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七夕の夜に  作者: ささ
13/14

目醒め

ざっと

エメスの胸で散々泣いた私は、どのタイミングで顔を上げるべきか悩んでいた。身じろぐのにも緊張する。


(はずかしい。わんわん泣いたし幼子ではないから許されんじゃろーじゃろに聞いたらよかじゃろー……なんか誤魔化せないか。鼻水も盛大なことだろう。絶世の美女やら美少女やらならぐっとくる場面だろーけど、どうするわたしっ)


背を一定のリズムで叩くエメスの手が心地良い。また泣きそうだった。


(これだから好い男はっ。泣かすのがうまいよ、脱帽だよ。いったい何人その毒牙、いや毒じゃないか、なんだ?なんかしらのにかけたっ。もうわけわかんない)




背を叩きながらエメスは困っていた。


(ミヤコをどうにかしたくて抱き寄せてしまったが……いいのだろうか……泣き止んだ様子だが、これは不埒な行為に当たらないか?嫌がられてはいない、と思うがわからん。あー、どうすればいい?やめた方がいいか?いや、でも、このままもう少し……)




抱き合っている男女を見て溜息を吐いたカルロは、二人に声をかけるでもなく物陰からそっと見守っていた。

その心は下世話な覗きであった。


(二人の距離がぐっと近付き、心を許しあう仲になるんですね、わかります。すでに抱きしめ合ってるなんて、これは伴侶になるんですよね、わかります。多くの目がある中でじっとくっ付いて離れないんですものね、離れ難いでしょうとも。わかります。さて、どれくらいしたら離れるのか、隊長を弄るネタの為にも見守ってあげなければなりませんね。やっと浮いた噂の一つもなかった隊長が女性とくっ付く、ようやっとですね。私との関係を勘繰られることが今後は減るんですね、やっとです。よくやりました、よくやってくれました。是非とも男女で仲良く末永くお幸せになってくださいね。これで私も番探しに行けるというものです。上司が売れ残ると部下は大変なんですよ。遠慮しなければなりませんからね。さぁさぁ初々しくお互いを見つめあって固まっていては進みませんよ。接吻でもしてしまえばいいのに、まったくおくてですね)




遠くから御使いを見守る者達は微笑み合っていた。御使いの女性が消えてしまいそうで皆心配していたのだ。

彼女は生まれ生きた世界から切り離されこの世界にいる。それは彼女の中では受け入れ難いことなのは誰もがわかっていた。けれど、生まれ生きた世界に戻して差し上げることは叶わない。叶えることができる者は神以外に居られないが、神は行わないことを知っている。それは彼女も同じこと。見守ることしかできない者達は祈った。彼女の心痛を少しでも軽減、できるなら消失させることを。

見守る者達は男に抱きしめられている彼女を見て微笑み合った。

彼女がこの世界で生きる礎になれば良い。

彼女の表情を見て微笑み合った。

お読みいただきありがとうございます。

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