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告白 ─ルナ

告白のマリア編は遠いかも知れません 許してね


「一応俺も男なんだからさぁ……男と同室とか嫌なもんじゃないの?女の子って」



「シェイドは違うよ〜! シェイドは酷い事しないって知ってるもん! それに、逆に酷い事出来ちゃうかもだし……んふふ♡」



「怖い事言うなよ!!」



「ベッドで寝るのが嫌なら、私のお膝でも良いよ。シェイドの寝顔、好きだから」



「俺、お前に寝顔見せた事無いよ! お泊まり会したけどルナは先に寝てただろ! お前ら怖いよ! 揃いも揃って!」



 平穏な睡眠はどこへやら、やいのやいのと言い合っては眠気が来ない。

 と言うか、寝たら酷い目に合う気がする。



「眠くないけどもう寝るわ……今日は色々あって疲れたし……特にルナ、マリアの二人関連でな!」



「夜はまだまだこれからだって〜! 久しぶりに組手とかしようよ〜!」



「膝枕……」



「うっさいうっさい! 俺はもう寝るの!」



 二人の声を無視してガバッ、と宿屋の店主さんから借りたソファに置かれた毛布に包まる。

 その時、二つの柔らかい物体が背中と正面にぶつかる感触がした。



「……お前らなぁ! せめてソファで寝るとか役割分担あるでしょうが! ソファは広くないの! 二人はベッドで寝なさい!」



「最近のシェイドはお母さんみたい。そんなシェイドも好きだな」



「良いじゃん、減る物でも無いし〜! 狭いけど、シェイドはあったかいよ? えへへ!」



 どう足掻いても退いてくれる気配が無いので、二人にどうにかして寝る事を許して貰えないかと思うのだが。

 これでも男だ、大の女の子二人に挟まれてまともに寝れる気はしない。

 もう既に寝息を立て始めたマリアをよそに、眠りにつける事を祈って目を閉じた。


──────


「シェイド、起きて。お話したい」



 そんな声が聞こえて、少し眠れ始めた目を擦って起きる。

 そしてマリアに抱きつかれているのを何とか解いて、ソファから降りる。

 声の主は、窓際に座っていたルナだった。


 彼女の美しい水色の髪が闇夜の月に照らされて、凄く美しく思えた。



「こんな夜中に何だ……大事な話か?」



「そんなに大事なお話じゃないよ、少し昔の私達の話をしたいだけ」



「夜はノスタルジーになるのが人間の基本だしな……俺だけかもしれないけど。わかった、付き合うよ。多分このまま寝てても半分寝れてないみたいな状態で起きるハメになってただろうから」



「ふふ、ありがとう。それじゃ膝枕しながらでも良いかな?」



「お前はどうして膝枕に執着するんだ?! そこまで言うなら、一回位は膝で寝てやっても良いけど……」



「やった。それじゃ来て、ベッドに行こっか」


 窓際の椅子から降りたルナは、ゆっくりとした足取りでベッドに向かう。

 ベッドに座ると、膝をぽんぽんと叩いてこちらに手招きをした。

 渋々自分も向かい、ルナの膝の上に頭を託した。



「この感覚、久しぶりかも」



「俺、ルナに膝枕してもらった事あったっけか?」



「子供の頃、一回だけ。シェイドが槍の突きの練習して疲れた時にやってあげた」



「あぁ、朧げだけど思い出した。俺がルナに初めて魔術を教えてってせがんだ時の奴だっけ? そうだ、寝顔見た事あるって言ってたのはそこだったのか!」



「そう。それもあるし、教えてって言って貰えて嬉しかったよ」



 思わず、思い出話に小さな花が咲く。

 思い出してみれば、あの頃の自分は知りたがりな奴だった。

 剣術も知りたかったし、魔術も習ってみたかった。


 けど遠くに行くお金も無いし、実家が裕福な訳でも無かったから習い事は出来なかった。

 そんな時に、二人が現れたんだった。



「私、シェイドに伝えたい事があるの。聞いてくれる?」



「良いよ、何でも言ってくれ。罵詈雑言だけは勘弁な!」



 ルナの膝の上で目を閉じながら、ルナの伝えたい事を待つ。

 静かな部屋に自分だけの心臓の跳ねる様な鼓動音がして、少し緊張が走る。



「私、シェイドの事が好きだよ。誰にも渡したくないから、絶対」



「……返事は、保留で良いか?」



「うん、大丈夫。最後は絶対、私に来てくれるって信じてるから。シェイドの性格も考え方も、何もかも大好き。恥ずかしがり屋さんな所も大好き。好きって気持ちが溢れ出して、どうにかなりそうなの」



 その言葉を聞いて目を開く、ルナと真正面から目が合う。

 ルナは顔色一つ変えずその言葉を発していた。

 俺はその光景が少し異質に思えて。

 


「受け止めるよ、その気持ち。だけど……俺には覚悟が無いや、ルナ」



「……そういう所も、大好きだよ。シェイド」



 もう一度目を閉じる、眠気が俺を襲う。

 このまま眠りに身を落とす様に力を抜く。

 眠りで気を失う最後の瞬間、唇に何かが当たった感触がした。


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