自転車繋がりで
自転車と言えば、こんなこともありました。
私がこの地に嫁に来てから二度、自転車で転んだ人を見ましたが、もう一回は拙作「春の日は、暖かな風と共に」のネタに使わせて頂きました。(笑)
道の両側にサツキが満開な新道を車で走っていた時です。
舗道を自転車で走っていたおばさんがサツキの植え込みへ自転車ごと倒れ込んだのが見えたんですよ。気になって、すれ違った後もサイドミラーで見たんですが、植え込みの中でもごもご動いていて立ち上がれそうになかったんです。
これは助けに行かないと駄目だなと思って、目の前に見えたドラッグストアの駐車場に車を停めて、走って行こうとしたんです。
そうしたらやっとそのおばさんが立ち上がって、こっちにお辞儀をしながら自転車に乗れたのが見えました。
それで、私もやれやれと思って駐車場に歩いて帰って来たら、一人の男の人が私に話しかけて来たんです。
20代の後半から30代前半の歳に見える男の人でした。日に焼けてはち切れそうに健康そうな青年だったので、なにかスポーツでもやっている人かしらと思ったことを覚えています。
「あの人、大丈夫でしたか? 立てました?」
と聞かれて、この人も私と同じように思って助けに行こうと駐車場に車を停めたことがわかったのです。
「大丈夫だったようですよ。」
と答えると「それはよかった。」と心底安心した顔をして、また仕事用の車に乗って駐車場を出て行ったのです。
若いのに、なんて親切な人なんだろうと感心しました。
そして、ここにいたのがうちの娘ぐらいの年頃の女の子だったら惚れてまうやろーと思いました。おばさんでごめんね。と思ったことで続きの「初夏の日は、眩しい光と共に」のお話が出来たのです。(笑)
その後、転んだおばさんには申し訳ないけれど、なんて素敵な体験をさせてもらったのかしらと嬉しくてたまらなくなりました。
再び車に乗って、当初の目的地だったモールに向かう道々、胸の中が温かくなって涙がポロポロこぼれてきて止まりませんでした。
悲惨な出来事を声高にマスコミは報道しようとするけれど、こんなに小さな出来事で人は感動できるのに・・と悔しくも思いました。
人の気持ちの温かさ、手を差し伸べる思いやりの心。
世の中素敵なことはいっぱいありますよね。
まだまだ続きます。