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巨大魔物討滅作戦  作者: 広畝 K
33/140

33話

 彼ら集団の力量は、装備の見た目からも推し量ることができた。

 というのは、いずれも中級以上の魔道具であることが明瞭だったためだ。


 大量生産によって造られる物の中にも等級という概念が存在し、そしてその等級が高ければ高いほど、その物品に付けられる値は増大する。


 集団の誰もが二等級から一等級の魔道具に身を包み、そしてその魔道具に見合うだけの力量を有しているのが見て取れるのだ。


 隙の無い立ち姿から得られる集団のイメージは、善良なる人々を襲う賊などといった矮小なものではなく、人類を滅する悪竜を討つ英雄たちといった、強烈な憧憬を抱かせるものであった。


 彼の歩みが集団に近づいていくと同様に、集団の方からもまた、彼に向かって歩みを進めてくる者がある。


 その者は、集団におけるリーダーなのだろうと彼は察した。


 短く切り揃えた茶の髪はどこにでも見られる特徴だが、閉じていると見紛うほどの細い目はやや珍しい。


 端正な顔立ちではあるが、それほど際立って美しいというほどでもない。

 全体的にほっそりとしたシルエットではあるものの、かといってがりがりに痩せているというわけではなく、全身にしなやかな筋肉がついているのが動きから分かる。


 見た目だけならば一般市民の若者に思えるほどに、全体的な風貌は平凡極まりない。

 しかしその実力は確かなものであると彼は感じた。

 眼光、装備、呼吸、姿勢、足運びなど、その者を彩る全ての構成要素が並々ならぬレベルに至っており、存在としての格が自身よりも数段上であるように錯覚させられる。


 互いに人間であるのは間違いない。

 されど、或いはその感覚は正しいのかも知れないと思わせられるほど、相手の存在感は巨大であったのだ。


 彼はそんな相手に内心怯みつつ、けれどもそれを表に出さずに、堂々と対面した。


「俺はこの村で世話になっている冒険者だ。

 名はゾイド。今は緊急時で、村の外側から来た奴はどんな英雄だろうと、たとえ国王だろうと、取り調べさせてもらうことになっている」


「なるほど。それで?」


「見たところ、この村に用件があるように見えるが、何の用か聞かせてもらいたい」

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