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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
75/140

75話

「……交戦はしたのか?」


「していない。してはいないが、奴が手負いだったのは間違いない。

 むせるほどに濃い血の臭いがしていたし、逃げていった後にも大量の血痕が残されていたからな」


 その後も幾つかの問い掛けが村人や他の冒険者から相次いだが、実となるものは少なかった。

 質問が途切れた頃を契機として、ペッパーはその手を一度だけ軽快に打ち鳴らす。


「この辺りで、報告をまとめておきましょう」


 当初の目標であるブラックグリズリーの討伐については、第二部隊がその役割を果たした。

 これは良い。

 問題なのはその後の、第三部隊が遭遇したというブラックグリズリーに酷似した魔物である。


「遭遇してすぐに逃走したことから、人間に対して恐怖心、或いは敵対心を持っていると考えられます。

 下手に追いつめれば、逃げずに向かってくることも十分にありえますね。

 放置しておくのが一番楽なんですが――」


「しかし、そういうわけにもいかんだろうな」


 バランの言葉に、ペッパーは頷いた。


 そう、この魔物を討伐しない限り、平穏は訪れないのである。

 事はもはや村だけの問題ではなくなっており、周囲の町にも危険が及びかねない状況となっているのだ。

 できるだけ早く魔物を見つけ出し、討伐しなければならないと、ペッパーは僅かな焦りを内心に滲ませる。


「昼過ぎの地揺れと咆哮は、その魔物の仕業でしょうからね。

 決して野放しにはできません」


 彼の推測に否を唱える者はいない。

 その場の誰もが山の震えと共に響き渡った魔物の絶叫を、その心身に深く刻みつけていたからである。


「それで、討伐隊はどう編成するんだ?」

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