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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
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29話

 彼が言うところ、ブラックグリズリーの討伐難易度は中級の下位から上級の下位にまで変化するもので、明確な難易度設定がなされにくい魔物の一種であるとのことである。


「今回の討伐対象は成体であることを鑑みても、中級の中位から上位に相当するでしょうね。

 ですが、心配することはありません」


 中級冒険者一人では敵わないレベルの魔物ではあるが、複数人で役割を分担し、しっかりと連携を取ることができれば、それほど脅威ではないと彼はいうのだ。


「この場に集まっている戦力は、中級冒険者のチームが三組と上級冒険者のチームが一組の、計十六名です。

 油断さえしなければ、決して恐れるべき相手ではありません」


 少女はペッパーの説明によって胸中の不安を幾らか和らげたようであり、お礼の言葉を口にして、椅子へと静かに座り込む。

 他に疑問を持った者はないらしく、ギルドマスターは改めて説明を再開した。


「では、これより討伐における具体策を提案していく。村長、頼む」


「はい。皆さま、これをご覧ください」


 村長は用意していた大きな地図を皆が見えるように前面の壁に大きく広げ、貼り出した。


 それは、この山を空から俯瞰したような図であった。

 歪んだ円が積まれたようにして描かれており、おおまかながらも等高線としての役割を果たしている。


 そしてその図を縮小させた紙を、狩人たちによって冒険者たちに配らせた。

 本来であれば悪用を避けるための外秘に当たる物ではあるが、この場に集まった冒険者たちは信頼できると判断されたために特別に配されたのである。


 もっとも、この地図がなければ作戦行動が一気に取りづらくなるという懸念も、背景としてあったためだが。


「山の低位置に打たれている青い点が、この村の位置を示しています。

 つまり、私たちの現在地ということになります」


 村長は大きな地図に打たれている青い点を、指で軽く叩いて示す。

 その青い点描は、小さな地図にも描かれている。


 次いで村長は、村よりもやや標高の高い位置にある赤い点を示すと同時に、熊の死体の焼写紙をその横に貼りつける。

 言わずとも知れることではあるが、村長は口に出して言う。


「そしてこの赤い点。

 この位置が魔物の痕跡たる熊の死体が発見された場所になります」

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