勇者の先走り バレンタイン番外編
こんにちは、夏玉尚です。
バレンタイン番外編です。
「バレンタイン卿!?」
「はい、どうやら裏で何かあるのは間違いようです。」
城から出る前、階段の辺りで兵士が話している。
バレンタイン卿とは誰だろうか。「裏」と言う言葉が耳に残る。
「先の・・・戦いで、暗・・・・した・しいのです。」
「そうか、で・・の・・・・・はどうなってる?」
遠さと体の痺れ、感覚の痺れから何を言っているのかが聞き取りにくい。
「戦い」「暗」、どうやら和やかな話ではないようだ。
「で・・・・数ですが、恐らく我が騎士団の・・・・は・・・・・っているとのこと。」
「何!?何故そんなことが!?」
「実は私も・・・・・・されたことが・・・・・」
「ちょっと来い!」
そして二人は奥へと消えていった。
なるほど、騎士団の約半数以上がバレンタイン卿とやらに寝返っていて、あの兵士もその誘いを受けたということか。
俺は自分に何ができるかを考えた。
と、そこに一人の兵士が通りかかった。
「すまないが、バレンタイン卿について教えてくれないか?」
まずは情報収集からと、その兵士に聞いてみた。
「え、あっ、はい。バレンタイン卿とは王の第一の側近の方です。とても優しく賢く、何よりも国民のことを想ってくださる方です。」
「わかった、礼を言う。」
なるほどな、第一の側近・・・国の転覆を狙うには良い役職だ。
俺は動きにくい体をひきずって、王室へと向かう。
国の一大事、早く食い止めなければ。
俺はやっとの思いで王室へと駆け込んだ。
「お、王・・・ッ」
絶え絶えにいいかけた俺は王室の中の様子に言葉をつまらせる。
全員がまるで毒物のような色のものを食べていた。
しかも王はいなかった。
「おぉ騎士どの、貴公もひとつ食べて見なされ。甘くおいしいぞ。」
といいながら茶色で長方形の毒物を手渡して来た。
渡してきたのは王の横にいた人物、まさに第一の側近、バレンタイン卿だ。
とりあえずこれは罠だ。
俺は毒物らしき物を懐にいれ、周りを見た。
皆楽しそうに和気藹々茶色の何かを頬張っている。
洗脳か。多分茶色の何かを食べたら洗脳されるのだろう。
俺はなんとか部屋を抜け出し階段を下りた。
バレンタイン卿は追ってこなかった。
すると奥から先程とは別の兵士二人が来た。
「いやー、良かった良かった。」
「あの時その場に居なかったからだったんですねー。」
今度は近くまで来て話始めた。
「さすがバレンタイン卿!平原の戦いで暗い雰囲気になった城下の人々をチョコで元気にするとは。しかも女性から貰えるんですよね。バレンタイン卿はいつも裏で対策をたててくれるんですよねー。」
「それで、俺のチョコはどうなってる?」
俺は兵士二人の会話を聞いて固まる。
「・・・でその数ですが、恐らく我が騎士団の半数以上は貰っているかと。」
「何!何故そんなことが!?」
「それで実は俺も渡されたことが・・・。」
「ちょっと来い!!」
そして一人の兵士がもう一人の兵士を引っ張っていった。
「そういうことか・・・。」
俺は自分が先走っていたことに気づき、外を見て呟いた。
そして先程貰ったチョコを懐から取りだし、一口かじる。
「甘いな。」
「甘いでしょう。」
返答が帰ってきた。
思わず振り向くと、バレンタイン卿が立っていた。
「バレンタイン卿。そういや、聞きたいことがあったんだ。」
「何でしょう。」
「バレンタイン、今日?」
「いいえ、昨日です。」
いかがでしたか?
楽しんでいただけたなら幸いです!
では次からはいつも通り本編に戻ります。
ではまた。




