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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
77/140

77話

 しかしそんな彼ら冒険者の手際を遅きに失していると憤り、先走る人間がいた。


「討伐隊の編成なんか、待ってられるか……!」


 優れた魔道具を提供することによって冒険者たちの作戦行動を裏方から支援していた、ソルト少年である。

 彼は怯えた村人たちが家の中で震えている中、集会所にこもった冒険者たちが必死に作戦の立案をしている中、たった一人で森へと赴いていたのだ。


 その目的は姉貴分であるシュガーを捜索し、できれば救い出すことであったろう。


 彼は冒険者混合チームの第二部隊に同行したシュガーが行方不明であると村長から聞かされると、すぐに店の奥へと引っ込んだ。

 他の冒険者の部隊が村に戻り、そしてすぐ森に再出動するだろうと思考し、その機に備えて魔道具の準備を整えていたのである。


 ところが、昼過ぎから始めていたそんな彼の備えも空しく、冒険者たちは夕刻を過ぎても集会所で作戦会議を続けている有様だ。

 ソルトにとっても他人事ではないから、会議の重要性は分かっているつもりであった。

 正確に言うなら、『つもり』でしかなかったのだ。

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