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『VR部』@オンライン  作者: 九日 一
チュートリアル編
14/39

第13話 『VR部』が、ついてるよ

今回は僕にとって完全に未知の回想シーンになります。

一生懸命書いたので、あとは『VR部』@オンライン初の感動シーンになることを祈って……!

「よっ……と」


月明かりを受けて美しく輝く白銀の髪を揺らし、とてつもなく小さな……しかし列記とした女子高生たるセラという名の少女は、小高い丘のてっぺんまで飛び上がった。 幼女並みの身体には恐ろしいほどの敏捷値が秘められているらしく、助走も軽い3メートル跳躍だ。


彼女はそのまま芝の生えた地面に腰を下ろし、さらに両手を支えにして、透き通る夜空に身体を向けた。


「ここがセラのお気に入りの場所だよ、コウヤ。 一応誰でも来れるんだけど道がちょっと複雑だから、結構穴場になってるの」


【バスルアベニュー】にあるマッチョなオジサンが経営する焼○屋を離れて約10分後に、僕たちは彼女のお気に入りだというこの場所に辿り着いた。 確かに彼女の言う通りここまでの道順はなかなかに複雑で、案内なしには元の場所に戻るのに1時間ほどかかるだろうと思われる。


圏内ではあるが、どうやら騒然とした商店通りの些細な羽休めの場所として設けられたらしいこの区画には、特に名前はつけられていないようだ。


「セラみたいな物好きの間では【明星(みょうじょう)の丘】って呼ばれてる。 他にもいろんな場所があるけど、セラにとって星を見るのに一番いいのはここかな」


澄んだソプラノでそう補足するセラを見上げる過程で、僕の目も自然と夜空にいく。


なるほど確かに、ここは今まで見てきた《ラルーシア》の活気溢れる街並みとは違い、周囲に一切の光体や喧騒の類がない。 それゆえに、満開の星空をより一層味わえる。 しかも不思議なことに、例の曖昧な違和感は湧いてこなかった。


ーーーーこうして改めて見ると、もの凄く綺麗に見えるな。 この空も……そしてセラも。


そんなことを考えつつ、彼女同様に満開の星空に見惚れていた僕であったが、そんな淡い意識の中に不意に浮いてきた疑念が口をついて出た。


「ところで、君がうちの高校の生徒だっていうのは本当なの? それに……そういえば、何で僕のことを見つけられたの?」


そうだ。 容姿うんぬんの以前に、もしうちの学校に、こんな可憐な……しかもロリ属性を付与した美少女がいれば、紫宮(しみや)先輩ほどではないにしろちょっとした騒ぎになるはずだ。 少なくとも、噂の一つや二つ出てきていてもおかしくはない。 僕のクラスでも特に女好きの倉石(くらいし)関口(せきぐち)辺りが黙っていないだろう。


それに、よくよく考えてみれば、彼女がこのバーチャル世界で僕を即座に見分けることができたことも不思議だ。 《ラルーシア》にいることは分かっていたにしても、僕の顔自体は知らなかったはずだ。 あるいは、紫宮先輩がこっそりと僕の顔写真を盗撮していて、それを受け取っていたとか。 さすがにそれはないだろう。 ……たぶん。


「セラはねセラはね、特別な任務で雇われたエィジェントだから、身分を隠しているのだ」


そんな僕の訝しみをよそに、セラはわざとらしくトーンを下げた声で言う。 どうやら中二病の気もあるらしい。


しかし彼女は、僕が少しジトッとした目で見つめていると、やがて観念したように頭に手を当てて「にゃはは」と笑った。


「ウソウソ。 セラはちゃんと学校行ってるよ。 周りのみんなとも仲良くしてるし。 ……でも、セラにはちょっと事情があって、あんまりクラス外には出てないの」


ふむ、と僕は頷く。


後半部に入った時に、ごくごく僅かに彼女の声のトーンが下がったような気がしたが、深く追求はしなかった。


「あ、ちなみに、コウヤのことを見つけられたのはね、カノに特徴を聞いていたからなの。 『《ラルーシア》の人気(ひとけ)の少し多いところで、おどおどしてる女顔の男の子がいたら、それがコウヤ君だよ。 一度顔を合わせておいたらどうかな』って」


「……挙動不審で女顔、ね……」


紫宮先輩はまさか僕に聞かれるとは思っていなかったのだろうが、なかなかにグサッとくる説明文だ。 っていうか、それだけで分かるセラもセラだ。 要所に混ざってくる雑多なジョークといい、理解不能な行動原理といい、もしかすると『VR部』はちょっと変わった美少女の集まりなのかもしれない。 それはそれで入りたいような入りたくないような……。



ーーーーあれ? 僕はまた、いつの間にか『VR部』のことを考えてしまっていた?


「それでそれで? コウヤは『VR部』に入るんだよね?」


「えっ……」


ふとした自己認識に驚かされたまさにその瞬間に、そんな問いかけが真っ直ぐに投げかけられた。


今現在の行動の帰結となるはずのその問いを前に、僕の思考は面を打たれたように止まってしまう。


例の如く、何らかの警告のように右肘に仮想の痛みが走り、僕の意志に靄をかける。


やはり、答えを返すことができなかった。


「……どうしたの? コウヤ」


身体が冷たくなり、足先から唇までもが硬直したような錯覚に襲われる。 セラの、どこか幼げながら包み込まれるような優しさのある声さえも遠くに感じる。


ーーーー本当に、僕のトラウマっていうのは、どうしようもないな……。


そんな自虐的な思考に陥りかけた時、しかして不意に、僕の頬に仄かな温かさが灯った。


「……怖いんだね。 自分自身が……」


「え……?」


予想だにもしない言葉を受け、薄闇のような視界がすっと晴れると、その温かさの正体が、僕の頬にそっと当てられたセラの小さな手の平であることに気づいた。


「コウヤは『VR部』に入りたくないって思ってるわけじゃなくて、自分が『VR部』に入っちゃいけないって思ってるんだね?」


まるで、僕の心中をトレースしたかのような悲痛をサファイアの瞳に浮かべながら、セラは続く言葉を紡ぐ。


「理由はわからないけど……コウヤはいい人だから、その想いはきっと、1人で抱え込んじゃったものなんだよね」


「……なんで」


ーーーーなんでそんなことが分かるんだ。 数分前に逢ったばかりの君に。


僕は驚きを隠せないでいた。 彼女は僕の迷いの正体を、朧げながらきっぱりと指し示して見せたのだ。 誰にも理解されず、あるいは自分自身で秘匿してきたその葛藤を。


「色んなことを考える時間があって、色んなことで悩んでるからかな……セラは不思議と、ヒトの抱え込んでるモノがわかるの。 複雑なのは苦手だけど」


僕の疑念を読み取ったのか、今までの破天荒な振る舞いが嘘のような静けさでそう言った彼女は、まるでガラスのような、透明感のあるーーあるいはあり過ぎるほどの調子で、僕の身体を抱き寄せた。 身長の関係上、僕は自然と前屈みになるが、彼女はそんな僕の首元に両手を回し、小柄な体躯で包みこんでくる。


「ね。 コウヤも迷ってるんだったら……もし、相手に迷惑をかけちゃうことを心配して迷ってるんだったら、遠慮しなくていいんだよ。 もう一度ゆっくり考えてみて? セラに、話を聞かせて……?」


慈愛、思いやり、寄り添い……そういった温かい言葉を全て内包するかのようなセラの想いを前に、僕は自分の内の何かがそっと溶けていくのを感じた。 同時に、胸の奥底へと閉じ込めた記憶が、ゆったりとした速度で浮かび上がってくることに気づく。


セラになら……『VR部』になら、打ち明けることができるかもしれない。 そして、抜け出せるかもしれない。 臆病な過去の自分を。


そう思った時には、僕の口から、封じ込めたはずの記憶が漏れ出していた。


「……僕は、中学の時、卓球部に入ってたんだ……」


ひどく嗄れた、消え入りそうな声で続ける。


「……小学校の間はずっと、勉強も運動もうまくいかなくて、それで……いじめられてた。 でも、卓球だけは違ったんだ。 初めて褒められた。 初めて勝つ嬉しさを知った。 初めて一生懸命になった。 初めて……大好きになったんだ」


「うん……」


僕の言うことを真っ直ぐに、なんらの気兼ねもなく受け入れてくれるセラの声を耳に、僕は追憶に浸っていく。



中学1年になった時、僕は何となしに卓球部に入部した。 地味だとかゆるそうだとかいったイメージをもっていたからかもしれないが、その時のことはよく思い出せない。 何も誇れるものがなかった小学生時代から抜け出したいという思いと、それでもあまり自信のない自分との折り合いがつかずにそこに落ち着いたのだろう。 とにかく、当時の僕は卓球に対してなんらの激しさや難解さの類を見ていたわけではなかった。


だが、最初に上級生の試合を見た瞬間に、その印象はガラッと覆された。


そこにあったのは、2.7mの超至近距離で行われる乱打の応酬。 まさに目にも留まらぬという表現が適切なほどに強く、速くボールを打ち合う姿は、中学1年になったばかりでわんぱくさの残る僕にでさえ、もはや人間業ではないと思わせるに足るインパクトを持っていた。


トップレベルの選手の放つ打球は時速120キロにもなるらしいが、それにはるか劣るといえども、先輩のプレイは完全に僕を圧倒した。


なにせ相手との距離はおよそ3mしかないのだ。 時速120キロのボールは、0.1秒も経たない内にコートを駆け抜けてしまう。 体感スピードは全スポーツの中でも屈指。 その打球を、連続で打ち合うのだ。


まさに光速の世界。


臆病で内気な普段の僕であったら、まず間違いなくその場で速攻で諦めていたはずだ。 しかし、なぜか僕はその一戦に魅せられ、そして、完全に卓球の虜になってしまった。


卓球を始めて数ヶ月が経ち、ようやくまともに試合ができるようになってくると、僕は自分が他人より “目” がいいことに気づかされた。


反射神経、動体視力。


双方ともに卓球においては絶対的に不可欠なもので、そのおかげもあって、僕は先輩や顧問にも一目おかれるようになった。 初めて他者から期待を受けたことに人知れず歓喜した僕は、必然的に一層の努力を積み重ね、3学年になる時には、団体戦の最後を任されるだけの実力をもつに至っていた。


体格も小さく、結局最後まで並のプレイヤー程度のパワーしか得ることができなかったが、必死の練習によって3年最後の大会の直前に “シュートドライブ” という必殺技も習得した。


外でこそ内気になるが、内輪だと人が違うように明るくなるという卓球部らしい性質をもつ愉快な仲間たちにも恵まれ、僕の中学校生活はーーというよりほとんど部活動生活はーーこれ以上ないくらいに充実したものとなった。


そして迎えた集大成、地区総体団体戦。 素晴らしい仲間と一緒だったからこそ、僕は個人戦よりも団体戦に重きをおいていた。 絶対に優勝してやる、と、本気でそう思っていた。


僕の “シュートドライブ” が好調だったことと、仲間の善戦もあり、僕たちの学校は決勝戦まで進んだ。


決勝の相手は、ここ数年の大会でも団体戦負けなしの強豪校だった。 中でも最大の壁となると予想されたのは、地区の個人戦で2年生の頃から1位の座を独占し、関東大会の出場経験もある選手だ。


勝敗は5本勝負で決する。 僕は5番のエースポジションを任されていた。


団体戦は白熱し、2勝2敗。 優勝への希望は僕に託された。 相手はもちろん、県内でも敵なしと謳われた最強の人物。


しかし、僕は毎日地獄のような猛練習を続け、力量を底上げしてきていたため、少なかなぬ自信があった。 さらにその相手の選手は、1ヶ月近く練習をサボっていたらしく、チャンスだと思うと同時に、より一層負けたくないと感じた。


試合は誰もが予想する以上に白熱し、均衡を保った。


最高のコンディションと必殺技を武器にひたすら戦う僕は、いつか夢見た光速の世界に身をおいていた。 圧倒的な高揚感と共に、不敗のエースと渡り合った。


そして試合は最終セットにまでもつれ込む。


ーーーーだがこの時、僕がずっと抱いていた懸念が実現し始めていた。


「懸念……?」


卓球のことはあまり知らないようだが、必死に話について来てくれているセラが、首を傾げる。


僕は未だに仮想の痛みが残る右肘に手をやり、「 “打たされている” ことに気づかなかったんだ」と、投げやりに言った。


僕が大会直前に修得した “シュートドライブ” という技は、威力こそ強いが、肘に大きな負担がかかった。 しかも完成を急いだ分、かなりの疲労が溜まっていた。


相手の選手は最初の時点でそれを見切っていたのか、わざと甘いボールを出して僕に “シュートドライブ” を打たせていたのだ。 そうと気づいた時にはもう遅く、かといって “シュートドライブ” 抜きで勝てる相手でもなく、僕は尋常でないほどの激痛に襲われながらも決死の思いで試合を進めた。


「今考えて見ても、よくあんなに辛抱したもんだなあって思うよ」


自虐的に言いつつも、記憶を最奥部ーー最も核心的なところへと潜らせていく。


勝負の大詰め。


ポイントはこちらが 9 で相手が 10 。 僕が点を取ればイーブンに持ち込めるが、逆に取られてしまえばそこで試合終了という緊迫の場面だ。 否応なしに周囲の歓声が高まったが、それらは僕の意識にはまったく入っていなかった。 不思議なほどに。 完全に。


そして、その瞬間が訪れる。


今までで一番長い、一縷の譲歩もない猛然としたラリーの末に、相手がボールを浮かせた。 絶好のチャンスボールが、加速された意識の中でゆっくりと向かってくる。


誘導なのか、それとも……と考える間もなく、僕は全身全霊をこめて必殺の “シュートドライブ” を放った。


横方向の回転により、敵の懐をえぐるようにバウンドするボールは、一本の見事な白線を引いて相手のコートを貫いた。 相手の選手は、触れることができない。


僕の、得点だった。


次の瞬間。 ワッと湧き上がる歓声。


しかし僕は、それを聞き届けることもなくその場に倒れた。 右肘を襲う痛みが、ついに限界を超えたのである。


しかし激痛が強まることがあっても、僕はどこぞの漫画のように気力だけで立ち上がることもできず、都合良く途切れるわけでもないぼんやりとした意識の中で、悲鳴混じりの絶叫を聞き続けた。




「結果は棄権負け。 それで団体戦も負けた。 ……右肘は全治3ヶ月の烙印を押されたよ」


全治3ヶ月。 怪我自体はあるいはまだ取り返しのつくものだったが、僕が心に負った傷は、ずっと深かった。 努力をいとも簡単に、あっさりと踏みにじられた感覚は、思っていた以上に耐えがたかったのだ。


僕は、すでに完治したはずなのに疼き続ける右肘をぎゅっと抑えて言う。 セラは、そんな僕を透き通った目でただじっと見つめた。 なにかを言い出す気配はない。 言葉を失っているのか、呆れ返っているのか、それともーーーー


「その後の僕は、どうしようもない人間になっただけさ。 責任を感じて、無力感を感じて、慰めようとしてくれた友達まで突き放しちゃったんだ。 皆が皆、僕のことを影から責めてるような気がして……。 あいつらがそんな人間じゃないってことくらいわかってたのに……」


しょうがない、お前が悪いんじゃない、よくやってくれたよ、俺たちが頑張ってれば……


恐らく本心からであろう皆の言葉を、僕は受け取ることができなかった。 だからこそ、そんな自分が嫌いになり、より一層固い殻に閉じこもった。


「……自分の気持ちの勝手で仲間を、部活を捨てるやつなんて、エースでもなんでもない。 それどころか、1人の部員としても失格だよ。 僕には、皆と部活をやる勇気も、その権利もない」


この言葉が、僕が1人で悩み続け、疲れ果てた末に出した結論。 自分を徹底的に貶めることによって責任の追求から逃避し、これ以上の責任への干渉を拒絶するために出した、なんとも自分勝手で臆病な結論だ。


でも、誰も傷つけることはない。 誰を突き放すこともない。


しかし、性懲りも無くそんな思案に陥る僕に、セラが純真な言葉を突きつけた。


「コウヤはそれでいいの?」


どくん、と心臓がはねた。


僕の口の端から、噛み殺したような呻き声がこぼれる。


「いいわけ……ないじゃないか」


そう。 僕は本心ではわかっているんだ。 もう一度、仲間と一緒に一つのことに必死になれるような日々を送りたい。 きっともう、誰も僕を糾弾したりはしないだろう。 でも、


「……どうしたって、僕の頭の隅にこびりついた惨めな言い訳が拭えないんだ! お前はもう他人の夢に干渉すべきじゃないって。 僕は紫宮先輩の夢を……そして君の夢を邪魔したくない。 だからっ……」


言い切る直前。 バチンと、セラの白い両手が僕の頬を挟みこんだ。


すうっと息を吸い込む音が聞こえて、僕は反射的に肩をすくめかけたが、響いたのは、優しい鈴の音ような声だった。


「わかってるよ。 コウヤは本当にいい人だから、相手のことを一番に思っちゃうんだよね。 気にしないでっていう言葉も重いんだよね。 なんだかわかってきた気がする。 カノがコウヤを選んだ理由が。 ……だからね、セラは言うよ」


僕が思わずセラを見返すと、彼女は一切の不純物を含んでいないかのような透明の瞳を、僕にまっすぐ投げかけた。 嘲も、同情もなく、ただ純粋に。


「お願い、『VR部』に入ってセラたちに力を貸して」


「……でも……」


僕のすぐ側に、救いの手が差し伸べられている。 だがしかし、素直にその手を取れない自分がいる。


僕がそのまま言いよどんでいると、セラは僕の頬をぎゅっと挟みながら、鼻先がつくほどまでに顔を近づけて、一言一言をまるで宝石を扱うかのように大切そうに、ゆっくりと口にした。


「コウヤは、弱い自分が嫌いなんでしょ? 努力できない自分が嫌いなんでしょ? ………だったら大丈夫。 必要なのはあと一歩だよ。 怖いなら逃げ出してもいい。 コウヤはちゃんと頑張ってきたんだから、未来はきっとコウヤを待ってる」


そして彼女は、 “天使” と、そう形容するより他ないと思えるほどに慈愛に満ちた微笑みを湛え、僕を(いざな)うように手を差し出す。


「迷ったら支えてあげるよ。 コウヤの頑張り

を知ってる誰かが、セラが、カノが………『VR部』が、ついてるよ」



僕の頬を、熱い涙が伝った。


こんなにも温かな想いに巡り逢えた自分が、心底幸せだと思った。


ありがとう、と、誰にともない僕のかすれ声が、静かな星屑の丘にりんと響いて消えていった。







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