剣の秘密 続
おはようございます。夏玉尚です。
では、どうぞ。
俺は剣の秘密を知る。
「それでだ、剣って言うものは斬るために作られるものだろ。それなのに刃の部分の切れ味を悪くするなんて考えられない。だから俺は刃の部分を研ごうとしたんだ。だがとても硬い物質で研ぎ石の方が欠けた。」
ガレッドは小さな包みを開いた。中には研ぎ石と思われる石と、刃の部分だったであろう白い物質があった。
「だから俺はやけくそになって熱してみた。すると金属なら溶けるものだが、この白いのは少し膨張したんだ。冷えた頃合いに白いのを外してみると、その下から煌めく鋼が現れたんだ。」
「剣の腹のところは外れなかったのか?」
「そうだ。綺麗に刃の部分に沿って外れたんだ、多分最初からこういう造りになっていたんだろうな。どうやって造ったのかはまったくわからんが。」
剣に目を戻す。この剣が聖剣と呼ばれていたときもこれが本当の姿だとは思わなかった。それほど以前とは形状が違っている。
剣の腹の所に刻まれている文字がなければ別の剣にしか見えない。
「謎はこの白い物質なんだよな。石なのはわかるんだが見たことがない。俺たちで名前でもつけるか!」
ガレッドは何故か興奮しているようだ。
「刃の部分の鋼、祖先の墓に綴られてあった『オリハルコン』という金属だろう。」
祖先の墓には[剣は伝説の鉱石であるオリハルコンによって出来ている]という記述があったのを思い出した。
俺は今まで、心の底からただの鋼だろうと思っていたのが。
「そうか、オリハルコンか!いずれ俺もオリハルコンで剣を作りたいもんだな!それで、白い方は・・・」
「ガレッドストーンは?発見者の名前から取ってみたんだが。」
「いやぁー照れるなぁ。でも長くないか?」
「じゃあガラッド石。」
「まぁ・・・ってなんで一文字変わったんだ!」
「いや、お前の反応に納得がいかなかった。」
「じゃあガラッド石に決定な!!」
「ガレッド、この石を盾や鞘にできないか?盾にすれば防御も楽になると思うんだが。石が余れば鞘にも。」
「わかった、やってみよう。」
「時間はどれくらいかかる?」
「剣の時とは違ってそんなにかからないだろう。お前が元気になるまでには仕上げとくぜ。」
「頼む。」
会話が終わり、ガレッドが部屋から出ていくと、忙しなく動き回る兵士の会話がが聞こえるばかりだ。
「城下に宿はあるか?」
俺は通りすがりの兵士に聞いてみた。
「ありますが、どうかしましたか?」
「そこに移りたいんだ。」
「わかりました。すぐに付き添いを呼びますので。」
「いや、要らない。」
言い切って立ち上がり壁を伝って城の外まで歩いていった。
陽が既に沈みかけていたことに俺は驚いた。
いかがでしたか?
誤字脱字が多々ありますので、不思議に思ったときは教えていただければ嬉しいです。
ではまた。




