平原の戦い
おはようございます、夏玉尚です。
どうぞ。
視界が黒く染まる。
だが意識はしっかりとある。以前のように朧気ではない。
針鼠のような体からは自然と矢が落ち、重かった体に生気に満ち溢れてくる。
落ちた剣を握り、矢を放った部隊をギラリと睨む。
何故だろうか。敵が怯えている。
俺はマントをなびかせ、平原を駆ける。
敵は相変わらず矢を放って来るが、遅い。
俺は矢と矢の間をすり抜け、一本の矢を掴み、次の矢を準備する敵の一人に投げ返すと、矢は敵の胸部を見事に貫いた。
そのまま剣を持っていない左手でその横の魔族の首を薙ぐ。
首は骨ごと折れて地面に落ちる。
そのまま敵部隊の中心で雷撃の呪文を唱える。
黒く鋭い光が一瞬走った。
そしてその後には倒れている魔族の部隊の姿があった。
続いて大部隊。第二部隊の本隊だろう。
俺は平原を駆け、思いきり跳ぶ。人間の体にこれほどの脚力があったのかと思わせるほどの距離を跳んだ。
本隊では矢の一斉射撃の準備がされていた。だがそれを待たず、俺は隊の真ん中に着地する。
勿論下敷きとなった敵は即死、俺は剣と脚を振り回し、乱雑に部隊を切り裂いていく。返り血が黒く固まり、全身が黒く染まる。
稲妻もように切り裂かれた敵本隊は散り散りになって逃げようとしたが見過ごすはずはない。
口をカパリと開け、黒い雷撃を全方位に放射した。
バリバリバリッ!
残るのは黒い煙のみで、動くものはいない。
あとは残党。
俺は跳ぼうと一歩踏み込む。
グスッ
脇腹に剣が刺さっている。
下を見れば瀕死の魔族が俺に剣をつき出している。鬼の形相で俺をにらみつけている。
-砕-
頭蓋骨を踏み砕き、俺は剣を抜いて地面に捨て、高く飛び上がった。
幸い自然に止血は行われているようだ。
「ゴアガググァァァ!!!」
剛声と共に平原の小高い丘の奥から巨大な人間とは思えぬ一つ目の怪物が現れた。
サイクロプス。
地下の世界にも居た。
だが俺が見たことあるやつとどこかが違う。
俺はサイクロプスへと狙いを定め、跳んだ。
振り上げた剣を真っ直ぐギガンテスの一つしかない目に降ろす。
ギィンッ!
弾かれた。
ガレッドの鍛えた業物の剣が弾かれるとは思わなかった。
そして剣は回転しながら地面に落ちた。
俺はすぐにサイクロプスへ向き直り、ぐっと右手に力を込め、サイクロプスの右頬にフックを繰り出す。
鈍い音と共にサイクロプスは一歩後ろへ仰け反る。
そのまま左手をサイクロプスの顎下に定め、全身を使ったアッパーを叩き込む。
「グオァァァ・・・ッ!」
サイクロプスは大の字で地面へ倒れる。
俺は間髪開けずに両手に雷を集め、放つ。
黒い雷撃はサイクロプスを包む。
雷撃が消えると黒く焦げたサイクロプスの死骸が転がっていた。
サイクロプスの死骸に敵は動揺し、味方は歓喜する。
仲間の士気は上がった。
「こんなもんだろう。」
俺は全身の力が抜け、サイクロプスの死骸の横に倒れた。
意識の最後に聴こえたのは味方の優勢を告げる声だった。
いかがでしたか?
ではまた。




