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ギフトの儀式

 あれから1週間後、村の広場に俺と同い年の少年少女達が集められていた。


「これよりギフトの儀式を行う、1人ずつこの水晶に手を当てるように」


 教会の神官に言われ水晶の前に1列に並んだ。


 ギフトは水晶に写し出され神官は紙に記入して国に報告される。


「どんなギフトが貰えるかな?」


 目をキラキラさせているのはリーナ、近所に住む同い年の女の子だ。


「いい事をすれば良いギフトが貰えるんじゃないかな?」


 そう言うのはニコル、眼鏡をかけた大人しめの男の子だ。


(2人ともギフトに驚くだろうな……)


 俺は既に知ってる身として落ち着いていた。


 ……冷静に考えてみると既にギフトを知っている、て結構異常なんじゃないか?


 そんな事を考えていると俺の番になった。


「イナヤです」


「では水晶に手を」


 水晶に手を当てると体に温かい物が入ってくるのを感じた。


「貴方のギフトは農家ですね」


 あっという間に終わった。


 まぁ普通のギフトだから当然と言えば当然か。


 そして、次はリーナの番だ、リーナが水晶に手を当てるとキラキラと明らかに普通とは違っていた。


「こ、これは……聖女のギフト!」


「せ、聖女……?」


 そりゃ戸惑うよな、大人達がアタフタしている。


「リーナが聖女だって……?」


 ニコルも驚いているがもっと驚くのは君だよ。


 リーナは神官に連れられて馬車の中に入っていった。


「リーナ、どうなっちゃうんだろう……」


「多分、教会に行って聖女の修行を受けるんじゃないかな」


「もしかして、もう会えないのかな……」


 ニコルは不安そうな顔をしているが、次はニコルの番だ。


 不安そうな顔でニコルは水晶に手を当てた。


 またキラキラした反応が出た。


「えっ、まさか……、これは勇者のギフト!」


 再び驚きの声が上がった。


 そりゃそうだ、聖女と勇者、2人が同じ村にいたのだから。


 ニコルも馬車へと連れて行かれた。


「これで儀式は終了とする、優秀なギフトを持つ者は王都に行き訓練を受けてもらう事になる」


 そして、馬車は村を出て行った。


(お別れの挨拶、出来なかったな……)


 悲しさとかは無かった、まぁこれも人生なんだな、と思う。


 ……前世の記憶が無かったらもっと子供らしいリアクション取れるんだろうな。  

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