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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
39/140

39話

 その発見位置を見て、冒険者たちは改めて驚きを持った。

 なぜなら、その位置はこの村よりあまり離れていないからである。

 状況によっては、彼らがこの村に到着するより早く、魔物が人々を襲っていた可能性も十分に考えられたのだ。


 彼らの顔色が僅かに変わったのを悟って、ギルドマスターは頷いた。


「諸君らも察している通り、この作戦は迅速を旨とする。

 今晩については村の冒険者が警戒をすることになっているが、明日からは諸君らにもお願いすることとなるだろう」


 皆が頷いたことを確認しつつ、ギルドマスターは話を続ける。


 内容は、討伐における作戦概要である。


「討伐自体は、中級冒険者のチームに行ってもらうことになる」


 それは何故かという問いは、冒険者たちの間から発せられることはなかった。

 上級冒険者としても、中級冒険者としても、文句は無かったからである。


 ペッパーをリーダーとする上級冒険者チームとしては、今回の討伐依頼に関して裏方に徹することをあらかじめ村長から頼まれていたことが第一の理由として挙げられる。

 第二の理由としては、彼らの後輩に当たる中級冒険者チームに経験を積んでもらいたいという願いがあった。


 中級冒険者チームとしても、この機会を貴重な経験として有しておきたいという思いは否めない。

 常態として、中級以下の冒険者は出身の町を拠点として依頼を請けることが多く、見知らぬ場による経験が決定的に欠けるのだ。


 無論、商業ギルドの護衛依頼などによって他の町に行く機会もあるが、拠点とする町に戻ることが常識となっている。

 自然、それは依頼における偏りを発生させることとなり、冒険者たちの経験を偏らせることに繋がっている。


 ゆえにこうした緊急の依頼においては、経験豊富な冒険者がサポートに徹し、経験の足りぬ冒険者の成長に寄与するケースが多い。

 魔物の種別が特定され、さらに危険性も予測できる場合には、なおさらであった。


「上級冒険者チームは村の冒険者と協力して村の警護に当たってもらう。

 もし異常事態が起きれば、適切に対処してもらいたい」


「もし、俺たちで対処できない異常が生じた場合にはどうします?」


「そのときは、時間稼ぎをしてもらうしかないな。

 当日に手渡す通信機で村長に異常を伝えてもらい、その後は皆が避難できるまでの時間を稼いでもらう。

 そして最後には君たちにも避難してもらう……といったところか。

 とはいえ、どうなるかも分からん。臨機応変に対処するしかないだろうな」


「分かりました」


 皆という単語の中に、村人だけでなく討伐チームの中級冒険者たちも含まれていることは、暗黙の了解であった。

 それほどの異常が起こる事態など万に一つもありえないが、絶対に起こりえないと思われる最悪の状況は往々にして生じてしまうものだ。


 上級冒険者のチームは気を引き締め、自分たちのやるべきことの重要さを思い、気を引き締めた。


「次に、中級冒険者のチームだが。

 これは各々のパーティごとに動いてもらうとする」


「と言うと?」


「言葉の通りだ。

 三組に分かれて行動してもらおうと思っている」

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