出会ってはいけない魔物
こんにちは、夏玉尚です。
先週上げられなかった分だと思って読んでください。
ではどうぞ。
炎に映し出された姿、それは騎士の姿をした女だった。
「「!?」」
お互いに驚く。
「出会ってはいけない魔物というのはお前のことか?」
俺は聞いてみた。
「いや、違う。私は先程何者かに襲われて戦いながら逃げてきた。」
「・・・ということはやはり俺達以外にこの洞窟に何かいるんだな。」
俺と女騎士は松明を中心に周りを見渡した。
「一つ言っておくが、敵はとてつもなく大きい上に速い、油断するな。」
「わかった。お前も気を付けろ。」
剣を構えていると、突然鈍い音と共に女騎士が岩壁に衝突した。短い呻き声が漏れる。
俺はすぐに暗闇に目を戻し、姿の見えない何かに集中する。
洞窟内は無風、空気の動きによって敵の動きも感じることができるはずだ。
フッ
吐息のような音ともに横から強い力で殴られた。
なんとか体を捻って衝撃を和らげ、体勢を立て直す。
暗闇には何もなかったかのような静けさが戻っている。
女騎士も横で再び剣を構えている。無意味に剣を振り回していないところを見ると中々腕は立つようだ。
フッ
もう一度吐息のような音が聞こえた。
声のした方向に剣を降り下ろす。
斬れた。感触が手に伝わる。
そのまま力を込めて、その部位を断ち切る。
洞窟内に響き渡る悲痛の声と共に、二度、何かが落ちる音がした。
声はドラゴン。だがこんなにも速く気配の無いドラゴンは見たことがない。
そして少し離れたところでは女騎士も剣で何かを斬っていた。
松明を抜き取り、声のした方を照らす。
そこには声の通り、両腕から血を滴らせたドラゴンが浮いていた。
片方は俺が斬った、もう片方は女騎士が斬っていた。
ドラゴンがよく見えるように松明を地面に刺し、再びドラゴンへと向き合う。
このドラゴンは大きな二つの翼を、見えないほど速くはためかせ、飛んでいるというより浮いているような状態だ。
どうやら眼は退化しているようだ。
松明の光に反応していない。
「できるだけ音を出さずに倒すぞ。」
俺は女騎士に合図し、音を出さないように走った。
女騎士も俺に合わせ、音を消して走りだす。
岩場を駆け上がり、ドラゴンの頭へと剣を降る。
ヒュン
避けられた。降り下ろす音に反応したようだ。
ドラゴンは素早く回転し、硬く太い尾を俺の顔面へと叩きつける。
「ぐっ!」
暗闇の中、岩場を転がり落ちるが防具のお陰でさほどダメージにはならなかった。
起き上がり、ドラゴンの位置を確認する。
このドラゴンは厄介なことに小回りが利くようだ。
女騎士も俺の姿を見て攻撃を躊躇っているようだ。
・・・!!
「コイツを倒す案がある。聞くか?」
今度は声を張り上げて女騎士に問う。
「聞くしかないだろう。何だ!?」
俺は思い付いた案を女騎士に説明する。
「・・・わかった。」
俺達はすぐに行動へ移す。
女騎士と俺は両側から同時に岩場を駆け上がる。
「「こっちだ!!」」
岩場を上りきった俺達は同時に叫ぶ。
反応が速いこのドラゴンもほんの一瞬、動きが止まった。
その隙を見逃さず、俺達は同時に頭へと斬りかかる。
二重の斬撃がドラゴンの首へと襲う。
─切断─
太く固い皮膚を持つドラゴンの首は、一人の力では切り落とせないが、二人なら
十分落とせる。
女騎士が骨までの皮膚を、
俺が骨から下を切り裂く。
ドスンッ・・・
ゴロゴロと松明の明かりが広がるところまで首は転がっていく。首からは黒い血が流れ出ている。
「成功だ。」
俺は呟く。
「こうしてみると不気味なドラゴンだな。」
女騎士が言う。
「そうだな。」
「・・・・で、これからどうするんだ?出口を探すのか?」
「いや、俺は少しここで休んでいく。もう魔物もいないだろうからな。」
「そうか。・・・私も疲れた。洞窟を出るまで一緒に居ていいか?」
「? お前は出口を探せばいいだろう。」
「疲れたんだっ!」
「じゃあ別のところで休んだらどうだ。」
「嫌だ。」
「何故?」
「何でもだ!」
「・・・面倒なやつだな、そこまで言うなら好きにすればいい。」
俺は松明の位置を寝やすい場所に刺し替え、横になった。
女騎士は俺の隣に座り込む。
早く洞窟から出なければ・・・。
体を休めるために俺は軽い眠りについた。
いかがでしたか?
ではまた。




