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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
4/140

4話

 赤い絨毯の敷かれた廊下に人気はない。

 時刻としては昼頃で、他の学生は食堂で昼を食べているか、校内外で昼休みを満喫しているか、といったところであろう。


(おや、あの人は……)


 しかし、ソルトの前方には一人の女性が立っており、壁に背を預けていた。

 どうやら学生ではないらしく、黒いローブを着ていない。

 シンプルな上下の赤ジャージを着ていて、その上には汚れ避けのエプロンを掛けている。

 それは誰あろう、この寮の管理人たる寮母であった。


 彼女はソルトを視界の端で捉えると、勝気な笑みを見せながら、彼に歩み寄っていく。


「よ、ソルト。出るんだって?」


「……ええ、お世話になりました」


「いやいや、お世話になったのは私の方さ。

 掃除とか洗濯とか、楽で仕方なかったよ。

 あんたが良ければここで雇いたいくらいだが、どうだい?」


「……それは」


「あっはっは、冗談だよ。あんたならもっと良いところで働けるさ!」


「……ですかね」


 背の低いソルトの頭を優しく撫でる寮母の顔は優しげで、先の勝気な表情とは遠い。

 彼女は彼が就職活動に失敗し、故郷に戻ると決断したことを知っているらしい。

 けれども必要以上の慰めや励ましの言葉などを口にせず、大人らしい口調でひとこと言った。


「ま、困ったらいつでも連絡しなよ。歓迎するからさ」


「……どうも」


 ソルトは生来の口下手を遺憾なく発揮したが、されど寮母はそんなことを気にするでもなく、朗らかな笑みをもって彼を見送ったのだった。


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