愛すべき人々 ~裸の女~その2
まだ足のもつれるシゲを連れて店に帰った。
ピン子は大丈夫か?
私: 「マスター帰ったで!これお土産。みんなで食べて!」
ポンさん: 「おぉ!お帰り!」
マスター: 「ひ~にぃ、探しとったんや!」
…やはり何かあったか…。
私: 「ピン子は帰ったんかいな?」
マスター: 「それやがな…。あれから、例の爆弾、飲んだんや。」
私: 「やっぱり…。」
マスター: 「そしたら、おいしい、おいしい言うて、お代り言いよるんや。」
私: 「…まさか、飲ませへんよなぁ?」
マスター: 「…いや、どうしても飲ませ!言うもんやから…。」
私: 「飲ましたんかいな!?」
マスター: 「…3杯。」
私: 「…まじかいな…。」
ポンさん: 「俺もやめとけ言うたんやけどなぁ…。飲む言うて、聞かへんねん…。」
私: 「そいで、どないしてん?」
ポンさん: 「そら、倒れるわなぁ。」
マスター: 「白目むいとるから、救急車呼んで、さっき病院行った。」
私: 「あっちゃぁ…。嫌な予感しとったんや…。」
マスター: 「そんでなぁ。昨日も救急車呼んだとこやから、店の客や言うたらまずいねん…。」
私: 「…はぁ。」
マスター: 「しゃぁないから、店の前で倒れてた言うてん…。ごめん…。」
私: 「…マスター、たのむでぇ…。行き倒れやがな…。」
マスター: 「とにかく、病院聞いたから行ってやって。」
シゲ: 「マスター、『危険な二人』入れて!」
私: 「どあほ!歌てる場合か!!!」
シゲ: 「へっ?どないしましたん?」
私: 「お前、タクシー呼んで帰れ!わし、病院いってくるから!」
シゲ: 「一曲だけ…。」
タクシーを拾って、病院へ急ぐ。
ピン子…たのむから死ぬなよ…。
病院に着いて事情を説明する。
看護婦: 「会社の方ですか…。一応血を入れ替えましたので、もう大丈夫です。」
私: 「血…血を入れ替えですか?」
看護婦: 「今はぐっすり眠ってますよ。あんまり無茶な飲み方しないように!」
私: 「はぁ。すんません…。」
看護婦に連れられて病室に行った。
そこには素っ裸にされて、シーツをかぶったピン子が大いびきをかいて寝ていた。
ピン子: 「んごぉぉぉぉ…。んごぉぉぉぉ…。」
(生きとった…。しっかしまぁ、ぶっさいくやなぁ…。)
(ごうごう言うてるで…。なんで素っ裸やねん…。)
看護婦: 「道に倒れてた言うから、身体にキズがないか調べましたから…。」
私: 「はぁ…。」
あきらかに軽蔑の目で私を見ている…。
(はいはい、み~んな私が悪いんです。)
(こいつ、明日起きたらびっくりしよるやろなぁ。)
(目がさめたら素っ裸で病院やったって…。)
(酒の飲み方から教えなあかんか…。)
シゲもピン子もてっきり懲りたかと思ったら、毎日の様にあの店へ通っているらしい…。
ピン子はのめり込み過ぎて、1ヵ月後に会社を辞めた。(仕事に支障が出てきた。)
シゲも3ヵ月後会社を辞めて、夜の世界へ行ってしまった。
そんなつもりや無かったんやけど…。
やはり刺激が強すぎたか…。
新社会人のみなさん、夜の遊びはほどほどに…。
あまりのめり込まない様に注意しましょう。
最後に艶っぽい話を期待していた方、すんません。m(_ _;)m