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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
68/140

68話

 前衛を担当していたキーリとロアは深い疲労に陥っていたが、しかしその顔には喜怒哀楽のいずれでもない感情が備わっているようであった。

 魔物を打倒した達成感、充実感、満足感などといった感情とは、明らかに異なる種類の心が動いているように思われる。


 そんな彼女たちの状態は無残と言って良い。


 身に着けている鎧は裂かれて砕け、今や鎧とは言えぬほどの残骸となり果てている。

 盾についてもほぼ同様で、その表面部分はかなり削られて摩耗しており、盾としての効果を期待することは難しい。

 体内に残っている魔力は使い捨てた幾十もの魔槍と大剣の鋭度強化、大盾の防護強化によってほぼ全てを使い切っており、気絶していないのが不思議なほどであった。


 後衛については前衛とは違って魔物の攻撃に対応しなくて済んだが、しかしその分、前衛を援護する魔法の行使により、魔力の消耗が一層激しかった。

 魔力を経口補給できるエネルギードリンクを飲みながらの心身を削る魔法行使は、明らかに無茶を通り越して無謀ですらあっただろう。


 だが、前衛も後衛も自身の命を削りながらでなければ、避け得ぬ死を前にして冷静と理性を得たブラックグリズリーを相手に、戦えなかったのも事実であった。


 第二部隊の面々は満身創痍といった状態ではあったが、その目には生気が強く輝いていた。

 死に往く者に対する敬意が湛えられていたのである。

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