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七夕の夜に  作者: ささ
2/14

淡く浮かぶ

暴力表現は少しあります。

ニーナの国、神聖都市ナナータでは一年に一度の祝福日を迎えていた。

この日の前後7日間は、神への感謝を表す為の祭りを開催する。都市の大通りには神輿が練り歩き、道の傍らにはその時期だけに食べることを許された果物や菓子を売る店が建てられる。


この祭り期間はナナータの神殿上空に浮かぶ空ノ島への道が開かれる。そこには天ノ川と呼ばれる物がある。川といっても水が流れるているわけではなく、星屑や神の力を宿した欠片が流れて地上に降り注ぐ滝となる力の帯を指していた。流れる神の力の欠片は願いを叶える星『叶え星』と言う。

叶え星を狙う者達は多い。叶え星は人の手では簡単に掴めないものだが、手に入れることができればどのような願いでも叶えると言われている。

空ノ島、天ノ川、叶え星は神の愛子とその伴侶、欲深き人間の物語に描かれ、小さい子供の子守唄や吟遊詩人の語りにより世界に知らぬ者はいないものだ。


ニーナの王族は過去に叶え星を使い世界に幸福を振りまいたと言う。



祝福日は単なる祭りの日だと思っている者達は多い。正しく神への祈り方を知る者は少なく、ニーナの国でも王族の一部、神殿の上層部のみである。

ニーナは神の愛子が興した国であると伝えられている。神の愛を得続ける為の祈りは粗相があってはならないのだ。小さな綻びで神の愛は失われる。かつて神の愛を失い世界は混沌とした時代を迎えた。それは繰り返してはならないのだ。


この日、神への祈りを行われていた。全てが正しく祈られ例年通り穏やかに終わるはずであった。いや、終わらなければならなかった。

しかし、この日、神への祈りは最後まで届けられなかった。それは二人の男女によって知らされる。事の次第を聞いた神殿上層神官達は顔の色を無くした。震える体、心のまま叫び出したいのを抑え、一人は国王へ緊急事態を告げに走り、一人は祈り場の周囲を確認しに回る、他にも空ノ島全域、天ノ川とその先にある滝、滝の先で神聖都市に散らばり祈りを知る者達は駆け回った。世界が終わる事のないように。



神聖都市ナナータの神官殿護衛部詰所にて短い黒髪の男は椅子に座ったまま、金糸の髪と緑の瞳を持つ部下を相手していた。


「不審者を捉えたと報告がありました」


金糸の髪を持つカルロは姿勢を正す。黒髪の男エメスは片眉を跳ねあげさせた。その声音は苛立ちを含んでいる。


「またか。この世界を保つ為の儀式だというのに馬鹿ばかりだな」


エメスは吐き捨てるように言うと立ち上がり歩き出す。その顔に漂う疲労を見て取れ、カルロは苦笑を浮かべ件の場所を告げた。








「まぁったく、この祭りの時期にお前らは湧くなぁ」

「ほんと害虫」

「おれたちの仕事を増やすな」

「虫は虫らしく踏み潰されてろ」


男達は口々に言い、地に転がった物を蹴り飛ばした。転がされたものは両手両足を縛られ曝け出されていた手足の白い肌は土に塗れていた。その下には濃い赤、紫にも見える斑点が広がっている。


地に転がされたまま荒い息をつく。呼吸することすら体は悲鳴をあげていた。意識は朦朧としている。その中であっても柔らかく灯る光を目に映し続けていた。



「ちっ、反応しなくなったな」

「もう少し楽しめるかと思ったのにな」

「大事な日に捕まえた悪人だから褒賞貰えるだろうな」

「そうだよな。大事な儀式を邪魔した奴は大罪人だもんな」

「俺たちの昇格間違いないんじゃないか」


男達は動かなくなったものを放って手柄を立てたと笑い合っていた。

男達の上には淡く灯る光がふわりふわりと浮いている。

お読みいただきありがとうございます。

思っていた方向と違うなぁ。

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