さてと。
さあ、そして今回25回目の人生の話へうつろう。
少しばかり不妊症でのことを長く語りすぎてしまっただろうか。
それは仕方がない、だって今がまさにその不妊症の人生なのだから。
何故だ、なぜ不妊症の次にまた不妊症の人生なのだ。
と自問自答を繰り返しているのだけれど、実は私は大ピンチだ。
実は、もう自殺のシーンです。
しかし、いつものようにぽっくり一人で逝くのではなく、少し違う出来事に直面している。
いつもは意識がなくなり、ああ、来世で幸せでありますようにと、一粒の涙を流し死んでいくのだけれど…
意識がなくなりかけた直後、イアルが視界に移り込んだのだ。
しかも、いつもの物静かな印象など浮かびもしない彼が映った
泣きじゃくり、汗だくで少し甘えているような…幼い印象を与えるような彼だ。
初めて見た姿に、意識がなくなりつつも目が見開く。
「嫌だっ!!嫌だっ!!ユアン!!!!僕を…俺を置いていくな!!嫌だ!!………ユアン!!…なんで、こんなことを!!!!!!…」
泣き叫ぶ彼の涙が私の頬に滴る。
一人称が変わっている、と呑気な感想が頭に浮かんだ。
…何故、こんなに彼が私のことを大切なもののように抱えているのか。
セルビアと浮気して、子供まで出来てしまったイアルには私への好意は感じるはずもない。
「…っ…………ユアンっ……!」
そんなに泣くほど私が好きなら、そんなに苦しそうに顔を歪めるほど私が死ぬのが嫌なら、もっと大切にしろよボケ。
25回目の人生で初めて彼に嫌悪を抱いた。
「!!!!!!ユアン!!!!!!……〜だ!!!!ユアン!!〜〜から!!…せっかく〜のに!!………ユア……!!…ユ…」
必死に呼ぶ彼の言葉は聞こえなくなり、私はここで意識を手放した。
「っ…………俺を…っ…俺を、一人にするな、バカ」
彼のその言葉は誰にも聞こえず、彼はユアンを大切に抱きしめていた。