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七夕の夜に  作者: ささ
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ワンピース

私がメイドさんと食事にドキドキしながらお腹を満たして少し眠気が出てきた頃、白くて長いワンピースを着た中年以降老年辺りまでの男達が部屋に入ってきた。今回は扉を叩く音のあと、メイドさんが私を見てから許可を出していた。


(顔に統一性を求めてもいいかなぁ。いや、パーツは同じだよ、それはわかってるよ。髪色が蛍光色はご勘弁願いたい。蛍光のオレンジ、ピンク、ゴールド、プラチナ。目にキツイです。彫りの深さも様々。どこのゲーム世界か。海外物のアバター作成、自由度が高過ぎる奴ぽいよね。顎が凶器かって思える程尖らせてた人も居たよね、あのゲーム。ここにいる人にそこまでとんがっている人はいないけどさ。皆さん、どことなく真面目な雰囲気ですよ。緊張ですよ。こちらまで緊張するやろがっ)


入ってきた面々を前に慌てて立ち上がり礼をした。頭を上げてからも猫背を気にして背を伸ばす。口の端を引きつりながらあげるのが精一杯だった。


私の緊張を感じ取ったのか、双方動かないことに焦れたのか、ワンピースのおっさん集団の後ろからエメスが現れ口を開いた。


「元気になったようでよかった。こんな人数で押しかけて悪いがいろいろ話を聞かせてほしい。まず、俺の名はエメスだ。こっちにいるのは神官達。あぁ、こいつは話したことがあるな。カルロだ」


エメスが紹介するのを黙って聞いていた。返事は頷いて返した。


(神官達はひとまとめか。ま、一人一人紹介されても覚えられんがなっ)


頭の中で無駄に胸を張ってみた。本当に無駄なことをしている。


(短い黒髪の男は前に睨んだ奴でエメスね。そして、金髪さんがカルロか)


カルロが会釈して微笑んだ。


(その微笑みプライスレスと思わせてお高そうですこと。何があるかわからんもんね。今後、あーゆー見た目良い奴には気をつけないと。都合のいいように使われてポイされるかもしらんからねっ。どーせ私だもんさ)


そんなことを考えている間にワンピースおじさん、改め、神官さん達が陣形でも組んだかのように部屋に散らばり座った。床に直に。私は驚き周囲を見回してしまった。

そんな私をメイドさんがベッドに連れて行き座るように促した。そして、テーブルや椅子が部屋の端に寄せられ神官さんの一部が移動し座った。


「お疲れのところ大変申し訳ありませんが、こちらは緊急事態ですので何卒ご協力お願い致します」


身なりが整っていて渋く年齢を重ねているように見え管理職の印象を受ける神官さんが口を開いた。その後、神官さん達の質問に私は答えていったが、何をどう答えればいいのかわからない問いが出てきた。


「えっと意味がわからないのですが」


(『あなた様が見たことをお教えください』とか言われてもね、どこからのことかわからんでしょ)


神官さん達が困った顔をしているが私も大変困っているのだと表情に出した。すると今まで静かだった男が口を開いた。


「では、こちらで確認できたことを質問していく。それに違いがあるようなら訂正してほしい」


エメスの声に私は頷いた。次にカルロが紙を見ながら話していった。

私は、大波が来てイルカと男達に捕まって殴られたり蹴られたり放り投げられたことに頷いた。

それを共に聞いていた神官さん達の顔が強張っていくのが見ていて分かりやすくて何だか笑いそうになった。


「大波が来る前に何があった?」

「大波の前?何も。キラキラした星みたいなのの上に立っていて足が動かなくて。それだけです」

「っ、その立っているときに何か見ませんでしたかな?」


エメスの問いに答えると神官の一人が興奮したように聞いてきた。


(えっなに、どうしたのこの人。どこに興奮要素があったんだ変態か。あー、立ってるときに見てたもの。アレをうら若き、いつまでも心は乙女だ若いんだ。そううら若き乙女に言わす気か)


私は言いにくいことなので言わないでおこうと思った。が神官さんがぶちまけてくれた。


「見たのですねっ。男女の愛し合う姿をっ」


(っ、こいつ言いやがったっ。こんな人数がいるところで言いやがったよーっ)


興奮している神官につられたのか他の神官達も何やら興奮し出した。


(何がそんなにウハホイしたくなる事柄だったんだよっ。もー恥ずかしっ。愛し合う姿なんて見せつけんなよー。あの二人お幸せにっ)


思い出して恥ずかしかったり悔しかったりしながら赤くなっているであろう顔を頬を手で隠した。


目の前で興奮している神官達を睨んで見たが鎮静効果は無さそうだ。





お読みくださりありがとうございます。

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