使命
こんばんは、夏玉 尚です。
ではどうぞ。
その石碑には古い文字でこう刻まれていた。
[世に再び闇が現れし時、我が子孫より選ばれし者達がその闇を打ち払うであろう。決戦の時、選ばれし者達はその証に導かれ、彼の場所に集う。]
「お前・・・読めるのかこれが・・?」
王座でも一言も口を開かなかったガレットがここで初めて喋る。
「あぁ読める。」
「・・・」
ガレッドがまた口を閉ざしてしまった。
「・・・ガレッド、行こう。」
「あ、あぁ・・・」
外に出る。空にはすでに星が輝き始めていた。
「これからどうする?俺は各地を回ろうと思う。特にアルイスという国には行ってみたい。」
「アルイス・・・お前が生まれたかもしれないところか。お前は一体どこで生まれてどこから来たんだよ!」
「・・・すまない、ガレッド。・・・どこか落ち着ける場所で少し話そうか。」
シルマの外、草原に突き出ている岩に腰掛け、夜空を見ながら俺の生い立ちについて語った。
「俺はこの世界で今まで過ごしてきた訳じゃない。地下の世界からやってきたんだ。」
ガレッドは驚きを隠せない表情をしながらもどこか納得しているようだ。
「だがこの世界に来る前、地下の精霊にとどめを刺す時に、俺の故郷は地上だと言われたんだ。」
「精霊って悪いヤツなのか?この世界の精霊は世界を守護しているらしいんだが。」
「役目は同じだ。だが、ずる賢く世界を自分の思い通りにしようとしていた。」
「そんなヤツが世界の守護者だとは・・・」
「だから俺が殺した。」
「なるほどなぁ。」
ガレッドはもう驚いてはいない。驚くどころか疑問が全て晴れたような顔になっている。
「そうか、これで全部わかった。」
「今まで隠してきてすまない。」
「いや、構わないさ。最初に言われたら俺だって信じないだろうからな。」
それから少しの間、無言が続く。
「そうだ!お前が洞窟から出てくる間に盾と鞘、鍛えてたんだ。あと、ちょっと剣を貸してくれ。」
ガレッドは俺が出てくるまで洞窟の出口でずっと俺の装備を鍛えていたらしい。出口から逆の方向から俺が現れた時のガレッドの反応は忘れられない。
俺は剣を仮の鞘と共にガレッドに渡した。そして盾が返ってきた。
「この鉱石は?」
盾の縁に不思議な鉱石が使われていた。黒い鉱石に紫色のキラキラとした水晶のようなものが散りばめられている。
縁以外は剣と同じく白く輝くガラッド石で出来ている。
「その鉱石が前に言ってた瑠璃鉱だ。加工に時間がかかっちまってなぁ。」
そう言いながら剣の柄に、瑠璃鉱で造られたカバーを付ける。剣を鍛錬する時にサイズを測っていたのか、ピッタリだった。
「握ってみろよ。」
と言いながら本来の鞘、これまた瑠璃鉱とガラッド石で出来た鞘に収めて俺に剣を渡す。
握ってみると、全然滑らない。そして驚くほど手に馴染む。
「どうだ?良い感じだろ?」
「ふむ、そうだな。」
「ふぅ。じゃあ次の目的地は・・・港町デルバロンだ、内陸にある巨大な海を越えるには船が要るからな。」
「船・・・?」
「あ、あぁ知らないのか?船ってのは海を進む乗り物だ。」
「どうやって進むんだ?」
「浮くんだよ。」
「浮くのか!?」
「そうだ!」
「それは楽しみだな。どうやって進むんだろうなぁ。」
「・・・」
そして次の目的地は港町デルバロンに決まった。
「少し冷えてきたし、そろそろ宿に泊まるか。」
「そうだなー、ふぁぁ~・・・眠い。」
そう言いながら俺たち二人は再びシルマへと入っていった。
いかがでしたか?
ではまた。




