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竜眼でゴブリンゲーム  作者: 空也真朋
第1章 地雷だらけの パーティー
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01話 ゲーム開始のお知らせ

 気がつくと俺は何も無いやたらだだっ広い場所にいた。

 手には俺のものじゃないタブレットを持っている。

 もっとも俺一人だけじゃなく、数十人の人間が同じようにいて、みんな同じようにタブレットを持っている。


 「どこだここ? 一体どうしてこんな所に?」 


 ざっとそこらにいる人間を見ると、年齢は10代半ばから20代半ばあたり。男女比は6,4で男がやや多いくらいか?


 俺の名は白川 裕人(しらかわ ひろと)。入って半年の会社員。

 二十代半ばになってもアイドルの追っかけとゲームばっかりやって、結婚をまるで考えないで生きている。

 しかし中身ガキな俺も、モノホンの学生と話すのはハードル高い。誰か同年代で話できそうな奴はいないか探すと、知り合いがいた。


 「一馬(かずま)か? お前もいたのか。なぁ、俺ら今どういう状況かわかるか?」


 「裕人(ひろと)か? 知らん。今日は確かラブキュア・スマイルのイベントデイだったと思ったが。昨日、準備してたことまでは覚えているが、何でこんなところにいるのかはさっぱりだ」


 ドルオタでも、昨日何してたかまで覚えているなら俺よりは上等だな。俺は直前まで何をしていたのかすらさっぱりだ。

 コイツは俺の親友の残念イケメン春島 一馬(はるしま かずま)

 会社の同僚でもあるのだが、端正な顔立ちのイケメンなのに重度のアイドルおたくであり、現実の恋人をまったく作ろうとしない。

 俺の趣味にアイドルが入っているのは、コイツにイベントつき合わされたことが大本だ。

 ま、可愛い女の子応援するのは気持ちいいからいいんだけどね。


 「とにかくこうしててもしょうがない。誰か少しでも状況がわかる人間を探して………」


 と言いかけたときに、突然この空間内に大声が響いた。


 「静まれ! これより君たちは君たちの世界とは異なる世界。すなわち異世界へ行ってもらう。そしてそこでとあるゲームをしてもらう」


 いつの間にか俺たちより一段高い場所に現れた謎の男はそう言った。どうやらアイツが俺やそこらの人達をさらった張本人らしい。

 無論、いきなりこんな所へ連れてこられて、そんなワケのわからないゲームをしろなど筋が通らない。

 そいつに詰め寄ろうと何人かが向かったが、何故かそいつに触れることも近づくこともできなかった。


 「抵抗は無駄だ。まずは各自持っているタブレットを見るがいい。下の方に時刻が表示されているだろう」


 あるな。だが秒の数字は増えるんじゃなく、減っていっている。何かのリミットか?


 「その時刻が0:00(ゼロ)になったときに諸君らを異世界へ転移する。もし、ゲームを拒否するならそこで何もしないまま過ごせばいい。期間が来ればそこで消滅(デリート)される。わかりやすく言えば『死ぬ』といった認識で間違いない」


 異世界? つまりつまりよくわからない外国に投げ出されるってことか? 

 さらにそこでゲームやらなきゃ消滅デリート? 死ぬ?

 ふざけやがって! とは思うが。

 とにかく今は話を聞くしかない。


 「まずここでやってもらうことは、異世界で課題をクリアするためのスキルをセットしてもらうことだ。PRGゲームのようだが、そこで得たスキルは本当に自分の身につく。

 タブレットを一度タップして見てみるがいい。一つだけ説明させていただくと、各種の後ろにある数字はスキルの消費ポイントだ」


 言われた通りタップしてみると、タブレット上部にには「SP100」と表示されている。普通に考えて、これを振り分けてキャラクター作成をするのだろう。その下には種族欄が続いていた。


 【人族 0】 もっとも多い種族で、国家は大抵人族が運営している。種族による差別もないため、無難に生活したいならオススメ。魔法は才能と魔力UPのスキルをとらないと覚えない。


 【エルフ 20】 水、風、光の魔法と弓に才能あり成長が早い。魔力も大きく上がる。寿命は人族の約二倍。ただし体力と腕力が一割ほどマイナスになり、あまり成長しない。 

 社会的には差別は低めだが、後ろ盾のないエルフは奴隷狩りの恰好の獲物。


 【ドワーフ 20】 体力と腕力が人族の1.5倍になる。肉体は頑強になるが背は低くなり、女性でもひげが生える。火、土の魔法と鍛冶能力に才能があり成長も早い。

 社会的には鍛冶、工芸、建築などに大きく貢献しているため尊敬されている。


 【獣人(龍、虎、狼、犬、狐、猫、兎の種族を選択)】 獣の能力を体に宿した亜人。種族によって成長する能力は様々だが、主に体力・腕力が大きく上昇し、索敵能力も高くなる。ただし魔法は龍人以外は使えない。

 社会的には冒険者や兵として貢献するものの、凶悪な犯罪に走る者も多いので危険視されている。


 ――――――等々(などなど)


 いるのか! エルフや獣人。

 やはりこれから行く異世界とやらは、あのファンタジー世界で間違いないようだ。

 種族の次の画面には【才能選択】とあって、数え切れないほど幾つも各種スキルが並んでいた。


 最初にあるのは【剣才能 5】【槍才能 5】【弓才能 5】【斧才能 5【体術才能 5】】等々の武闘系スキル。各種説明はそのままなので省略。

 次に魔法の才能があったのだが、

 【火魔法才能 10】【水魔法才能 10】【風魔法才能 10】【土魔法才能 10】【光魔法才能10】と、武器の才能より割高だ。

 さらに、【空間魔法才能 15】【暗黒魔法才能 15】などと、さらに割高なものまである。

 ちなみにゲーム定番の【剣術レベルⅠ】【魔法レベルⅡ】などといったものはなく、与えられるのは才能だけのようだ。いや、俺たちはゲームキャラじゃないんだし当然か?


 ――――と思ったのだが、次の画面を見て盛大にズッコケた。


 【能力作成(種族選択後に作成)】ってのがあったのだ。

 【腕力UPⅠ 5】【素早さUPⅠ 5】【体力UPⅠ 5】【器用さUPⅠ 5】【魔力UPⅠ 5】【魅力UPⅠ 5】と、まるでゲームキャラのアバター作成みたいな項目が並んでいる。マジか? 


 ここまで見たとき、再び謎男が声をあげた。


 「スキルに関しては、そこの説明文を読んでいただければ十分だと思う。では、スキルをセットして異世界に転移した後のことを話そう。それは『ゴブリンゲーム』をやってもらう」


 さっきから言っているがゲーム? わざわざこれだけの人間を異世界から召喚して、そんなものをやらせるのか?

 いや、この場合のゲームはヤバいデスゲームが定番か。


 「ゲームは全部で五つ。全てこの世界の最多のモンスター『ゴブリン』に関わるものだ。ゲームⅠをクリアしたらⅡが示される、という具合だ。もし期間までにクリアが未達成の場合、その者は「消滅(デリート)される。異世界にとどまる事も元の世界に帰還もできない『消滅』といということだ」


 クリアできなきゃ「殺す」ってか? ふざけやがって!


 「ただし、元の世界に帰還するために必要なゲームはⅣ。以降は消滅(デリート)のペナルティもなくなる。ゲームⅣをクリアした時点で元の世界に帰還するかⅤに進むかの選択がなされる」


 うん? 元の世界に帰れるなら、それ以上進む奴がいるとも思えんが。


 「Ⅴをクリアした者には特別なボーナスが用意されている。『獲得した能力をそのまま元の世界にもって帰れる』というものだ。


 ふむ。この条件なら残る人間もいるか。こんな能力をもって帰ったら現代でも無双できそうだし。

 考えてみれば俺も帰れる頃には失踪扱い。会社もクビになっているだろうし、生活のことを考えたらアリか?


 「転移した後の身分だが、冒険者ギルド所属の『冒険者パーティーメンバー』となる。ここにいるのは全部で60名。5人一組での12のパーティーの身分証を用意してある。必ずしもパーティーにとらわれる必要はないが、複数人で優秀な人間と組んで挑んだほうがクリアが有利になることは確かだ。

 このパーティーの組み合わせもタブレットでできるようにしてある。スキルをセットした後、決めるといい」


 パーティーか。学生っぽい奴ら多いし、いきなり知らん奴とパーティー作るとか難易度高そうだが、生きるためにやるしかないか。とりあえず隣の一馬と組むのは確定だな。


 「ボーナスについて説明しよう。ゲームを一つクリアをするごとにポイント15をもらい、クリア後に新しいスキルを獲得することが可能になる。さらにゴブリン百匹を倒すごとにポイント5を獲得する」


 『ゴブリン』というのはバトル系ファンタジーの定番雑魚モンスターだが、それ以外のモンスターにボーナスはないのか? ゲームとやらのタイトルにもなっているし、そこまでゴブリンにこだわる理由は何だ?


 「以上だ。では最初のゲームⅠを発表しよう。『二ヶ月以内にゴブリンを一人八十匹倒せ』だ。クリアまでに百まで伸ばしてポイント20を得ることを目指すべきだな。

 では、この世界とゲームを生き残るためのスキルをセットしたまえ」



 






いきなり始まった謎の【ゴブリンゲーム】!

はたしてその正体は?

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