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ラブコメ、友情、世界平和

《》カッコ内は筆者の心の声。

後ろ髪引かれながら、ダイブマシンを出ると、すぐに近くにいた探索者やら、職員やらに取り囲まれた。

口々に中の様子を知りたがった。

中根指導員が、通信機をつなげて音だけでモニタリングしていたようだ。

人の渦を割るようにしてサブマスターがやってきた。

「中の様子は?」

「まだ誰一人として傷一つ負ってません、連中、世界平和だとか妙なことを言っていて、潜ってるうちに変な宗教にかぶれたんでしょうか」

「もう外の世界には戻れなくて、身体がどんどん変質していく、宗教でも始めたくなりますよ、今は変な宗教だろうが、それで態度が軟化してくれたなら、万々歳です、他の方々は戻れないのですか?」

「とても言い出せる雰囲気ではなかったですね」

「オレとコイツが食事の準備のために出るっていうので精一杯でした、中根の功績ですよ、あの状況でご飯食べましょうなんて、ちょっとぶっ飛んでる」



《  筆者による中根指導員へのよいしょ、また戻ってきてね  》



「とりあえず、食事を用意しましょう、あなたは少し休んできて良いですよ、でも、十五分くらいで戻ってきて下さい、いたずらに刺激するわけには行きませんからね、同じ人間が持っていった方が良いでしょう」

15分か短い、保釈期間だったな。

「オレは、ここで中の状況をもう少し詳しく報告して、作戦を立てる、酷い顔してるぞ、顔を洗ってなんか温かいもん飲んでこい」

このまま逃げ出したら、とも思うが、ここは元々軍の訓練施設、脱走兵対策はバッチリだそうである。

「あのっ、すみません、今、良いですか?」

顔を洗って、缶コーヒーを飲んでいると、受付け嬢さんが話しかけてきた。

小柄でホブのがんばりやさんといった感じの可愛らしい人である。

今は人と話せるだけで癒やされる。

若い女性ならなおさら。 

「はいっ、もちろんっ」

「良かった、大変なだったでしょうが、中の様子が知りたくて」

おや、受付け嬢さんのような人でも中の様子が気になるのか。



《  なんで、気になるか?そりゃ、決まってるでしょ、とりんさまなら、わかってくれるはず(つまり、無策)  》



なんだかこの人のためだと思えば、頑張れる気がしてきたぞ。

「とりあえず、怪我人はいませんよ、もちろん死人も、中根指導員の功績ですね」

「な、中根さんがっ?、どうして」

おや、おやおやおや

「相手の話を汲んで、ご飯にしましょうと言ったんです」

「また、あのひとは空気の読めないことをっ、あっ、すみません、そのお陰で助かったんですものね」

受付け嬢さんは少し赤くなってシュンとした。

「気になりますか?中根指導員のことが」

「そりゃあ、だって……」

「好きなんですか?」

「ちがいますよー、尊敬しているんですよー」

あぁ、うん、そうか、尊敬なのか、まぁ、いいや。

「そろそろ戻りましょうか」

「あっ、はい、お気をつけて、必ず戻ってきて下さいね」

ダイブルームに戻ると、銅製の寸胴と木の籠が積み重なっていた。



《  銅の寸胴ってすぐ冷めちゃいそう、それと木の籠はダイブマシンに入ると変換されちゃうからですね(つまり、説明入れ忘れ)  》



「おい、さっきよりさらに死んだ目してないか?」

「いえ、大丈夫です」

「まだ、体力があるのは知ってるが、日も浅いのに無理をするな、オレだけで行っても良いんだぞ」

「かえって、踏ん切りが着きましたよ、分かります?さっきまで、どうやって逃げ出そうか考えてたんです、あ、ちなみに笹川教官は奥様は?」

「あぁ、娘と一緒に今頃待ってるハズだな、オレと一緒じゃないとご飯食べないってグズってるらしいんだがな、写真見るか?」

「いえ、結構です、なんとなく察していました、この任務、私が適任者ですッ」

「なんか、分からんが、あんまり気負うなよ、飯を運ぶだけでいいんだ、それで戻れそうなら戻れよ」

「わかってますとも」

「よし、行くか」

二人して扉を開けてダイブマシンに入る。

中根指導員が待ち構えていた。

「どうです、少しは落ち着きました?」

「はい、中の様子は?」

「特に変化はなく、人が入って来たことで少し緊張度合いが揚がったかも知れませんね、テーブルの準備をしているところです、やっぱり元は人で話は通じますから、ハロウィンパーティーの準備をしているようなものですよ」

「俺たちが入ったら、様子を見て小鳥遊を手伝いに出してやろう、流石にこんな大事な局面でお漏らしは可哀想過ぎる」

「ハハハッ、随分と余裕が出て来たみたいで、さっきは人でも殺してきたような顔してましたよ」

「娘の写真見てたらな、思い出したよ、オレは親父だったって」

「あのー、心暖まる会話中失礼しますが、この寸胴、持ってくれませんかねっ」

「おっと、美味そうな匂いがしますね」

「特製ビーフシチューだとか、幹部候補生たちの歓迎会兼結団式の予定だったらしいですよっと、こちらもお願いします」

ポンポンと中根さんの上に、積み重ねていくが、持ち前のバランス感覚と筋力で軽々と持って行ってしまった。

くぅ~、口惜しや。

如何に医学が発達して、二十代と七十代の見た目がほぼ同じになったとしても、やはり年を重ねると偏屈になるし、そもそもの持って生まれた顔は変わらない。

イケメンはイケメンの星に生まれ、それ以外はそれ以外。

これを覆すには金か肩書きが必要になる。

つまりは、出世、この出世街道を登り切ってやるっ!!

「こっちは、もうすぐ終わりそうだぞ」

「オレもあとちょっとだっ」

最後の一個は、俺が持ったのだが……。

「ふむ、重いな……っ!よっと」

「あっ、ごめんなさいっ」

よろけたところに居たのはポン太だった。



《  ねぇ、とりさま、ポン太を認識してくれたのは嬉しいです。でもそこは可愛い新キャラ入れてくれても良いんですよ。  》



優しい弾力で受け止められた。

「おうっポン太っ、お前嫁さんは?」

「ポン太って、お、俺のことかっ、小鳥遊って名前が、あるんだけど、嫁なんていないよってかトイレ行きたいんだよっ」

「ポン太、お前だったのか、一緒に頑張ろうな」

「あ、あぁ分かったよ、とにかくトイレに行ってくる」

「おうよっ、行って来い、マイフレンド」

バチーンと肩を叩くと、いい音が響く。

「やっ、やめ、今は刺激を与えないでくれ」

ふらふらと小刻みなステップで、ポン太はダイブマシンをくぐって行った。

そんなこんなをしていたら、なんだか少し、ピリピリとした空気は和らいで来ていて。

配膳が終わり、みな席につく頃には、ちらほらと、エコーズの構成員に話しかける人も出て来ていた。

「では、中根頼む、オレが挨拶苦手なのは知ってるだろう?今日は流石にグダグダにするわけにゃいかんだろ」

「俺ですか」

「ほら、それに言い出しっぺだろ」

「わかりましたよ、それでは僭越ながら私が軽い挨拶をさせて頂きます」

スッと立ち上がって、周りを睥睨する。なんとも堂に入った立ち振る舞いだ。

「我々は一度は決裂しました、しかし、今日この日に同じ食卓を囲んでいます、エコーズのみなさん、みなさんの目的は世界平和であると聞いています、今はまだその具体的な手段や、そのツテなどは聞きません、いずれ分かり合えると信じています、それでは、また、このように卓を囲めることを感謝し、また未来にこのような機会が訪れることを期待して、乾杯」

拍手の輪が広がった。

割り箸で銅製の鍋をコンコンと叩き、

変わりに高官の孫が立ち上がって注目を集める。

本来なら、グラスをフォークやスプーンで叩いて注目を集めるところだが、

ガラスと鉄が無いせいでいまいち締らない、視線を集めることには成功した。

「我々の目的は世界平和だと言ったが………」

そこで言葉を切る。

皆が固唾を飲むように、見守る。

「我々の目標はただ一つ、家族との団らんを取り戻すことだっ!!」



《  な、なんだってぇーーー、わざわざ世界平和って前フリをしたんだけど、とりんさま  》



ドンッと拳を突き上げる。

「その為に、我々は団結し、戦い続ける、例え、それがどんなに困難な道であっても、我々は諦めない、一人倒れ、二人倒れ最後の一人になったとしても、あの温かい場所に帰れるなら、我々は休むことは無い、そう誓った、必要なら探索者とでも、政府とでも手を組もう、日本支部以外のエコーズと敵対することだって厭わない、私には息子が居た、今年でもう30過ぎになるはずの、家を出たときはあんなに小さかったのに、たとえ大人になっていたとしてもあのこの手をもう一度掴めるなら、なんだってするだろう、その大きな一歩としては、日本ダンジョン管理局と手をとることをここに宣言するっ」

随分と熱い演説をするな、周囲を眺めて見るとおいおいと、涙を流し、衣服をあるいはテーブルや地面を濡らしていた。

どうやらダンジョンにも雨は降るらしい。

家族がいないせいでどうにも感情移入しづらく、過剰に感じるが。

「さぁ、みなさん、召し上がってください」

中根さんがそういうと、涙を流しつつも、食欲には勝てないのか、「何十年ぶりかのヒトらしい食事だ」なんて言って、その味に涙腺を崩壊させている。

彼らが本当にほんの数時間前まで、私を震え上がらせていた人たちなのか疑わしく思えてくる。

大丈夫?戻ってくるまでに入れ替わってない?



《  周りの急変に、主人公くんはついていけない  》

かんそう


中根指導員へのよいしょを入れ込んで行ったら、とりんさまが拾ってくれた

とりんさまはラブコメも出来る。

とりんさまは多分挨拶を頼むと長話をしちゃうほう、なかなか乾杯出来ない。


結論

とりんさまと小説を書くのは楽しい。

乾杯の前の挨拶のときには、まとめに入る合図をしてあげよう。

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