混浴と剣
投稿遅れてまじですいませんっした……!
設定の矛盾がある部分は、一旦削除しました……!
「シェイド坊はさっきからずぅっと俯いておるが……妾達の方を向かんか! 妾のぷろぽぉしょんを自慢出来ぬであろう?」
「絶対向かねぇからな……」
マリアが言い出した、混浴と言う言葉。
その言葉が現実になってしまった事への絶望感が俺を襲う。
良い歳して未だに思春期真っ只中な俺は、正直この三人に目を向けられない。
だって全員……『何が』とは言わないが、大きい。
このままだと俺は、典型的な展開……女の子達に囲まれて幸せな生活を送る小説の主人公の様に、鼻血を吹き出して看病される羽目になってしまいそうであるから。
「も〜、恥ずかしがらなくて良いのに……ボクなら、全然見ていいよ♡シェイド♡」
「私も。シェイドに全部をさらけ出す覚悟は出来てるから」
「そんな覚悟二度としなくていいよ! ほんとに……」
湯船に浸かって、これから始まる旅の序幕の疲れを落とそうとしていた所にこれである。
はしゃいでいる女の子三人を置いて、俺はぶくぶくと口を湯船に当てて、泡を出している。
惨めったらありゃしない。
「だ〜! もう、わかったよ! 見ればいいんだろ、見れば!」
「やぁっと決心が着いたか、シェイド坊や♡ほれ、妾がちらっとせくしぃな所を見せてやろう♡」
「シェイド、こっち向いて〜! ふふふ……きっとビックリするよ♡」
「シェイド、覚悟出来たなら目を開けて」
一体コイツらは俺を何を見せようとしているんだ……俺は恐る恐る、ゆっくりと目を開いていく。
「……」
「シェ、シェイド? どーしたの?」
「フリーズしてる」
「妾達のせくしぃ加減に物も言えなくなってしまったのかのう……」
……やばい。
顔全体が暑くなって来た。
フラグを、回収してしまう。
「ぶっはぁ!!!!」
「シェ、シェイドー!!」
まるで小説の一描写の様な、驚くべき鼻血の噴出量であった。
我ながらこれは最高記録であろう。
前の自己ベストは子供の頃間違えて二人の入ってる浴室に侵入してしまった時。
「あが……が……」
「シェイドが気絶しちゃったよー!!!」
「早く上げてあげないと、普通に死ぬ」
「シェイド坊〜!! 妾が悪かったのじゃ〜!!! 死なないでおくれー!!!」
……散々な目に遭った。
──────
「二度と混浴はしないでくれ……頼むから。な?」
俺は命からがら湯船から助け出され、銭湯のソファに横たわっていた。
あの光景が目に焼き付けられ、記憶から離れてくれない。
あのたわわな……たわわな何か。
「ご、ごめんね……シェイド。今度落ち着いた時にもう一回見せてあげるから……きゃっ♡」
「もう御免だよ! はぁ……そろそろ宿屋に行こう。そろそろ閉まりそう時間になって来た……」
俺はソファからゆっくりと起き始める。
湯にのぼせかけたせいか暖かい体が俺を包み込む様な感覚を感じる。
ケースに入ったランスを手に取って背中に背負い、地に足をつけて歩く。
「シェイド坊、今日の夜ご飯は無しかのう?」
「あ……うん、ごめん……無しっぽい」
「……そっか」
ルナが見るからに寂しそうな顔をした。
食べる事が大好きだから、仕方ないか。
俺も腹が減った、明日の朝はたらふく飯を食べよう。
「チェックイン済ませたら、お部屋行っちゃお! それと、シェイド! 話したい事があるんだ!」
「マリアの話したい事は嫌な記憶があるから出来れば遠慮したいんだけど……」
「あれは私達の一世一代の告白なの〜! もう……今度はもっと真面目な事だよっ! シェイドの将来に関わること!」
俺の将来に関わること。
一体どんな話だろうか……想像がつかない。
宿屋にチェックインしたあと、早速部屋に向かう。
ルナは早速ベッドに横たわるや否や、静かに寝息を立て始めた。
ローゼはこちらを見つめながら、鼻歌を歌っている。
時たま見つめ返すと笑みを浮かべて来たり。
「それで、マリア。話って何だ?」
「えっとね……シェイド。今はランスをメインに使ってるでしょ?」
「そりゃそうだ! 親の形見なんだからな!」
このランスを手放すわけにはいかないし、手放せない理由がある。
ランスを手放せって話なら……断りたい気持ちもあるが、正直俺はランスには向いていない。
「魔王」と名乗ったルナとマリアの手下と戦った時に、それをもう一度実感した。
これ以上、リーダーなのにパーティのお荷物になる訳にもいかない。
予想通り、マリアは剣を俺に手渡してきた。
「これ、私のお古! ランス以外にも、使える武器を増やしとこうよ! ランスと剣の二刀流は結構厳しいからね……腕力的に?」
「俺も……剣を使ってみようかと思ってたんだ。でも……ランスは持って行くままでいいか? いつも通り街中で背中に背負ってる時の感じで……」
「もちろん! ランスの無いシェイドなんて想像つかないもん! もし剣で戦いにくかったら、ランスを取り出して戦っても良いし!」
「シェイド坊が剣を握っておる姿か……イメージし辛いのう。でも、意外な姿じゃ……ふふ」
俺に剣の才能があるかはわからない。
けれど、マリア……「親友」の勧めなら断る理由も無い。
俺はマリアの剣を手に取り、少し距離を取って軽く振るってみる。
空気を切り裂く音がする、凄く手に馴染む。
まるで、今まで持っていたランスよりずっと前に持っていたかのような。
「凄い、様になってるよ! ランスの次は剣を極めちゃおうよ!」
「あぁ……これ以上、足手まといになるのは御免だ。ありがとう、マリア」
「それと……シェイドに一つお説教!」
マリアが立ち上がって、ビシッと俺に指を指す。
突然指を刺されて困惑している時に、マリアはこう言い放った。
「誰もシェイドを足手まといとか思ってないから! ボク達の大切なリーダー! そして、『恋人』だもん!」
「恋人じゃねーって! でも……ありがとう」
明日から、俺はランスと一緒に剣を振るう事になった。
不安は募るが、案外何とかなる物かもしれない。
腰に剣を、背中に槍を背負って。
……重量過多で筋肉痛になりそうだ。
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