「・・・我を呼び出したのはお前か?要件を言うがいい!」

 沈黙に耐えかねてヤギ頭が再度問いかける、少しだけ言葉が柔らかくなった気がする。

「・・・」

それでもハルファスは答えない、ただ「じー」っとヤギ頭の顔を見つめている。

「・・・もしや悪魔とは喋らぬということか?」

 ヤギ頭は何かに気づいたという顔をしたと思ったらそんな質問をする、ヤギ頭は悪魔だったらしい。

「・・・(フルフル)」

 ハルファスは首だけ振ってこたえる、しかしやはり言葉でやり取りしないで首を振るのをやめると「じー」っとまた顔を見始める。

「・・・なぜ我、バフォメットを喚び出したのだ?」

 悪魔がハルファスにそう質問するがハルファスは答えない、悪魔はバフォメットと言う名前だったようだ。

「・・・」

 名前まで無言で聞きだしたハルファスだがまだバフォメットを「じー」ッと金の瞳で見ている。

「・・・もう帰る」

 ボフン!!

 魔法陣ごとバフォメットが煙になって消える、悪魔のくせに沈黙に耐えられなくなったようだ。

「・・・またダメだったか」

 沈黙が支配していた部屋にバフォメットを喚び出して以降一言も喋らなかったハルファスが言葉を漏らす。

「また、相手と喋ることが出来なくて契約が出来なかった・・・」

 ハルファスが若干目じりに涙を浮かばせてそう喋る。

 そうハルファスの召喚士としての重大な欠陥とは・・・彼は契約したくても喚び出した相手や契約を迫ろうとした魔物と喋ることが出来ずに最後には相手に帰られたり逃げらたりしてしまう・・・コミュ障召喚士なのだ・・・。

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