第二章 リンク
数日後。
部屋は静かだった。
一人暮らし用の小さなマンション。
テレビはついているが、内容はほとんど頭に入っていない。
テーブルの上にはコンビニの弁当と缶ビール。
俺はスマホを眺めていた。
SNSのタイムライン。
どうでもいい動画。
誰かの愚痴。
広告。
その中に、妙な投稿があった。
動画配信者のアカウントだった。
再生数は数十万。
タイトルはこう書いてある。
「人生の走馬灯が見れるリンク、開いてみた」
ふっと鼻で笑う。
くだらない。
そう思いながらも、指は止まらなかった。
投稿を開く。
コメント欄は妙に盛り上がっている。
「マジで変な感覚だった」
「怖すぎる」
「夢見た」
「自分の記憶出てきた」
意味がわからない。
俺は少し迷った。
だが結局、リンクを押す。
画面が暗くなる。
数秒。
何も起きない。
「……なんだよ」
そう呟いた瞬間。
突然、視界が揺れた。
暗闇の中に、映像が浮かぶ。
それは――
俺だった。
小さな頃の俺。
公園で遊んでいる。
母親の声。
遠くで怒鳴る父親。
懐かしいはずなのに、妙に冷たい光景。
次の映像。
高校。
友達。
酒。
笑い声。
次。
結婚式。
妻が笑っている。
そして――
子供が生まれた日。
病院。
小さな手。
俺は思わず画面に触れた。
「……なんだこれ」
走馬灯。
本当に、自分の人生だった。
だが。
その途中で、奇妙な違和感が生まれる。
映像の中の人間たちが。
少しずつ。
ほんの少しずつ。
俺を見ていない。




