表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
またどこかで  作者: かさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/10

第一章 離婚

「あなたは仕事ばっかり。」


リビングに重たい沈黙が落ちる。


時計の秒針だけが、やけに大きく聞こえた。


「家族より仕事。昔からそうよね。」


テーブル越しに立つ妻の顔は、怒っているというより、もう諦めているように見えた。


俺は黙っていた。


言い返す言葉がないわけじゃない。

だが、どれも言い訳にしかならないことを、自分でもわかっていた。


妻は続ける。


「あなたのお父さんと同じ。」


胸の奥が、少しだけざらついた。


「親が親なら子も子よ。」


その言葉が落ちた瞬間、何かが終わった気がした。


沈黙。


長い沈黙。


俺は立ち上がる。


「……俺は」


言葉を探す。


でも出てきたのは、思っていたより冷たい言葉だった。


「俺は一人の方が楽だ。」


妻は何も言わなかった。


ただ小さく息を吐いて、視線を逸らした。


その顔を見て、ほんの少しだけ後悔した。


だがもう遅い。


俺は玄関へ向かう。


ドアを開ける。


背後で妻が言った。


「そう。なら好きにすれば?」


俺は振り返らなかった。


ドアを閉める。


静かな音だった。


だがその音は、まるで何かの始まりみたいに、妙に耳に残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ