冠を
「お姉様!ここは?ここはどうするの?」
花冠作りがたのしいようで、顔を綻ばせながら作業をするセルビア。
たまに質問をされるので、丁寧にそれに答える。
「セルビア、この花冠は作り上げたらどうするの?」
きっとイアルにでもあげる。
そう思っていたのだけれど
「もちろん、お姉様に!!」
とびっきりの笑顔でそう言ったセルビアに驚いた。
「あら、私に?」
「そこはユアンにではなく、自分の母親にあげるべきなのでは?」
少し棘のある言葉が聞こえた。
イアルの声だ。
「そうね、私も花冠を作っているしお母様にさしあげたらきっと喜ぶわ」
棘があるのは後で注意しよう、そう思いながら妹に提案をする。
「それは素敵だわ!!本当は、お姉様にさしあげたいのですが、二つもいりませんものね…」
すこし落ち込んだような妹を慰める
「気持ちだけでも嬉しいわ。さあ、お母様のためにうんと綺麗に仕上げましょう。」
「…。」
イアルが何が言いたげにこちらを見ているが、まずはこちらをと妹の花冠を優先することにした。
「ここをこうしてこう?」
くきを器用に編んでいき花冠の形ができた。
セルビア、手先が器用なのね。
それに、物覚えも早い…さすがだわ。
「できた!出来たわ、お姉様!!」
わーいっと上に手を挙げながら喜んでいる妹は無邪気で可愛い。
土で手は汚れてしまっているけれど…
「さあ、お母様にプレゼントをする前に、その土で汚れた手を洗ってらっしゃい」
「うん!お姉様、のどが渇いたでしょう?何か持ってきますわ!」
気をきかせた妹はそう提案した。
それは使用人がやるべき事では?と思いながらもココアが飲みたい気分だったから丁度良い。
「では、ココアを頼んでもいいかしら。イアルは何かお飲みになる?」
イアルに聞いていないセルビアに疑問を抱きつつ、聞かないのは失礼だと思いイアルに言った。
「え?!」
イアルは何故か笑顔で、セルビアは驚いたような顔でこちらを見た。
「どうかしたの?2人とも」
なぜ2人がこちらを凝視しているのかよく分からない
「嬉しくてだよ!ユアン!」
何故?と聞こうとしたがセルビアによって遮られた。
「イアル様はココアですわね!お姉様が好きなものなら大丈夫ですわよね!!」
少し怒り気味のセルビアが言ったが、イアルは確か甘いものは苦手だったはず…
「ああ…ユアンが好きなものなら僕は何でも…」
甘いものは嫌いなはずなのにそういうので何故か私が慌ててしまった。
「セルビア!イアルには紅茶がいいと思うわ。」
すぐに提案し、もう行くようにと妹に促した。