チート?結構です
新作です、作者には珍しい転生物になります。暇つぶしにどうぞ。
俺、『伊坂聡』は突然だが死んでしまったようだ。
だって、普通に会社からの帰りで夜道を歩いていたらいきなり背中に激痛が走ってそのまま意識が無くなった。
気がついたら真っ白な世界で目の前には神様みたいな人がいた。
『神様みたい、じゃなくて本物の神だからな?』
え、脳内で考えてた事にツッコミを入れられた?
『表情に出てるぞ、ところでお主も災難だったな。 人違いで殺されるとは』
は? 人違い?
『そう、お主は結果的に身代わりになったんだ』
え? 意味がわからん。
神様曰く、俺の先輩と俺の同期のOLが付き合っていたんだが先輩は妻子持ち、別れる別れないの泥々の状態になっていて遂に不倫相手の同期が『貴方を殺して私も死ぬ!』というメンタルになったらしい。
その先輩と俺の帰り道が偶々一緒で俺は先輩と間違われた、というのが俺の死の真相だった。
『しかも、その女間違いに気づいて行方を眩ませていたが結局はその男の家に放火して一家全員焼き殺して自分もガソリン被って火をつけた』
何それ、常軌を逸してる、恋愛脳、怖い。
『まぁ、その女は問答無用で地獄行き、原因となった男は輪廻の輪には入れたが子孫は残せぬ運命、男の妻子はその男とは別の運命を歩ませる事になった、でお主の処遇だが』
俺はゴクリと息を飲んだ。
『お主は異世界に転生させる事にした、でその際に条件を1つだけ付けようと思うが何を望む?』
え、コレってもしかして異世界転生、ていう奴?
俺はネット小説が好きで当然だが転生物も読んでいた。
しかし、俺には前からある疑問があった。
『転生者、チート持ち多くない?+ハーレム作り過ぎじゃない?』だった。
普通に暮らしていけるのであればチート能力なんていらないしハーレムだって作る必要なんて無い。
……それが主人公属性、ていうのはわかってる。
でも、俺は別に勇者とか英雄とか興味無いし世界を救おうとか思っていない、普通の30代のしがないサラリーマンだ。
「あの、その異世界で俺の役目はあるんですか?」
『いや、特には無い。 普通に暮らしていけば良い』
どうやら勇者とかは関係ないみたいだ。
「普通に暮らせるのであれば特に希望とかはありません」
『良いのか? 現世では出来ない事も出来るんだぞ?』
……この神様、誘惑してないか?
「いえいえ、平穏無事に暮らせれば何もいりません」
『ふむ、今までの転生者はチートだとかハーレムだとか色々言っていたが……』
あ、やっぱりいたんだ。
『正直に言うと余り能力が高すぎると世界自体に影響が出るし身の破滅になるから余りオススメはしていないのだ』
でしょうね、過ぎる力は身を滅ぼす、というから。
『そういう意味で言うとお主は見込みがある、特に能力は無しで転生させるとしよう』
こうして、俺は新たな人生を歩む事になった。
小さな村の村人『イナヤ』として。
……ただし、何故か幼馴染が勇者や聖女がいるのだが。