異世界無頼 魔人ガンゾウSO!ウラジミールの独り言
思い起こせば数奇な運命とでも申しましょうかぁ▪▪
そもそも私は、ご主人様を暗殺するよう申しつかった『敵』なのですが、私ごときに暗殺されるような▪▪▪
いえいえ、この世のなかのどんな腕自慢、顔自慢、ほにゃらら自慢の方々が集結しようと▪▪▪
ご主人様を亡き者にすることなど、太陽と月を入れ替える程の困難な▪▪▪
言いすぎですよねぇ?
「げぶじっ!」
「つまらねえ事言ってねぇで言われた事をやれ、あ?」
「ずびばぜん▪▪▪」
ご主人様のおかげで、治癒と再生の呪を得てますから、おいそれとは死にませんがぁ、痛いのは痛いのですぅ▪▪▪
「そっち行ったぞ!」
「はいぃっ!」
「馬鹿!ちゃんとやりなさいよゴブリンっ鼻!」
「ああ、臭い、デカ尻臭い▪▪▪」
ほんとあのダークエルフは▪▪▪
おとなしくしてればそこそこ可愛いのですがぁ。
「あ!ウラジミールさん!いまです!」
「はいぃっタウリさん!ウラジミールッ!ソォォドッ!」
呪糸を編み上げて作ったこの剛刀!
蟹ごときの甲羅など一突きで!
『バッキィィンッッ』
▪▪折れました。
地面に転がった私の頭上に、巨大なハサミが不気味な風切り音と共に頭上に振り下ろされてきました。
ああ、過去の思い出が走馬灯のように▪▪▪
?
走馬灯って何ですか?
ご主人様の記憶に有った単語ですがぁ▪▪
グワラッキィィンッッ▪▪▪
ご主人様の剛刀『獅子丸』が、巨大なハサミを一刀のもとに断ち割りました!
「おう?ウラジミール?このまま情けねぇ様晒してると晩飯抜きだからな?」
「!」
そ!それはいけません!
「ウ、ウラジミールッジャベリンッッッ!」
渾身の力を込めて、持っている全ての力を集中して!
巨大カニの甲羅のど真ん中に突き立てますぅぅっ!
『バギィッッンッ!』
すんごい破砕音と共にジャベリンは巨大カニの甲羅を突き破りました!
◇
「ウラジミールさん、美味しいですよ!」
「ありがとうございますぅ。」
カニはボイルに限ります。
とは言っても、これだけの巨体を茹で上げる鍋など無いのですから、ここはもちろんご主人様の『雷』で、外骨格を器に蒸し上げました。
ああ、何時もの宴になりました。
「ウラジミール。」
「は、はいぃ▪▪▪」
「うめぇな。」
「はいぃっ!」
今日も楽しい一日でした。