手紙。
再会まであと2ヶ月が経ったある日、イアルから一通の手紙が届いた。
そこには彼の想いが綴られていた。
ありきたりな挨拶から始まり、彼の現状やこちらを心配する様子を伝えていた。
そのあとに、彼の想い…ではなく結婚について書かれていた。
再会まであと2ヵ月
ユアンは僕と結婚する気が今でもおありでしょうか?
あるのならばそれはもう、嬉しくて仕方ありません。
ですが、なければ僕は何も言いません。
結婚については貴方に任せます。
は?
彼は成長どころか、無責任に落ちぶれたのか?
結婚については任せる…それは私を信用している言葉なのか、ただ単に結婚を拒否しているのか…
それに、結婚する気がなければ何も言わない、というのはどういう意味だ。
彼は私への気持ちがもうないのだろうか…
嬉しいというのはお世辞か何かか…?
この人生でもまた、自ら死を選ばねばならないのか。
「お嬢様…ユアンお嬢様。」
手紙とにらめっこをしていると、サリテルが話しかけてきた。
「サリテル、どうかした?」
すると、サリテルは言う。
「たまには…息抜きしてはいかがですか?」
おかしな事を言い出すサリテルについ首をかしげた。
「息抜きって?…どういうこと?」
すると、サリテルは何かを決心したかのように、意気込んで言う
「どんな人生でも決して全てが同じだという訳ではありません。お嬢様が唯一まだ試していない事があります。」
どんな人生でも?唯一まだ試していないこと?
まるで、私が転生したのを知っているかのように言う。
「私は、限られた時でしか貴女様の近くにいられませんでした。しかし、今回は何かの狂いによって、何かが起こりうる世界なのです。」
限られた時でしか…この言い方は…もしかして、彼は記憶を…
「私は記憶を取り戻しております。 」
やっぱり。
「何かって?何があったの?」
何が起こっているというのだ
「それは分かりません。しかし、確実に何かが起こっているのです。それが、私またはお嬢様に幸か不幸化は分かりませんが、前人生とは違う道を歩んでいるのは確かなのです。」
いつもは、冷静であるサリテルが声をはり言う。
とりあえず、何かが原因で前人生とは違う何かが起こるということは分かった。
「…まあ、いいわ。…それで?私が唯一まだ試していないことって?」
気になることを言っていたのを思い出した。
「はい……それは、お嬢様がイアル様から離れるということです。」
「、というと?」
「イアル様との婚約を破棄するのです。」